恋せよ魂魄 僕僕先生 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101374390

作品紹介・あらすじ

連れ去られた両親を救うために、一行を離れて長安へ向かった劉欣。彼を追う美少女仙人・僕僕と王弁はその旅の途中でタシという少女に出会う。不治の病と診断された彼女はなぜか、王弁の傍にいると症状が和らぐのだった。一方、劉欣の仙骨を狙う胡蝶の頭目は、ついに劉欣を追い詰め、最後の戦いを仕掛けようとするが。クライマックス目前! 大人気中華ファンタジー、出会いと別れの第九巻。

感想・レビュー・書評

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  • 改めて、仁木英之氏をとんでもない作家だと思い知った。こんなに深く歴史を追ったベース上でこんなに魅力的なキャラクターを作り出してファンタジーの要素とユーモラスを混ぜて仙人と周りの人々を描き出すなんて神技過ぎる。
    劉欣が最期に王弁に己の仙骨を譲り渡すシーンが最初で最後に二人が真に心を通わせた場面だったのだろうか。恋せよ魂魄なんて軽いタイトルに似つかわしくない、どえらい旅の展開になってきた。貂も王方平も人間と仙人の違いはあれど中身は同じ、現状に満足できない事だ。
    タシの生死についてデラクが放った一言「このご時世に死ぬ時期がわかってるって、どれほど幸せなことかわかる?」が突き刺さった。
    もしも劉欣が司馬承禎の弟子になるルートがあったなら、また違った流れになっていたんだろうか。
    いつかまた再読したい。

  • 王弁のやれることがどんどん増える。
    本人は増長することもなく、そのときにやりたいと感じたことを一生懸命にやっているだけなので感じが良い。

    ここまでシリアスな場面でも登場人物(特に善人)の死はあまりなかったので、今回少し毛色が違うと言える。
    特に劉劤の死は途中からフラグたってたとは言え、しんどいね。
    はじめは先生と王弁の旅についてくるのを邪魔だと思っていたけど、いつの間にか主役級の活躍をするようになってしまっていたね。

    デラクはFF9の女王の姿が脳内で描かれていたがそれほど違ってはいないはず。

  • 『SLAM DUNKの最終話かと思った』

    前作から一気に読み込んでしまいました。
    薬師としての王弁、殺し屋として苦境に立つ劉きん。二人の葛藤に忸怩たる思いを残します。

    好きですね。
    どうすればいいのかわからないい。どう選択しても、明らかに誰かが不幸になる場面。
    そういう場になって、キャラクターが吐露する気持ち。
    浅はかさでも、熟慮した結果でもどちらでも良く、心が揺さぶられます。

    また、前半で意識されていたような、オムニバスな作風はありません。むしろ長編ものとして過去の旅路を総決算しなさいよ?と言われているような書きぶりです。

    単古本の後書きで、指輪物語が引用されていました。行きて帰りし物語、故郷に戻った主人公王弁はもはや吐蕃に行く前の彼ではありません。どんな結末になるのか、後二冊です。

    ちなみに冒頭の感想は、この作品ラストで思わず頭に浮かんだセリフです。ご存じの方は意図がわかるかと。

  • 僕僕先生の言動や王弁の成長度合いにクライマックスが近づいてきたことを感じさせるが、まさか劉欣が。。。
    強面なのに憎めない素敵なキャラクターだったので、とても残念です。
    最後をどの様に締めくくるのか、まだ予想ができません。

  • 大唐帝国は玄宗の時代。
    仙骨を持つ王弁君とその師の仙人僕僕の旅も、そろそろ終わりを感じさせるようになった。
    ・・・と書いてみたものの、前の巻『仙丹の契り』を読んだものか記憶が曖昧。
    僕僕一行に薄妃や劉欣がいなくなり、デラクという人が加わっている―ということは、きっと前巻を読み飛ばしたに違いない。

    チベットで出会って、王弁が治療することとなった心臓に病を持つ少女、タシは、その後物語にかかわりを持つのか?

    胡蝶の首領貂とか、その他の胡蝶の間者や、それと結託する神仙たち。
    どういう人だっけ?となってしまい…。
    ああ、本を処分するんじゃなかった、と後悔。
    心もとない読者で申し訳ない気分だ。

    でも、劉欣とはこの巻でお別れ。
    このインパクトがある人物がいなくなって、この先どうなるのか?

  • これは、シリーズの一つのハイライトだな。

    今巻の半分は王弁の物語、残りの半分は長く一緒の旅をして来た劉欣の物語。
    王弁が薬師としてこれだけ真剣に人の生き死にに関わったのも初めてのような気がする。
    なんとかして患者を助けようとするその真摯な彼の成長を嬉しく思うとともに、どうしようもない人の生き死に関わってしまう様が辛い。
    そういう意味で、今巻はいつもよりも真摯でシリアスだ。
    それでも王弁と僕僕先生とのやり取りではほのぼのニヤニヤさせてもらったわけだけど。

    一方、劉欣の物語ではかなり大掛かりな陰謀が見えて、この物語はどこへいくのだろうかと思ってしまった。
    そして、劉欣。
    まさか、ここで彼との別れが訪れるとは思わなかった。
    殺し屋なのに最後までまっすぐで律儀なやつだったなあ。
    王弁とある意味、いいコンビだったとも思う。
    その王弁に最後に自分の仙骨を託すとは!
    それにしても旅の仲間が減っていくのはやっぱり寂しいね。

    この物語の行く末は、ラクスが再び登場し、なんとなく歴史上の大事件が最後の舞台になりそう。
    その時、王弁と僕僕先生の活躍は如何に?
    期待したい。

  • けっこうまだここからひと盛り上がりある感じ。完結したら一気読みしたいなあ。

  • よかったです。
    劉欣も旋も。。デラクもタシも。。
    王弁も逞しくなって。
    物語が終わりに近づいているのをひしひしと感じながら、
    それでも、楽しい旅路をともに進んでいるような感覚で。
    どんな結末が待っているのか、楽しみです。

  • もうすぐ終わってしまうそうで。。どういう結末になるのか。劉欣のこともあるし。何があっても不思議ではないか。

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著者プロフィール

1973年大阪府生まれ。信州大学人文学部に入学後、北京に留学、2年間を海外で過ごす。2006年『夕陽の梨─五代英雄伝』で第12回歴史群像大賞最優秀賞、同年『僕僕先生』で第18回日本ファンタジーノベル大賞を受賞。「僕僕先生」シリーズは読者の圧倒的支持を集め、ベストセラーとなる。著書に「千里伝」シリーズ、「くるすの残光」シリーズ、「黄泉坂案内人」シリーズ、「立川忍びより」シリーズ、『撲撲少年』『真田を云て、毛利を云わず 大坂将星伝』『三舟、奔る!』など多数。

「2022年 『モノノ怪 執』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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