朗読のススメ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101384511

作品紹介・あらすじ

今、朗読が人気です。子供への読み聞かせから始まり、朗読愛好会が様々な所で開かれています。しかし声だけで作品を表現するのは難しい。本書では、従来とは全く異なる方法で、その秘訣を教えます。シンプルな表現だからこそ、人間の本質を捉える想像力が大切。朗読愛好家必携の一冊としても、感性豊かなお子さんを育てたいご両親にもお薦めです。

感想・レビュー・書評

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  • 波平さんであり、ナウシカのミトの声。
    あの声、あのシーン、がパッと浮かんでくるって、実はすごいことなんじゃないかと思う。

    そんな人が、冒頭に声が出なくなった話を書く。

    身体が硬くなって、整体に通い詰めると、少しずつ良くなったこととか。
    お酒を飲むと、声が出るようになったこととか。

    喉って、毎日使っているようで、使わないと意外とすぐに衰えてしまう器官なんじゃないかなー。
    それを商売にしている方々が、身体に気遣うことや手入れをきちんとすることへの思いに触れた気がする。

  • 朗読には技術、型として姿勢、腹式呼吸、声圧が大切
    それ以上に大切な事は伝えたいことをイメージすること
    「だれが、だれに、どこで、何を、どう」を伝えるかということ、それを頭だけでなく、からだの細胞すべてを揃えること
    さらにその人物が何を幸せかと考え、行動する、幸福願望を知ること
    そうすることで、感情が生まれ、間も、声も生まれてくる
    朗読は音読と違って、わかった、知ったという頭の理解ではなく、体をとおした理解になっていく

  • この本はすごい本だと個人的に思う。とてもむずかしい内容を読者に還元するつもりでとても平明に書かれている。朗読の本であるが、表現することをする人にとってはとても勉強になるテキストだと思う。朗読に興味があって読んだが表現だけに留まらない深さを携えた作品だと思う。多くの表現者に読んでもらいたい。そういう本だった。

  • 「登場人物の幸せが何か理解できたら、その小説は理解できたことになる。」私の読書は、ただ文字を追ってきただけということになろう。

  • 2014年に他界された永井一郎さんのエッセイ集。サザエさん、機動戦士ガンダム、YAWARA!、らんま1/2…誰もがどこかで声を聞いたことがあると思います。タイトル通り朗読をテーマにしたエッセイですが、どうやったら上手な朗読が出来るかを解説する、いわゆるハウツー本ではなく、表現するとは何かまで掘り下げて、永井さん自身の俳優・声優経験や表現に対する考え方をわかりやすくまとめられています。朗読以外にも応用できそうな考え方がたくさんありました。読んでいると永井さんの声で脳内再生されてしまう、そんな1冊です。

  • 【本の内容】
    今、朗読が人気です。

    子供への読み聞かせから始まり、朗読愛好会が様々な所で開かれています。

    しかし声だけで作品を表現するのは難しい。

    本書では、従来とは全く異なる方法で、その秘訣を教えます。

    シンプルな表現だからこそ、人間の本質を捉える想像力が大切。

    朗読愛好家必携の一冊としても、感性豊かなお子さんを育てたいご両親にもお薦めです。

    [ 目次 ]
    第1章 声について
    第2章 自分の朗読とは
    第3章 朗読の基礎的技術について
    第4章 技術とイメージのはざま
    第5章 解いておきたい誤解
    第6章 技術を超えて
    自在に飛ぶ―あとがきにかえて

    [ POP ]
    なるほど!

    何度もひざを打ちながら読んだ。

    赤ちゃんの声が大きいのは、人によく思われたいなどのプレッシャーがないから。

    人の目や評価を気にせず、自分を捨てることが、朗読では大切だ、というくだりになるほど。

    野球選手は〈打率三割で天才ということは、十回に七回失敗してもなお天才ということです。

    気が楽になりますね〉という一節にもなるほど。

    「あ」だけでは意味はないが、「あ、お母さんだ」という時の「あ」は、イメージの持ち方次第で、実に豊かな表現になるという説明にも納得した。

    1969年の放送開始以来、「サザエさん」の波平役を務める著者による本書は、何もないところに声だけでイメージの世界をつくる朗読では、人間の本質をとらえる想像力が大切だ、と説く。

    紋切り型の思い入れたっぷりの朗読を否定する言辞は痛烈で、〈イメージが貧困だから思い入れてしまうのです〉。

    波平の「バカモン!」という声が響いてきそうだ。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ひどい世の中になりました。
    からはじまり、日本や世界が心を失いかけた嘆く。
    もっと散文的な、エッセイのようなものかと思っていたが
    思った以上に実質的で、声優だけでなく何かを創る人にとって
    非常に参考になる内容だと感じた。

    才能も無いのに人にケチをつけたり
    目に見えないものをあまり敬わない現代日本人であったり
    そうしたことをずばずばっと軽快な文体で書き記していて
    嫌味も感じず、すっと入ってくる。

    真っ直ぐたち胸をはり肩を落とす。
    肩甲骨を引き寄せ脇腹で上体を支えて肛門を締め、尻の筋肉を引き締める。
    腰の下部を前に突き出しほんの少し前傾。手のひらを前に向け顎を引き目を上げる。
    なるほど、確かにしんどい姿勢だ。
    そしてこうした努力を歳を重ねられてからも
    新しいことに挑戦し続けてこられたところが恰好良い。

    業界の定説も遠慮なく否定するところも小気味良く
    独壇場、独擅場などの漢字や言葉の変遷
    方言についてなどどれも興味深い。

    特に印象に残ったのは、言葉を体で感じるということ。
    役になりきる為、場面を想像することなら誰でもやれるかもしれない。
    が、何を履いているかなど詳細に思い描き、感じるということが
    当たり前なようでいてとても難しい。

    そして、人は幸せを追求するものだから、その役の幸せはなにかを考える。
    私は永井さんと言えばナウシカのミトのイメージなのだが、そのこともページを割いて書かれてあった。
    ミトの幸せは、ナウシカ。だから、姫様という台詞が印象に残る。
    確かにミトの「姫様」の一言は、柔らかく大切な、厳しくもまろやかな声音だった。

    体を動かさず体操選手に課題をイメージさせると、筋電図では
    実際に運動しているときと同じ電流が流れるのだそうだ。
    とすれば、やはり声だけの演技の中でも
    その人物の洋服から考え方までイメージすることは、役を演じる上で
    非常に重要であると言える。

    寒いところで薪を拾ってきて燃やすというエピソードも非常に面白かった。

    わかりやすく素晴らしい本。

  • 言葉は身体知をともなう。面白かった。

  • 「我執」という鎧を捨てる、自然体でいく、人生訓でもありようだ。2020.6.17

  • いろんな人が勧めている本。

    俳優の、心構えを始めとした、なすべきこと、思考し続けるべきことを明言化してくれている大先輩の本。

    朗読者に限らず、「演じるとはどういうことか」「プロの仕事とはなにか」ということも書かれている。

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