- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102451182
作品紹介・あらすじ
奇妙な老人が奇妙な部屋にいる。彼は何者なのか、何をしているのか――。オースター作品に登場した人物が次々と現れる「写字室の旅」。ある男が目を覚ますとそこは9・11が起きなかった21世紀のアメリカ。代わりにアメリカ本土では内戦が起きている。闇の中から現れる物語が伝える真実。年間ベスト・ブックと絶賛された「闇の中の男」。傑作中編二作を合本。ここに新たな物語空間が立ち上がる。
感想・レビュー・書評
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あんまり読んだ事のない作家さんだけに、幅広いなーと思った。
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160「写字室の旅」
もう時期死ぬと思っている人間は、書くことを許されたとたんにむねのうちを紙にさらけ出すものだ。
204「闇の中の男」
書物は読み手に、何かを返すこと、自分の知能と想像力を使うことを強いるが、映画はまったく受身の状態でも観ることがー愉しむことすらーできる。 -
文庫化合本。自身のキャリアを振り返るような過去作品の登場人物が現れる「写字室の旅」。9.11が起きなかったアメリカの物語「闇の中の男」。
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写字室の旅。
そんなにおもしろいとは思えなかった。いろんなふうに考えられる、奇妙な話で、評価しづらい。
闇の中の男。
こちらは割とよかった。映画のようだ。
小津安二郎の東京物語を絶賛する数ページがあり、小説としてのおもしろさとは別かもしれないが、非常に興味深かった。ポール・オースター本人が言ってるように思えたから。 -
いかにもポール・オースターらしいポール・オースター節。貶している訳ではありません。
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「闇の中の男」作中作と現実世界が交互に進み、どうなるんだろうと思ってどんどん読んだ
ミステリーではないから伏線があって分かりやすく繋がっているというものではないが、通して読んで本当に良かったと思えた海外文学作品
特に孫娘に語るソーニャとの日々のところが良かった
読後感も良い -
ニューヨーク3部作からオースターを読んでる身としては、
この2作は本当にニューヨーク3部作との関係性で語りたくなる作品。
というのはあの3部作はまさに「作家が小説を書くというのはどういうことか」をめぐる3作だったわけだし、
もちろんその後の作品でもそういった問題意識を提示してきたけれど、
この2作は本当にそこを前面に押し出して「書くものの責任」「書かれた世界への畏怖」みたいなものを強く感じます。
「写字室」はコミカルであり、ファンサービス的な部分を感じたけれど、「闇の中の男」は後半の作家を殺さなきゃならないって部分で緊張感が高まるし、映画化もあるんじゃないかと感じました。
スパイク・ジョーンズとかチャーリー・カウフマン辺りが映画化したらおもしろそう。
ただ写字室は原書で10年以上前に読んでたけれど、闇の中男こそそのころに読んでおくべきだった。
ブッシュ、イラクというワードが出てくる感じはやはり911以降のアメリカへの憂いが色濃く出てて、もちろん今も状況はちっともよくはなってないけれど、それでも10年前に読んでたらもっとぐっときたんじゃないかな。