ゼツメツ少年 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (501ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349350

作品紹介・あらすじ

「僕たちはこのままじゃ、ゼツメツしてしまいます」小説家のセンセイのもとに、一通の手紙が届いた。手紙の送り主である中学二年生のタケシ、そして小学五年生の男子リュウと女子のジュン。学校や家で居場所を失くしてしまった三人を救うために、センセイはある隠れ場所を用意するが――。想像力の奇跡を信じ、悲しみの先にある光を求める、驚きと感涙の傑作。毎日出版文化賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 2014年 第68回毎日出版文化賞受賞。
    いろんな賞があります。
    小説家の元にゼツメツ少年と称する子供から「助けてください」という手紙が届く。小説家は、三人の少年少女を隠す物語を書き始める。
    イジメや家庭問題等で居場所を失いつつある子供達の心の叫び。主題は、いつもの重松さん。
    なのだが、何かいつもと違う。どんどん話が複雑になって、救いがなくなってくる。
    重松作品をすべて読んでいるわけでもなく、順を追って読んでいるわけでもないので、明確に覚えていないのだけど、過去作品の登場人物達も現れ、三人の子供達と触れ合っていく。
    エピローグで、この小説を書く決心をした、友人との悲しい思い出が書かれていて、この作品をこの結末とした悲しい理由がわかる。
    イジメにあう子供達の心情を丁寧に書いて、その子供達を小説の中で生かそうとした力作だと思う。
    ただ、私はそろそろイジメにあっている子供達が親を心配させても良いし、役に立たない教師学校から脱却してほしい気もする。
    本当は優しい子供でも家庭に何かトラブルがある子供でもイジメをする側が確実に悪いのだから。
    恐喝なんか警察介入で良い。
    イジメは許されないという断固とした小説を重松さんにお願いしたい。救いがなさすぎる。

    • おびのりさん
      そうなのよね。
      まさか、の展開にどうするんだろう?て。
      友人の娘さんがいじめを苦にして亡くなったらしい。で、その子も含めて、小説の中に生かし...
      そうなのよね。
      まさか、の展開にどうするんだろう?て。
      友人の娘さんがいじめを苦にして亡くなったらしい。で、その子も含めて、小説の中に生かし続けたいというような感じ。
      2024/03/02
    • bmakiさん
      イジメ、、、
      無くなりませんね。。。
      会社でも普通にありましたよ(-。-;
      いい歳した大人でも。。。


      幼い頃からイソップ物語...
      イジメ、、、
      無くなりませんね。。。
      会社でも普通にありましたよ(-。-;
      いい歳した大人でも。。。


      幼い頃からイソップ物語とか叩き込めば減るんでしょうか。。。

      苦手な伊坂幸太郎先生の本からはイジメが要因の、因果応報という言葉が想像される場面があった。

      重松さんならイジメは絶対悪だという小説を、上手に書いてくれそうな気がします。そして国語の教科書になりそう。。。
      2024/03/03
    • おびのりさん
      こんばんは。
      重松さんの優しい雰囲気や子供に寄り添った表現は、さすがだなっていつも思うんですが。
      現在では、教科書にも作品が多く扱われている...
      こんばんは。
      重松さんの優しい雰囲気や子供に寄り添った表現は、さすがだなっていつも思うんですが。
      現在では、教科書にも作品が多く扱われているとか。
      重松作品って、イジメを受けているとか受けたことがある側は、何かしらを受け取ると思うんですが、あまりに優しくて、現在、イジメている子供達には、わからないんではないか?と思うようになっています。
      イジメを無くす事が小説の目的でないかもしれないですが、イジメを我慢する目的でもないでしょうから。
      2024/03/03
  • 500ページある小説が、ぐいぐい引き込まれてしまいます。
    重松氏の代表作になりそうな一冊でした。

    これまでの小説中の登場人物が多く登場します。
    重松ファンにはたまらない作品。
    でも、しっかりシゲマツワールドで、決してハッピーエンドでは終わらない・・
    これからに対してのメッセージ。
    ずっと大切にしたい一冊です。

  • イジメに合い、学校で家でそれぞれ居場所をなくした、中学二年のタケシと小学五年のリュウそれに少女のジュンの三人が家出する。
    重く哀しい話であるが、送り主のタケシの手紙と、センセイと呼ばれる小説家の文章とが交錯し、現実と小説内が混然とすることで、その哀しみが軽減される。
    三人が、センセイの小説の中の登場人物と会うことにより、化学変化を起こすような不思議な小説。
    タケシが語る
    「人間には誰だって、どんなときだって、物語が必要なんじゃないか、って。特にキツいとき、自分がこのままゼツメツしそうなほどキツくて、苦しくて、たまらないとき、頭の中で物語をつくりあげて、そこに現実の自分を放り込むことで救われるのだと思うのです」
    「人間は誰もが物語を必要としている」
    小説のひとつの効能といっていいか。

  • 登場人物が受けたいじめや背景にショックを受けたが、話の途中から、現世の話なのは、夢なのか、あの世なのか、見失っていた。

  • 『変化していくような本』

    序盤は何だか不思議?かと思うようだが
    話が進むにつれ点と線が繋がっていくような感覚
    こういうことか…?と考察しながら読み進められる

    これは私の想像力というか諸々足りない故かもしれないが、最後の最後にそういうことか!
    といった答え合わせが出来るような感じ

  • 家族の愛と絆を、とても儚い形で表現した作品でした。最後は涙なくして読めませんでした。電車内で誤魔化しながら読んでいて、コンタクトが外れてしまい大変でした。この作品が誰かを救ってくれるといいなあ。

  • P 79
    いつでもいいから、なんでも話しなさい

    P 238
    ゼツメツの意味が、いま、わかった。
    「僕…生まれてこないほうがよかったんです…」

    P 246
    「わからない」というのは残酷な言葉だと、タケシは思う。「おまえはバカだ」と言われるより、「おまえが嫌いだ」と言われるより、「おまえのことがわからない」と言われるほうが、ずっと悲しい。

    P 391
    「それでも死ななかった」

    P481
    「だから、もう、これ以上壊されたくないの。踏みにじられたくないの。大事にしていたものがどんどん壊れちゃって、潰されちゃって、もう残り少なくなったっていうのがわかるから、怖いの、もう」

    P 485
    「生きてほしい…ずっと、ずっと、生きてほしい…
    夢なんかなくても、優しくなくても、正義の味方なんかじゃなくてもいいから、生きていれば…明日、夢が見つかるかもしれないし、明日、自分が自分であるという誇りが持てるかもしれない。それでいいんだよ。」

    大事なのは想像力だよ。

  • 月に一冊は読みたくなる、重松清さん。

    小説家のセンセイの元にある少年から一通の手紙が届く。
    行き場のない僕たち3人を、センセイの小説の中に隠して欲しい、と。

    その3人は、
    いじめられっ子を助けたばかりに自分がいじめの標的になってしまった少年リュウ。
    自分が生まれる前に亡くなってしまった「姉」の存在に苦しむ少女ジュン。
    そして、幼い頃から兄と比べられ、その兄からの壮絶ないじめに苦しめられてきた少年タケシ。

    彼らはある集いで知り合い、タケシの提案で、「家出」することを決意する。

    「家出先」で彼らは何人かの登場人物に出会う。
    それが重松作品の過去のキャラクターのようなのだが、私は重松作品まだまだ初心者のため、ピンと来なかった。
    きっと重松ファンなら、ああ、あの作品のあの人だ!
    って分かるんだろうな。

    物語は、センセイの視点と、リュウの視点で交互に進んでいく。

    重松先生は少年たちのいじめ問題を扱ったテーマの作品が多いけど、
    この作品は特殊。
    少しファンタジー要素も入っている。
    これは実際に3人に起こったことなのか、それともセンセイが脚色を加えて書き進める「物語」なのか。
    想像力が求められる。

    展開としては、悲しい。
    重松作品は、ハッピーエンドではない物語も多いんだよな。

    これは私の希望だけど、この作品のパラレルワールドのような、違う展開と結末が用意された物語を、もう一度重松さんに紡いで欲しいな、と思った。
    リュウ、ジュン、タケシ。3人の歩んでいく姿をまた見てみたいと思った。

  • 途中から理解出来ないまま読み進めて、最後に納得。そんな作品だった。
    結末は個人的に、スッキリしないかな。それでも、涙腺はやられてしまったのだけども。
    はあ。辛い。
    ちょっと次はハッピーエンドを読みたいな。笑

  • さすが重松清さん。終盤は号泣。

    現実と小説が入り混じるような不思議な世界だったなぁ。

    「季節風 秋」と並ぶ“泣けるバイブル”になりそう。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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