奇譚蒐集録 北の大地のイコンヌプ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.91
  • (15)
  • (36)
  • (17)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 351
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101801940

作品紹介・あらすじ

流れ歩く村、滅亡の謎。彼我のどちらが鬼なのか。大正三年、帝大講師・南辺田廣章と書生・山内真汐は北海道・室蘭港に降り立った。流れ歩く村──鬼の襲撃を恐れ、アイヌに擬態し隠れ住むその村には、男女が入れ替わる奇妙な婚礼が伝承されていた。今は亡きその村の、最後の『神に聴く者』である女のもとに彼らが辿り着いたとき、過去と現在の謎が繋がり、悲しき真実が浮かび上がる。ふたりの少女の贖罪に涙する、民俗学ミステリ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • せつなさと美に魅せられた一冊。

    時は大正時代。

    とある地に伝わる「鬼にまつわる婚礼」調査のため北の大地に降り立った廣章と真汐。

    過去と現在を描きながら哀しき真実へ辿り着くそのせつなさがたまらない。

    奇妙な婚礼の儀式、刺青の美、人が人を想う心の美に何回もせつなさと共に魅せられた。

    その一方で人の醜き心に圧倒された。

    次から次へと浴びせる、人を人とは思わない言葉。

    その言葉に何度涙と憤りを感じただろう。

    人として当たり前の心を失った人、それこそが鬼だと思う。

    ときおり登場するアイヌ。廣章の土地や文化を奪うことは暴力だ…その言葉も心に残る。


    せつなくて悲しくて…でも続編が読みたくなる作品だ。

  • 前作が印象深いものがあったので、今回はそれを超えることが出来なかったかな、残念。
    鬼をテーマにするのならば、アイヌと関わらせる意味があったのか、不明。
    人鬼といきなり、言われても。
    次回作に期待します。

  • 続刊も最高におもしろかったぞ!!

    とても勉強になるしワクワクもするし、時にとても切なく、すべての塩梅がパーフェクト。

    しかし廣章さまの知力はまだしも体力と腕力と健脚具合はおかしくないですかね。
    なぜあの仕込杖をふつうに扱えるの…。

    ましおちゃんかわいいので、わたしのお気に入りです。

  • Twitterで強くお勧めされているのを見て前作から読んでみたが、間違いない。
    人鬼の謎がさらにあきらかになるのだが、単にミステリーとして読んでも面白い。
    今回はアイヌ編だが、前作の沖縄編よりさらに面白かった。続編でたら読みたい。

  • 弔い少女の鎮魂歌からの続き。印象は前作よりかなり廣章と真汐の関係性が深まった一件となったかなと。
    個人的に正体が気になる江井が妙に気に入った。
    物語は前作同様、なかなかにしんみりと寂しい。しかし、やるせない悲しみの中に、かすかに香る愛があったりする。

  • かける言葉とは自らにかかったものから生まれ出るものであると言う物語。掛け違えた後悔から繋げる道。

    アシハセプンキ,アン,ペ,ネ,ナはアシハセの番人は私たちであるのだよ…で良いかな。

  • 暁男さんのお母さん、チㇱが亡くなる前に廣章先生と出会えて、話が出来て良かった。

    真汐が熊の首を落とすのにこだわった理由が熊を知らなかったからというのに納得。
    確かに位置が分からん心臓突こうとして失敗する可能性あるけど首落としたら終わりですからね。

    那賀坊が比佐乃さんをこいさんって呼んだのは何でや思ったけど特に気にして無かったらまさかその呼び方がってびっくりしましたね。
    人と違う所があるとは言え、人鬼を物の様に扱う那賀坊をただの人と言えるのか。
    那賀坊を殺して全てが解決する訳では無いが、正直そこで江井さんに殺されて良かったと思ってしまう。
    全てが分かったから那賀坊がチㇱから村がなくなった話を聞いて「勿体ない」と言ったのが恐ろしい。

    鬼とは何か。どちらが鬼なのか。

    江井さんの人となりや目的ははっきりと分からないがこの先も無事であればと思う。

    遅かれ早かれ村は無くなっていたんだろうな。
    生き地獄か何も知らないまま死ぬか。どちらも辛い。

    信じることがどれだけ大切で、どれだけ難しいか。
    チㇱはタイミングが悪かった。信じきることが出来なかった。
    だから息子夫婦に信じることの大切さを伝えて、守るために亡くなった。
    比佐乃さんも暁男さんを庇って亡くなった。
    大切な人たちが同時に亡くなってしまったけど、どうか前を向いて進んで欲しい。

  • 2冊目も面白かった。一晩で寝るのも忘れて読んでしまいました。

    組織的な新しい団体?も出てきて、世界と人が広がっていく。
    でも、結局は謎を残して終わったよ。。。
    続くから仕方ないけどね。
    これ、3巻出てるからいいけど。
    このまま投げ出されて何ヶ月も待てないよね。
    それくらい2冊目も楽しめました。

    最後に。
    妬み、嫉妬は良いことを産まないので、心穏やかに過ごしていきたいものです。

  • 眼鏡鬼め

  • 今井さんの表紙だったので読んだ第1作でしたが、民俗学と伝承という好みのテーマだったので2作目も買ってきた。
    しっかりした構成で、読み応えがありました。この雰囲気は好きです。次作が出ればまた読みます。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

唐津市生れ。2017(平成29)年『奇譚蒐集録一弔い少女の鎮魂歌‐』(2018年11月 新潮文庫nex)が日本ファンタジーノベル大賞最終候補に。同シリーズに『奇譚蒐集録一北の大地のイコンヌプー』(2020年7月 新潮文庫nex)、他の著書に『神遊び』(2003年2月 コバルト文庫/2021年7月 集英社文庫 表題作にて2001年度ノベル大賞と同賞の読者大賞を受賞)がある。

「2022年 『薬喰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

清水朔の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×