いきなりはじめる仏教生活 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101347615

作品紹介・あらすじ

誰もが漠然とした生きにくさを抱える現代社会。こんな状況だからこそ、あえて仏教をおすすめします。日常生活を再点検し、苦を生み出す原因を知る。「世間」や「私」といった枠組みを相対化する。無執着をめざし、極端を避ける…などなど、仏教の知見は今すぐ活用できて、より良く生きるために必要なものばかり。気鋭の宗教学者にして僧侶である著者による、目からウロコの仏教案内。

感想・レビュー・書評

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  • 「図解で分かる依存症」のなかで、アインシュタインが仏教は科学と両立すると言ったと書かれていたこと、依存症脱却の方法に仏教的要素があるとのことから、仏教に興味を持ちはじめ、本書を読んでみようと。

  • ミもフタもない速読派の私には極めて珍しく、とてもゆっくり、少しずつ読んだ。いやいやこれは面白い。面白くて深い。

    「世間の外部によって現実を相対化すると同時に、どこまでもこの世間を生きる。このテーマを語るにおいて、仏教というのは非常に成熟していると思います」

    「はじめに」に出てくるこの言葉にガツンときて、覚えていないくらい久しぶりに(学生時代以来?)鉛筆で線を引きながら読んでいくことになった。繰り返し手にする一冊になりそうだ。

    自分であれ他人であれ、感情にまかせた言動が嫌いだ。心の中が大きく波立っていても、ぐっとこらえて表に見せないのがオトナというもの。さすがにこのトシになると、それはなんとかできるものだ。若い頃はこうしたコントロールも結構難しかったな。

    いつ頃からか、そういう外に現れる態度だけではなくて、心の中においても平穏を保つことはできないものだろうかと思うようになった。些細なこと、取るに足りないことでたやすく動揺しない、それでいて柔らかい感受性を失わない、そういう心のありようは得られないのだろうか、と。

    振り返ってみると、この心の平穏を得るのに宗教は有効なのではないかと、ぼんやりとだが感じてきたように思う。特に仏教では「サトリ」とか言うしね。本書を読んで、それは違うのだなあということがずーんと胸に落ちた。お手軽に仏教をつまみ食いして楽になろうなんて魂胆は、釈先生にはしっかりと見抜かれているのであった。

    苦しんでジタバタしてこの世を生きていくしかないのだよ、でも宗教という「外部への回路」を持っていると世界の見え方が違うのだ、制度宗教になじめない人でも「宗教性」は豊かに持っている、そのことに目を向けよう。釈先生のいたって平易な柔らかい語り口で、仏教の持つ奥行きに目を開かせられる思いだった。

    ただ、語り口はソフトだが、なーんだそうか!とすぐわかるような中味ではない。折々に読み返してみたいと思う。

    • niwatokoさん
      自分も、心の平穏を得るにはやはり宗教なのでは、となんとなく思いつつも、「制度宗教」に抵抗があるようだ、と今、たまもひさんの感想を読んで思いま...
      自分も、心の平穏を得るにはやはり宗教なのでは、となんとなく思いつつも、「制度宗教」に抵抗があるようだ、と今、たまもひさんの感想を読んで思いました。でも、たしかに「宗教性」というものはあるかもしれない。この本、すごく読んでみたくなりました。ただ、わたしも「ミもフタもない速読派」(いいですね、この表現~笑)なので、どうかな~。
      2012/10/06
    • たまもひさん
      niwatokoさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

      読むのに時間がかかったのは決して難しいからではないんです。いたって読...
      niwatokoさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

      読むのに時間がかかったのは決して難しいからではないんです。いたって読みやすく、それだけに読み飛ばしてはいけないなあという気持ちになってしまったもので。直接お話を聞いているような親しみやすい語り口でした。

      若い頃は「合理的」でないものを軽んじ、ほとんど憎んでさえいましたが、人間ってそうそう簡単なものではないのだなあと、じんわり身にしみてきて、ま、これも加齢現象でしょうが。

      好きな本をいつも味わって読もうと思うんですよ。でもついついがっついてしまうんですよね。いやしんぼで面目ない。
      2012/10/07
  • 仏教的な生きかたの基本的なスタンスについて、わかりやすいことばで解説している本です。

    著者は、モダンからポストモダンに入りつつある時代にあって、混迷をきわめているように見える社会の状況を踏まえつつ、苦しみを生み出すものがなんであるのかを認識することを説きます。さらに、そうすることで日常の生活のなかで仏教の知恵を生かす道があるということが、さまざまな観点から論じられており、仏教の考えかたのエッセンスが示されています。

    禅については「十牛図」が、浄土教については「二河白道」がとりあげられ、それぞれある程度のページ数を割いて解説がなされていますが、それらの「思想」をただ理解するのではなく、そこに息づいている知恵がわれわれの日々の暮らしのなかで直面している種々の問題に通じていることが論じられているように感じました。

  • 専門的な本もいいのですが、この本は仏教、宗教とはなんぞや?という疑問を思想・哲学的に書かれています。
    こういうアプローチ、考えの仏教本に初めて会ったのですが、僕は随所に唸ってしまうことになりハマってしまいました。
    自分の枠組みを外し、自分を疑い、外部への回路を開き、自分を相対化し、点検すること。
    手段の方法として、教え、仏法、禅や念仏、その他もろもろが今の日本にはあるので、自分が心に響くもの、惹かれるものに触れていくのが良いのだと思います。
    この一冊にあらゆる要素が詰まっていて読み物としてもボリュームがあります。ライトな仏教書から一歩踏み出したい人におすすめいたします。

  • これはオモシロイ。仏教に関する本だけど、それだけで終わってない。

  • 南無阿弥陀仏を唱えながら耕作した人になりたいです。

  • 手かがりがつかめた気がする。

  • ★いろんな話が出てきて飽きさせない。

  • わかりやすく書かれていると思うけど、それでも正直自分には理解できないところが多かった。
    幾つかの宗教の概要を学んできたつもりだが、仏教が一番とらえどころがなくて難しい気がする。

  • 図書館にあり

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著者プロフィール

1961年大阪生まれ。僧侶。専門は宗教学。相愛大学学長。論文「不干斎ハビアン論」で涙骨賞優秀賞(第5回)、『落語に花咲く仏教』で河合隼雄学芸賞(第5回)、また仏教伝道文化賞・沼田奨励賞(第51回)を受賞している。著書に『お世話され上手』(ミシマ社)、『不干斎ハビアン』『法然親鸞一遍』『歎異抄 救いのことば』など。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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