- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101448398
作品紹介・あらすじ
「自分の死について、真剣に考えたことがないでしょう」67歳で主治医に指摘された。図星だった。うつや不眠を患いながらも、死は、どこか遠い存在だった。そろそろ、いつか来る〈そのとき〉を思い描いてみようか――。シーナ、ついに〈死〉を探究する! 夢で予知した母の他界、世界中で見た異文化の葬送、親しい仕事仲間との別れ。幾多の死を辿り、考えた、自身の〈理想の最期〉とは。
感想・レビュー・書評
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椎名さんの本をまとめて買おうと本を選んでいた時に気になって買った一冊。
世界中を旅してきた椎名さんだからこそ知ってる世界中の葬儀を紹介し、私小説的な一面も含まれた一冊。
魂と形という考え方に基づく世界中の葬儀の方法や風習は知らないことだらけだったので驚きの連続だった。宗教やその地に伝わる伝説、死に対する考え方がそれぞれの方式の根幹になっていることはどこも同じでもあると考えた。
私は死を迎える時にどうなるのだ、ということは昔から不思議だと思うことであったし、怖くて仕方ないことでもあった。でも、それと向き合う時間だったことと同時に、椎名さんの死に対する言葉に救われたような気がした。 -
浪人時代に、椎名誠が20代の頃を描いた自伝小説を読んだ
「哀愁の街に霧が降るのだ」とか
このひとの本は、読書好きになるきっかけだった
もうあれから20年ほど経った
このひとも死を語るか、と感慨深くなった
まだ20年前のその本は、本棚にある -
久しぶりの椎名誠。哲学的な深い思索があるわけではなく、いつもながらの脳筋で、それだけに健康的かつ明朗な死とその周辺に関するエッセイ集。平成25年刊行とあるから9年前、椎名誠は70手前のはずで、読んでいてなんとなく、椎名誠は当分死ぬ気はないな、と思った。が、仮にいま書いても、あまり変わらないのではないか、とも思った。そうあってほしい。
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BOOK・OFFで100円で売っていたから中学生以来に椎名誠読んでみた。
椎名誠の死についての捉え方や、世界を回る上で彼が体験した「死」について知った。
チベットの人とかの話を聞いてると、向こうの人達は生活の中でも「死」を意識して、毎日実存的な生き方をしてるんだなあって尊敬した。
2013年に書かれた本だし流石に椎名誠はもう死んでるよね。彼は死ぬ直前何を思ったんだろう。ってしんみりとしてたら、まだ生きてた。 -
T図書館
各国の葬儀
チベット鳥葬、モンゴル風葬、カンボジア3ヶ月遺体といっしょに、インド水葬、アメリカ人エンバーミン、イスラム教徒土葬など -
「思うこと」というタイトルがついてはいるが、内面的な思考の世界に閉じていないのが椎名氏らしい。本人自身(あるいは奥さん)がその目で見てきた、世界の民族の死に対する捉え方がリアルに語られている部分が、本書の魅力だろう。
死は全人類に共通して訪れる現象であるにもかかわらず、それをどう捉えるかは、土地によって全く違っていることがわかる。日本では、死には「恐れ」「悲しみ」「忌み」といったイメージがまとわりつくが、それらも人類に普遍的なものではない、ということになる。つまり、死とは「どうとでも捉えられるもの」なのである。だからこそ、個々人が「自分自身にとって、死とは何なのか」を考えることに、大きな意義があるように思われる。
本書は2013年の出版だが、これを読む限り、椎名氏自身は死とはまだまだ縁遠い印象である。2020年末に「遺言未満、」という、いわば続編を出版されているので、こちらも読んでみたい。 -
世界の人の死の“葬儀”について紹介していきます。宗教、国、地域の違いによって異なることをルポしています。中でも、東南アジアでの葬儀は目を見張るものが多い。チベットでの鳥葬やモンゴルの風葬、インドの水葬などたくさんある。読んでいて自分が追体験している気分になってくる。本当に現地に滞在してみたら人生観が変わる気がした。椎名誠は最初は意思的な顔立ちだし、喧嘩も強そうだと、なんか好きじゃないなと思ってけど、見方が変わった。弱い椎名も垣間見えたし、面白い探検家なんだと分かった。それも日常生活のね。
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ナマコでお馴染みのシーナさん。
死相感や葬儀の風習にまで及んでいて、マナコ風の冒険や探検も垣間見るがかなりリアリティがありショッキングだった。
人はいつか死を迎えるし、近しい人の死に触れ生きていくもの。
ペットロスなる言葉が生まれた昨今は、人の死に触れる事が減った現代の象徴かもしれない。
痛快なシーナさんが益々好きになった一冊。
オススメですよ。