オウエンのために祈りを 上巻 (新潮文庫 ア 12-10)

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  • Amazon.co.jp ・本 (573ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102273104

作品紹介・あらすじ

5歳児ぐらいの身長、一度聞いたら忘れられないへんな声、ずば抜けた頭脳を持つぼくの親友オウエンを、ある日過酷な運命が襲った。ピンチヒッターで打ったボールが、大好きだったぼくの母の命を奪ったのだ。ぼくは神様の道具なんだと言い続ける彼にとって、出来事にはすべて意味がある。他人と少し違う姿に生れたオウエンに与えられた使命とは?米文学巨匠による現代の福音書。

感想・レビュー・書評

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  • 古本屋で購入しました。
    まだ上巻なので、感想ではなく前の所有者がひいた罫線から引用します。

    「愛してる誰かが死ぬとき、しかも予想していないときに死なれた場合、一度に突然その人を失うわけではない。長い時間をかけて、少しずつ少しずつ失っていくのだ(中略)そしてまた一日、すっかり忘れて何ごともなく過ぎたと思うと、またもや何か失われた部分、欠けた部分に気づかされる」

    もう一つ。

    「ぼくのなかのある部分が、残りのぼくを敵にまわしているみたいだ」

    もっといっぱいひいてあったけれど。

    「彼/彼女」はどういう気持ちでこの物語を読んで、どういう気持ちでこの箇所に罫線をひいたのでしょうか。

    古本の醍醐味ですね。

    本編は下巻で触れます。

  • ホテル・ニューハンプシャーを読んで以来、アーヴィングの本を全部読むつもりでいろいろ読んできたが、ホテル・ニューハンプシャーと並ぶくらいこちらの本が好きだ。きっと何年か後にまた読み直すだろうという予感がある。
    この本のことを忘れられない。

    以下引用

    事故のことをどんなにすまないと思っているか、そして彼自身どんなに傷ついているかをぼくに示すために、野球カードをくれたのだ——ぼくが母を愛してるのとほとんど同じくらい、オウエンもぼくの母を愛していたとぼくは信じている。ぼくに自分のカードを全部くれるということは、自分の有名なコレクションを託せるくらい、ぼくのことを愛していると伝えるための方法なのだ。でも当然、彼はカードを全部返してほしいと思っているのだ!
    (p.159)ここの感情の駆け引きが緻密でおもしろい

    それはぼくたちみんなが、きみと、ぼくと、そしてオウエンが感じていることなんだ。ぼくたちは自分の一部をなくしたんだ」
    (p.167)

    愛している誰かが死ぬとき、しかも予想していないときに死なれた場合、一度に突然その人を失うわけではない。長い時間をかけて、少しずつ少しずつ失っていくのだ。しだいに郵便物が来なくなり、枕やクローゼットの衣類からにおいが薄れていく。少しずつ、なくなった部分、欠けた部分を積み重ねていき、そしてその日がやってくる――
    (p.263)

    いま思えば、ぼくは、母がどれほど暗闇を嫌っていたかを知っていたから、夜に母のねむっている墓を見たかったにちがいない。夜でも墓地になにかしら明りが差し込んでいるところを見とどけて、安心したかったのだと思う。
    (p.268)こういうところがアーヴィングの本だなあと思う

  • 読みづらい
    なかなか本質まで辿り着かず
    500ページのなか
    オウエンとジョンの絆、最後の伏線回収
    見事でした

  • どんどん魅力的で冴えた人間になっていくオーエン。主人公は親友として、かけがえのない存在。二人がどうなるのか興味は尽きない。

  • 3.85/348
    内容(「BOOK」データベースより)
    5歳児ぐらいの身長、一度聞いたら忘れられないへんな声、ずば抜けた頭脳を持つぼくの親友オウエンを、ある日過酷な運命が襲った。ピンチヒッターで打ったボールが、大好きだったぼくの母の命を奪ったのだ。ぼくは神様の道具なんだと言い続ける彼にとって、出来事にはすべて意味がある。他人と少し違う姿に生れたオウエンに与えられた使命とは?米文学巨匠による現代の福音書。


    原書名:『A Prayer for Owen Meany』
    著者:ジョン・アーヴィング (John Irving )
    訳者:中野 圭二
    出版社 ‏: ‎新潮社
    文庫 ‏: ‎573ページ(上巻)
    ISBN : ‎9784102273104

    メモ:
    ・死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」

  • ジョニーの母親のオウエンに対する愛情表現がすばらしいと思う。息子の友だちにここまで気を配り、愛情を注ぐことができるか。自分の息子が恵まれており、オウエンがそうでないことをよく知っていて、オウエンを傷つけないように彼に出来うる限りの機会を与えようとする。だからといって気配りばかりしているのかと思えば、無邪気で放埓でもあり、魅力的。ジョーの祖母やダン・ニーダムも、みな愛すべき人たち。そして従兄弟たちも。
    隣人のフィッシュさんが飼っているらブラドールのサガモアが死んだときにジョニーとオウエンがフィッシュさんを気遣ってお葬式の一切を取り仕切る場面も心温まる。
    アーヴィングの小説には、切り取り可能なエピソードがたくさんあり、登場人物も多い。大筋に関係あるのか、ないのか、わからなくても、ディテールを楽しむのが醍醐味とするのが彼の作品を楽しむコツといえばコツかも。

  • 社会人Y、「欧米では幽霊は冬が本番らしい。冬の幽霊なんて、さぞかし『ヒヤッと』することだろうが、ディケンズの『クリスマス・キャロル』には幽霊が、それもなんと四人も登場する。アーヴィングがこのディケンズの古典的な幽霊物語をもとにして小説にしたのがこの作品である」

  • 平均的五歳児の大きさで変わった声の持ち主のオウエン・ミーニーと「ぼく」であるジョニーの友情を描いた作品。信仰や欲情など人間の心の奥底にありそうな「何か」を象徴的な表現でかつ平易な文章で記していて、読んでいて気持ちが良くなってきた。オウエンみたいな聡明な小男がいたら楽しいだろうな。。。

  • 1989年作品。低い身長と変な声、ずば抜けた頭脳を持つ親友。母の命を奪う事故を起こすもその関係は変わらない。特異な存在を示すオウエンの使命とは?悲劇の後の残響が悲しい家族とその周辺を取り巻く物語。

  • 感想は下巻に。

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