ビューティフル・マインド: 天才数学者の絶望と奇跡 (新潮文庫 シ 38-6 Science&History Collect)
- 新潮社 (2013年10月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (953ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102184417
作品紹介・あらすじ
恐るべき早熟な頭脳を持ち、21歳のときに経済学に革命的進歩をもたらすゲーム理論を打ち立てながら、統合失調症を発病。入退院を繰り返して30年以上の闘病生活を送った後に、奇跡的な回復を遂げてノーベル経済学賞に輝いた数学者ジョン・ナッシュ。綿密な取材をもとに心を病んだ天才の劇的人生に光をあて、人間存在の深淵と生きることの美しさを描いた感動のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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興味深かった。天才とは、「普通」ではいれないこと、なのかな、と思った。自分のIQを知りたくなってテストをネットで受けちゃった。(^-^)でも、テストは無料だったけど、結果を知るのは有料だったのでやめたけど(^-^)あ、タイトルのA beautiful Mindは多分、平和を愛したアインシュタインのA Truly Beautiful Mindから来てるんだと思う。ナッシュのこと調べてたら、ネットに出てきた(^-^)
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ジョン・ナッシュの生涯を詳しく知りたいと思い購入。面白かったが外国人の名前が沢山出てくるので読むのに苦労した。
翻訳については、ダッシュ(‐ ‐)付きの挿入句が多用されていてとても読みづらかった。英語の構造をそのまま訳したのだと思うが、もう少し日本語らしくできなかったか?
書評を読むとタイトルの「ビューティフル・マインド」に疑問というのが見られる。英語のmind は本来「思考」や「頭脳」という意味だが、日本語では「心、精神」と訳されることが多いため誤解する人も多いのでは?本書はナッシュの人格や生き方がビューティフルと言っているのではないと思う。そういう意味ではタイトルをそのままカタカナにしただけなのは本書の意図とは違う気がしている。もしかしてその勘違いを狙ってたりするのかな??副題の訳し方、作品紹介ともに美談として読ませたい感が漂っているのでそうかも。
追記〉タイトルについて関連があるかもしれないエピソードの記事:https://source.wustl.edu/2014/10/beautiful-minds-the-untold-story-of-how-sam-and-betty-enriched-generations-of-washington-university-students/ -
半分くらいでしんどくて読むのやめた。
ナッシュがいた当時の数学という学問の状況の描写が多すぎて、ナッシュに集中して、読むことができない。
数学者の天才ゆえの生きづらさ、それでも美しく生きようとする話なのかと思いきや、
読む限りではナッシュに感情移入する部分はないし、天才ゆえに世間と折り合いがつかず、気難しくならざれを得なかったかもしれないが、
「ビューティフルマインド」ってタイトルはどうかと思う。販売戦略で狙ったタイトルな気がする。
別なタイトルで、別な売り方なら納得なのですが。 -
ナッシュをめぐる様々なことが詳細に綴られている。
思いつくままに挙げると、ゲーム理論、代数幾何学、精神分裂病、赤狩り、同性愛、冷戦、ノーベル賞など。
文庫で600ページに迫っており、気軽に手に取れる内容ではないが、ナッシュを中心とする貴重な一大時代史であることは間違いない。
結びの部分で初めて情緒的に、人間的に文を収めていた。ノーベル賞を取るような人間にも、当たり前だが、家族があり、日常があるという結び方。 -
原題:A Beautiful Mind: Genius, Madness, Reawakening The Life of John Forbes Nash (1998)
著者:Sylvia Nasar (1947-)
訳者:塩川 優
【書誌情報+内容紹介】
シリーズ名 Science&History Collection
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-218441-7
C-CODE 0123
整理番号 シ-38-6
ジャンル 評論・文学研究、ノンフィクション
定価 1,296円
天才は、美しい心に宿る。精神の病いに翻弄されながらノーベル賞に輝いた数学者の劇的半生を描く。
恐るべき早熟な頭脳を持ち、21歳のときに経済学に革命的進歩をもたらすゲーム理論を打ち立てながら、統合失調症を発病。入退院を繰り返して30年以上の闘病生活を送った後に、奇跡的な回復を遂げてノーベル経済学賞に輝いた数学者ジョン・ナッシュ。綿密な取材をもとに、心を病んだ天才の劇的な人生に光をあて、人間存在の深淵と生きることの美しさを描いた感動のノンフィクション。
〈http://www.shinchosha.co.jp/sp/book/218441/〉
【メモ】
・注と索引は訳されなかったらしい……。
【目次】
口絵写真 [003-018]
献辞 [019]
題辞 [020]
目次 [021-027]
プロローグ 031
第I部 ビューティフル・マインド 061
1 ブルーフィールド(一九二八~四五年)
2 カーネギー工科大学(一九四五年六月~四八年六月)
3 宇宙の中心(プリンストン大学、一九四八年秋)
4 才能の宝庫(プリンストン大学、一九四八年秋)
5 天才の芽ばえ(プリンストン大学、一九四八~四九年)
6 さまざまなゲーム(プリンストン大学、一九四九年春)
7 ジョン・フォン・ノイマン(プリンストン大学、一九四八~四九年)
8 ゲーム理論
9 交渉問題(プリンストン大学、一九四九年春)
10 ゲーム理論のライヴァル(プリンストン大学、一九四九~五〇年)
11 ロイド・シャプレー(プリンストン大学、一九五〇年)
12 知恵の戦争(ランド研究所、一九五〇年夏)
13 ランド研究所におけるゲーム理論の研究
14 徴兵問題(プリンストン大学、一九五〇~五一年)
15 美しい定理(プリンストン大学、一九五〇~五一年)
16 MIT
17 悪がき先生
18 理論検証のための実験(ランド研究所、一九五二年夏)
19 「赤い」学者たち(一九五三年春)
20 幾何学での功績
第II部 離れゆく生 393
21 特異点
22 特殊な関係(サンタモニカ、一九五二年夏)
23 エレノア
24 ジャック・ブリッカー
25 逮捕(ランド研究所、一九五四年夏)
26 アリシア
27 プロポーズまで
28 シアトル(一九五六年夏)
29 死と結婚と(一九五六~五七年)
第III部 ゆるゆると燃え出す火 499
30 オルデンレーンとワシントン広場(一九五六~五七年)
31 原爆製造工場
32 秘密を解く鍵(一九五八年夏)
33 ポール・コーエン(一九五八年秋)
34 南極大陸の皇帝
35 竜巻の渦中で(一九五九年春)
36 バウディッチホールの夜明け(マクリーン病院、一九五九年四~五月)
37 マッドハッターのパーティ(一九五九年五~六月)
第IV部 失われた歳月 627
38 世界市民(パリおよびジュネーブ、一九五九~六〇年)
39 絶対零度(プリンストン大学、一九六〇年)
40 沈黙の塔(トレントン州立病院、一九六一年)
41 強制された、理性の幕間狂言(一九六一年七月~六三年四月)
42 単項的変換(プリンストン大学およびキャリア・クリニック、一九六三~六五年)
43 ひとり暮らし(ボストン、一九六五~六七年)
44 未知の世界における孤立無援の男(ロアノーク、一九六七~七〇年)
45 ファインホールの幽霊(プリンストン大学、一九七〇年代)
46 デヴィッドとチャールズ(一九七〇~九〇年)
第V部 もっとも価値ある存在 827
47 寛解
48 ノーベル賞
49 史上最大のオークション(ワシントンDC、一九九四年一二月)
50 目覚め(プリンストン大学、一九九五~九七年)
謝辞 [927-933]
日本語版刊行にあたって――エピローグ(二〇〇一年六月 ニュージャージー州プリンストン・ジャンクションにて シルヴィア・ナサー) [934-939]
訳者あとがき(二〇〇二年二月 塩川優) [940-942]
安全・自由・親密さ 斎藤環(平成二十五年九月、筑波大学医学医療系社会精神保健学教授) [943-952] -
ドラマチックな人生だ。華々しい業績を認められた若き天才が、長く統合失調症で入退院を繰り返し、回復してノーベル賞受賞という数学者の側面に加え、子供までなした「平凡な」女性とは結婚せず、より美しい上流の女性と夫婦になり、家族を巻き込んだ闘病、子供達との衝突と和解、息子が同じ病にかかり…というプライベートも複雑だ。ナッシュの学問的な位置付けは理解できないし、プライベートがそうビューティフルなマインドだったとも読み取れないが(子供をめぐる部分など結構ひどい)、おそろしくややこしい人生だ。統合失調症患者の闘病と回復のストーリーとして読むのが一番すっきりするかもしれない。彼を愛する家族と、彼の業績を尊敬するアカデミアの人々に恵まれて幸運だったと言える。それでも900ページを費やすのは、長い。
写真を見ると、映画のラッセル・クロウとちょっと似ている。 -
【藤澤義範先生】
天才数学者 ジョン・ナッシュ博士の人生を描いた物語です。ナッシュ博士のインタビューも多く含まれているノンフィクション作品となっています。ナッシュ博士は数学者なのですが、1994年にナッシュ博士のゲーム理論が認められてノーベル経済学賞を受賞しました。ナッシュ博士の業績なしに今の世界経済はありえないとも言えます。ナッシュ博士はプリンストン大学に在籍しておりましたが、今年(2015年)の5月23日に交通事故で亡くなってしまいました。86歳でした。ここにご冥福をお祈りします。ナッシュ博士は百年近く証明されていない数学の難問をいくつも証明し、天才中の天才と言われていました。ナッシュ博士もまた「リーマン予想」の証明に挑戦しましたが、失敗に終わりました。そして、ナッシュ博士は統合失調症になり、30年以上もこの病と闘う日々を送りました。この本には天才中の天才と呼ばれたジョン ・ナッシュ博士の人生が年代別に書かれており、年代毎の物語が比較的短いので本の厚さの割にすんなり読めるのではないかと思います。エンジニアや学者を目指す若い学生さんに是非読んでもらいたい。天才と呼ばれたナッシュ博士がどんな人生を送ってきたのか、ハンカチを握りしめて読んでみてください。 -
本書はカーネギー工科大学から「この男は天才だ」という一文のみの推薦を受けてプリンストン大学へ進み、画期的な理論を構築したものの、後に統合失調症を患った数学者ジョン・ナッシュ(2015年死去)の伝記である。
しかし、何しろ分厚い。
ジャーナリストである著者による膨大な人数へのインタビューや緻密な描写により、あとがきまで含めると950ページを超えるこの文庫本を、予備知識なしで最後まで読むのは困難に思える。
そこで、まずはラッセル・クロウ主演の映画版を観るのがオススメだ。
映画版は原作とは異なる設定も多いが、サスペンス的な要素が加わり、統合失調症の症状も分かりやすく描かれている。
何より映画作品として単純にオススメできる。
映画を観てから本書に入れば、イメージもしやすい。
また、映画版では描かれていない、ナッシュが直面したもっと生々しい現実も知ることになる。
プリンストン大学高等研究所では当時、アインシュタインや、『ゲーム理論と経済行動』の著者でもあるフォン・ノイマンも在籍しており、ナッシュは彼らに積極的に働きかけ、挑戦的な研究を行っていたようである。
フォン・ノイマンはモルゲンシュテルンとの共著『ゲーム理論と経済行動』において「協力ゼロ和ゲーム(ゼロサムゲーム)」について論じていたが、そのような設定が適用される場面は限られていたし、ノイマン自身、ゲーム理論が彼の主要な研究対象であったわけでもなかったようである(http://www.honzuki.jp/book/235357/review/150457)。
一方、ナッシュは20代に「非協力ゲーム理論」における解の存在(いわゆる「ナッシュ均衡」)を証明した。
映画では「200年間支配してきたアダム・スミスの理論を覆す画期的な理論」と評価されるシーンがあるが、現実にはその成果が十分に評価されるまでに長い時間を要したのが、ナッシュにとっての不幸であった。
ナッシュはその後に統合失調症を患い、自身が新聞をはじめとする各種情報が自分への暗号であるという妄想をいだいたり、自分が南極大陸の皇帝だと思い込んだり、国際組織を立ち上げようとしたり、雑誌の表紙に写っているローマ教皇が実は自分であると主張したり、といった症状を見せる。
そのようにして失われた30年ほどの間に、ゲーム理論、そしてナッシュ均衡は経済学、政治学、生物学などにおける重要な理論として定着していた。
そして1995年にノーベル経済学賞を受賞することになるが、この受賞についての記述もノーベル賞の裏側が垣間見えて興味深い。
本書は天才についての物語であり、統合失調症という重度の精神疾患の物語でもあるが、冷淡で自分勝手だったナッシュが人間的な温かみを60歳にしてようやく得るまでの物語でもある。
950ページという長い旅になるけれど、彼のような人物の半生ともなれば、やむをえないだろう。 -
あやうく何度も心折れかける長い小説でした1000P弱…
通勤カバンに入れてても毎日重いとこも…
しかも最後の輝かしい栄光までの、若い日々や病んだ日々の描写がほぼ9割で同じようなこと且つ苦しいことが長く
でもそれが真実
それぐらい若い日の天才と言わせまくった日々の短さと病んで忘れられた天才としての苦難の日々の超絶な長さ
老いてから奇跡的に得た栄光は一瞬
でもそれで全てが報われ、残された日々でやっと家族を何より大事に取り戻すナッシュ
読者は長文を読み終えた栄光もある笑が、結果輝く美しい日々は1割しか無かったが、苦しさが多く締めたからこそそれがビューティフルマインドなのかも
映画ほど美しく献身的なだけの人生や描写とは全く違っても素晴らしいと思えた
恋を終える寸前にナッシュ夫妻がタクシー事故で亡くなった春からやっと読み始め、新しい恋で悩む今やっと読み終えた
映画は勿論人生の一本だったけれど、この小説も大事な作品となった -
どうしてビューティフルマインドという標題にしたのかがよくわからなかった。統合失調症ではなくて発達障害じゃないのかなとも思って読み進めたけれどもちがうようだ。どっちにしろ、もうこの世にはいないのだけれど。RIP。