イスラエル秘密外交: モサドを率いた男の告白 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102200667

作品紹介・あらすじ

ときに外務省に先んじて他国と交渉し、ときに敵国要人の暗殺さえいとわぬ世界最強の諜報組織モサド。その中枢で28年間にわたりスパイ活動に従事し、長官にまで登りつめた著者が綴る衝撃の回想録。中東の裏面史を知り尽くした冷徹な目で何を見たのか――。中東戦争と湾岸戦争、イラク戦争をくぐり抜けてきた男が語る、9・11以後の世界を生き抜くためのインテリジェンスとは。

感想・レビュー・書評

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  • モサド(イスラエル国家の国益に資する秘密情報を収集し、また秘密工作を行う諜報機関)の長官になった方の回顧録。

    自身が長官になるまでの、そしてなってからどのようなことをどのように考え、そして、行動したのかが詳細に描かれている。

    「一見したところ、政府が公式に否定する以外に、いい方法はなさそうだった。しかし、これは信じてもらえないだろう。ただ関係ないと否定するだけでは信憑生がない。毎度おなじみの否認、ただの条件反射のように見られてしまう。」(343ページ)のように今の日本の政府に当てはまることもあるし、組織の責任論といったような諜報組織のみならず、組織全般にも当てはまるようなことも描かれており、とても勉強になった。

    日本においても外務省だけでなく、モサドのようなとまではいかなくても、インテリジェンス機関を設立した方が国益にはかなうのではないか。それぞれの機関が相反することを言ったとしても、それが議論となり、より良い結論を出せるようになるのではないだろうか。

  • 佐藤優さんオススメ本。中東問題を知るために読む。まず、こんなレベルの人が世界では活躍しているのかという驚き。同じ人間とは思えない。日本は能天気でぬるま湯すぎるのではないか。また、これだけ最近の外交に関わる機密文書扱いレベルの事実を赤裸々に公にしてよいのかとびっくり。
    思っていた以上に世界では平和への努力がされていたのだなと思うと同時に、過去のやり方では解決できなくなっている混沌たる現在において過去を学ぶための良本ではないかと思う。

  • ときに外務省に先んじて他国と交渉し、ときに敵国要人の暗殺さえいとわぬ世界最強の諜報組織モサド。その中枢で28年間にわたりスパイ活動に従事し、長官にまで登りつめた著者が綴る衝撃の回想録。中東の裏面史を知り尽くした冷徹な目で何を見たのか――。中東戦争と湾岸戦争、イラク戦争をくぐり抜けてきた男が語る、9・11以後の世界を生き抜くためのインテリジェンスとは。

    自分の地頭が悪いのと、中東情勢にとんと疎いもので、何度も読み返さないと分からない部分も多かったが、とりあえずすごい本だなと思った。ボキャ貧で申し訳ないが、日本が(いや、イスラエルに比べたら欧州も、かな)いかに甘ったれた国か愕然とした。世界で生き残っていくために綺麗事だけではすまない、かといって強硬なだけでも無理。諜報というと悪いイメージが先行するが、表立っては話せない内容をトップ同士が率直に相談するために必要なチャネルは当然あるだろう。テロという恐怖にどう世界が立ち向かっていくのか。グローバル化し、世界中のどこにいてもその矢面に立たされる可能性がある今、我々も他人事としてぼんやりしている余裕はなく、モサドのように優秀な人材を外交の中に投入すべきだ。

  • 【外交が可能なことを実行する技術だとすれば、諜報は克服不可能な困難を乗りこえる技能である】(文中より引用)

    世界でも有数の諜報機関として知られるイスラエルのモサド。その長官を務めた人物が自身の半生を振り返りながら、いかなる決断や困難と直面し、それらに能動的に対処してきたを描いた作品です。著者は、1934年にイギリスに生を受けたエフライム・ハレヴィ。訳者は、中東関係の著作を多数訳している河野淳治。

    中東に地域を限らずとも、外交や国際関係に関して興味がある人であれば読んでおいて間違いのない一冊。また、ハレヴィ氏の活動を通し、イスラエルという国が安全保障という概念をどのように捉えているかを具体的に知ることができる作品でもあると思います。

    単行本版でも読んだことはありますが改めて☆5つ

  • モサドについての有名なエピソードは軽く流して、決定的な(自分だけが知っている的な)エピソードだけに絞って書かれていて読みやすい。

    読みやすい、としたのは有名なエピソードはもう読み飽きているから。いまさら読み返すのが面倒だし苦痛だと予測して本書には手を出していなかったのだけど、そうしたエピソードは省き、また事実の寄せ集め的な内容ではなく、基本的に著者の視点から捉えた内容である点も読みやすく感じた。

    『自由論』で有名な政治哲学者のアイザイア・バーリンに会うために宿舎を抜けだすエピソードや、首相が「誰かに聞かせるため」に、わざわざセキュリティの低い回線を使って電話をかけてくる話など、記憶に残る話が次々と出てくるので読んでいて飽きない。

    本書はイスラエルの諜報史というよりも外交史というタイトル通りの捉え方が正しいかも。

  • 当事者の記録は非常に貴重であり、得るものも大きい。

  • 【作品紹介】
    ときに外務省に先んじて他国と交渉し、敵国要人の暗殺さえいとわぬ世界最強の諜報組織モサド。その中枢で28年間にわたりスパイ活動に従事し、長官にまで登りつめた著者による衝撃の回想録。中東の裏面史を知り尽くした冷徹な目で何を見たのか。中東戦争、湾岸戦争、イラク戦争をくぐり抜けてきた男が語るインテリジェンスとは。

    【感想】
    正直、少し拍子抜けした感は否めない。
    でも、考えてみればモサドの内情、詳しい諜報活動内容を公にできるわけもなく、読んでいくうちに「そりゃそうだな」と、一人納得。
    また、フセイン大統領に対するアラビア諸国の評価、イスラエルとアラビア諸国との関係にはあらたな発見というより、自分が持っているいままでの価値観が間違っていたことに気づかされた。

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