ぼくは猟師になった (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101368412

作品紹介・あらすじ

木についた傷や足跡などからシカやイノシシの気配を探る。網をしかけ、カモやスズメをとる。手製のワナをつくる。かかった獲物にとどめをさし、自らさばき、余すところなく食べ尽くす-。33歳ワナ猟師の日常は、生命への驚きと生きることの発見に満ちている。猟の仕方、獲物のさばき方から、自然と向き合う中で考えたことまで。京都の山から見つめた若者猟師の等身大の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 若い漁師の日々を綴った本。狩猟に興味を持ち、本書を読みました。はじめての猟の事から、シカやイノシシの解体、保存食レシピまで幅広く漁師のあれこれについて書かれています。猟も、獣だけではなく、鳥、魚、山菜など季節によって色々な猟をされているので、狩猟について知りたい人には、おすすめです。

    ーあとがきからー
    漁師をしている時、僕は自分が自然によって生かされていると素直に実感できます。
    また、日々の雑念からも解放され、非常にシンプルに生きていけている気がします。
    狩猟は、僕にとっては生涯続けていくのに充分すぎる魅力を持っています。

  • 一番心に残ったのは動物の解体のしかた。いつも食べてるお肉も、誰から解体して骨抜きしてくれてるんだなと改めて。カラーでその様子が載っているのでまじまじ見てしまった。ブロイラーはどうなんだ、という意見表明もあったけど、ほとんどが自身の体験に基づく猟のしかただったので興味深く読めた。

  • 映画WILLを見て気になったので読んでみた。
    食べものは自分で獲り、処理をして大事に食べる。
    一番シンプルなこの暮らしが、現代人にとってハードルが高く、やり方もわからなくなってしまっている今の現状にハッと気づかせられる。

    科学的にコントロールして春夏秋冬をなるべくフラットにするような今の暮らしより、季節の流れに沿って食べ物や生活の移ろいを感じられる、素朴だけど小さな気づきが積み重なって幸せだろうな。その分色んなことにものすごく時間がかかりそう、大変そうなことが多々目に浮かぶけれど。

    毎日猟をするくらいやり切れる自信はないので、便利なものはうまく取り入れて、バランスよく自然と共生できる生活がしたい‥!
    そんなことを考えるのも利己的すぎるかな、と思いつつ憧れが止まらない。

  • 猟師の生活を垣間見れる
    生き物を食べさせてもらっている側の人間として
    知っておきたいことを知れた

  • 猟師になった人の半自叙伝+狩猟生活を解説する本。
    前半で、幼いころの話から猟師になるまでが、テンポよく語られ、後半で、狩猟に関する様々な情報が新人猟師目線で語られる。
    猟の事前準備から、生々しい猟の様子や、その後の解体処理まで詳しく解説されている。
    著者は執筆当時はサラリーマンの兼業でやっていたらしく、いわゆるプロの猟師ではない。
    どこかの国の牛舎や豚舎で育ち、何かよく分からないものを食べ、どこかの工場で処理された正体不明の肉ではなく、近くの山の野生のシカやイノシシを自分で責任を持ってとったものを食べたいという思いで猟師をやっているらしい。
    猟師は直接命をいただくことになり、やはり真剣に向き合っている姿と感謝の気持ちが文章から浮かび上がってくる。
    本書を書いた意図は、猟師に対して偏見や誤解が多いらしく、その解消の為でもあるらしい。
    狩猟本能が強い人や、猟師を毛嫌いしている人にお勧めです。

  • 上方落語「代書屋」に出てくるガタロが河太郎=河童に由来すると、思いもかけず知ることができたのは望外の幸運だった。閑話休題。罠猟、網猟という少数派の猟師として、狩猟免許を取って経験を積み、狩猟に適した借家を手に入れて猟に精を出す生活は羨ましい。著者のポリシーもあって仕事をする傍らで狩猟を趣味のレベルで行っているが、狩猟だけを生業にすることの難しさも感じる。自分の今の生活パターンを考えると、文字通り「真似できない!」。漫画『山賊ダイアリー』と併せて読むと、猟師生活がより理解できると思った。

  • これは面白い!!
    自分に出来るかどうかは置いておいて(まず出来ないとは思うが…)素直にいいなぁと思える。
    ハワイ島で実際に趣味で狩猟をしている人からその面白さを聞いて以来興味はあったものの、やはり銃を使うイメージが強かったのでワナ猟というのも新鮮だった。

    それにしてもさらりと京大を出ているのもすごいな…。頭の良い人なんだなというのはこの本を読めば伝わって来るものの、著書が先輩の猟師達に尊敬の念を常に抱いているのも同時に伝わってくる。
    世間の価値観に縛られず、やりたいことをやって暮らす手本(というと語弊があるなぁ)のよう。

  • 元京大生が猟師になって奮闘する日々の記録。
    プロの猟師ではなく、兼業の猟師で、しかも学生時代からそれを続けているということで、かなり奇特な人なのだろうと思う。
    一般的な猟師のイメージの散弾銃ではなく、罠中心なので自分にもできるかもとついつい思わされました。

  • 罠猟、いいですね。

    実家の周辺でイノシシが大増殖しており、畑を諦める人も居るんだとか。

    捌いて、流通させる道さえつけば、産業化できるかも。

    貴重な食資源として、活用できる方向に動かしたいですね。

    関心を持ち続けたいと思います。

  • 猟師になったというタイトルから猟だけで生計を立てているものと思い込んでいた。しかし、別に仕事もしながら猟や採集で食料を得るという生活をしている若者による記録であった。私も住んでいる京都で、こんなに自然の恵みを享受し感謝して生きることができることを知らなかったし、実践している著者が羨ましく、またその真摯な態度に尊敬の念を覚えた。人間として自分で生きることについて考えを巡らせてしまう本だった。

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著者プロフィール

1974年兵庫生まれ、京都在住、猟師。京都大学文学部在学中の2001年に甲種狩猟免許(現わな・網免許)を取得した。伝統のくくりわな、無双網の技術を先輩猟師から引き継ぎ、運送業のかたわら猟を行っている。鉄砲は持っていない。08年に『ぼくは猟師になった』(リトルモア)を出版(現在・新潮文庫)。twitterアカウント = @ssenmatsu

「2015年 『けもの道の歩き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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