- Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102149324
感想・レビュー・書評
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見逃してたぜ、レベッカ・ブラウン。「この人、何故私のこと知ってるんだ?」とゾクゾクさせてくれる貴重な著者。高波に持ってかれてしまうゆえに覚悟と体力がないと読めないのだが、まさにそれが他のどんな本とも違う魅力。
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ごく短い話が束ねられた短編集。
オムニバス映画を観ているみたいな感覚でした。
心理描写が多い方が好きなので…こちらはあまり好みじゃなかったかな。 -
11/20 読了。
表題作の原題は「Folie a deux」(ふたり狂い)。永続的にお互いが不可欠な存在となるために、ひとりは目を潰しもうひとりは耳を焼くことに決めた1組のカップル。盲目のピアニストと聾の画家のペアとなったふたりは、はじめのうち充足した気持ちに浸っていたが、次第にその世界は歪みはじめる。表題作をはじめ、コミュニケーションの不可能性、支配と搾取に終着してしまう関係を描いた、レベッカ・ブラウンの粋を味わえる短編集。レズビアンの語り手と、エイズによりパートナーを失い自らも同じ病におかされたゲイの友人の最期の日々を描いた「よき友」にはめちゃくちゃ泣かされた。 -
小川洋子氏推薦の短編集。翻訳が柴田元幸ならきっとハズレはないと思って購入。表題作の「わたしたちがやったことは」お互いの為に片方が耳を、片方が目を潰しお互いがお互いを頼りふたりだけの閉じた世界で生活してる話だけど、谷崎の『春琴抄』のような雰囲気を感じる。小川洋子が好きな人にはぴったりの幻想的な愛のおはなしが詰まった短編集。203/225
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表題作を含む、7篇を収めた短編集。その大半が狂気を孕んだ内容だった。すごく好みの本だった。
読む前からぶっとんだ内容の短編が収められている、と聞いていたので予め分かってはいたものの、それでも冒頭の「結婚の悦び」には驚いた。その幻想文学的な、どこか狂気に満ちた内容に最初こそ戸惑ったが、すぐに夢中になってしまった。「体の贈り物」の印象しかなったけど、こういうものを書く人だったのか。
そして表題作「私たちがやったこと」。
「安全のために、私たちはあなたの目をつぶして私の耳の中を焼くことに合意した。こうすれば私たちはいつも一緒にいるはずだ。」
この冒頭部分でいきなり鳥肌が立った。人工的に作り出した二人だけの世界。お互いは決して分かたれることはなく、「私」と「あなた」は二人で一つの存在になる。
だが「社会」に属している以上、他者との関わりを絶つことはできない。初めから綻ぶのが分かっていた生活だが、二人の望むものがいびつだが純粋な分、破綻していく様が痛々しい。
最後の数行に胸を衝かれる。
世界最後の二人になると互いの名前さえ必要なくなるという。
収録作品の殆どが名前のない「あなた」と「私」で語られているのを見て、何となくそんなことを思い出した。
どの作品も好きだが、中でもいいなと思ったのが「アニー」、「愛の詩」、「よき友」。 -
2011年1月、表題作ともう一篇のみ読了。