シンドラーズ・リスト: 1200人のユダヤ人を救ったドイツ人 (新潮文庫 キ 5-1)

  • 新潮社
3.75
  • (27)
  • (43)
  • (49)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 502
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (611ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102277010

作品紹介・あらすじ

強制収容所のユダヤ人の間で、一人の男の名が囁かれていた。多額の賄賂でナチスの要人をたらし込んだ実業家。女とコニャックに酔いしれてメルセデスを駆る道楽者。そして、ユダヤ人を救う唯一のドイツ人、オスカー・シンドラー。死に至る労働に明れ暮れる彼らにとって、ある"名簿"に載り、彼の軍需工場に移されることだけが生き残る道だったのだ-。感動のノンフィクション・ノベル。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 英雄は必ずしも暴力を伴わないということがわかる。

    シンドラーはユダヤ人にとっての「英雄」であるのだが、まるっきり善人というわけではないところが人間味あふれていて興味深い。良いこともすれば悪いこともする。ただ残酷な仕打ちを受けるユダヤ人に対する同情心だけは最後まで持ち続けていた。
    なんというか、言ってしまえば普通の人間である。
    そういう普通の人間で居続けることが非常に難しかったのが、あの時代のドイツなのかなと思った。

    そういうことを知るためにも、この本は読む価値はある。
    小説としての描写も、おかしなところはあるのだけど(なんの前触れもなく過去の場面に切り替わったりということがよくある)、全体としてはよかった。
    アウシュビッツで離れ離れになった親子が手を振り合うシーンや、ブリンリッツに到着した囚人をシンドラーが迎え入れる場面などは、人が活き活きと描かれていて印象に残った。

  • アカデミー賞受賞映画の原作で、名作といわれる作品。ノンフィクションはやはりずっしりとくるものがある。

  • 戦争という人殺しの最中に狂っていく人達と、狂わずにいれる人達の違いはなんなんだろう、、、

  •  映画「シンドラーのリスト」の原作。

     映画のエピソードは殆どこの本のエピソードから出ています。また映画のエピソードやシンドラーの行動だけではなくナチスの台頭、ユダヤ人虐殺の決定、収容所内の方針変更、連合軍の反撃、大量虐殺の証拠隠滅、ソ連軍の進軍、収容所開放までの一連の歴史も書かれています。収容所内の方針変更とは、収容された人々はどれだけ人権侵害して殺しても構わない、から労働力確保のためにむやみに殺してはならない、とする方針変更です。軍需工場や軍需関連工場が収容所内にありユダヤ人を労働力として苦役に従事させていたのだが、そこの企業があまりにユダヤ人を殺されて製造に支障をきたすのでクレームをSSにつけまくってそのような方針に変更されたのです。

     また映画では赤いコートを着た少女はゲットー虐殺で逃げて生き延びたが最後死体となっているところをシンドラーが見た、ということになっていますが、原作では名前もあり係累もだれか分かっていて最終的には生死に言及されていません。映画公開後に「この少女は私のことだ。」と名乗り出て生存が確認できました。
     この少女はゲニアさんといいます。ゲットーの医者イデーク・シンデルさんの姪であり、SSがゲットーに虐殺と強制連行のため攻めてきた時3歳ながら本能的に逃げて助かりました。
     また、この「赤いコートの少女」を演じたのは、当時3歳のオリヴィア・ダブロウスカさん。現在コピーライターをしていて、ポーランド国境でウクライナからの避難民の支援活動をしています。素晴らしい人です。

     教科書には出てこない詳細で興味深い時代の内容が出てきます。またシンドラーがSSに徹底的に賄賂を使った交渉で自分やユダヤ人に有利な条件を作り出していく過程を鮮明に描いています。幸運ではなく人間性からくる凄まじい努力が1200人のリスト、追加で100人、更に3000人のユダヤ人も逃がしたことが書かれています。
     
     「一人の人間を救う人は世界を救う」タルムートの格言でシンドラーが最後にもらった金の指輪に彫り込まれていましたが、まさにその生き方を体現した偉大な人物です。
     我々只の人も1人だけでも救えば世界を救うことができます。

  • 2016/12/16読了

  • テーマや内容は興味深いものがあるけど、話の展開が遅いのでなかなか読み進められない。

    一旦返却

  • 本書は、映画にもなったノンフィクションノベルの大作であるが、やはりナチスドイツの行ったユダヤ人へのジェノサイドがあまりにも凄く、フィクションでもない限りこんなことにはならないだろうと思わざるを得ない。それほどに親衛隊がユダヤ人にとった行動は惨く、読み手の気分を滅入らせてしまう。ここで描かれるオスカーは聖人君子ではなく、むしろ、生身の実業家そのものであるが、その志と一貫して保ち続けたナチス党のユダヤ人迫害に対するアンチテーゼは、読む者の心を打つ。ヨーロッパ戦線終結と共に自らが追われる立場となりながらもユダヤ人の仲間というかもはや家族との逃避行は痛快ですらある。危機に際して実力を発揮するリーダーは安寧な時代には得てして枯れてしまうものであるが、シンドラーも御多分に漏れず静かな晩年を迎える。ノンフィクションならではの迫力がある。

  • この小説は、第二次世界大戦のドイツ国内で一人のドイツ人?「オスカー・シンドラー」が後にポーランド系ユダヤ人「1100人以上」助けた話です。
    但し、映画版とは結末など若干違います。

  • もう一回、今度は人物相関図書きながら読む。
    誰が誰なのか名前がわけわかんなくなりながら色々読み直しながら進むのはつらかった。

全38件中 1 - 10件を表示

幾野宏の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×