トットひとり (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101334110

作品紹介・あらすじ

「ザ・ベストテン」時代の舞台裏。毎日共に過ごした向田邦子、母と慕った沢村貞子、頼りになる兄貴の渥美清、「一回どう?」と誘った森繁久彌など、大好きな人たちとの交流。トモエ学園やパンダの研究、テレビ草創期、ニューヨーク留学、結婚未遂、ヌード写真などの思い出。そして友人たちを見送 った今なお、ひとり活躍を続けるエンタテイナーが綴る珠玉の回想録。永六輔への弔辞を全文収録。

感想・レビュー・書評

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  • 黒柳徹子さんの著書を読むのは「窓ぎわのトットちゃん」以来ウン十年振り。昼ドラ「トットちゃん!」にハマり、「トットてれび」も動画サービスで全話視聴し、是非活字でもあの世界観を体験したくて手に取った。
    まず、ベストテン時代のエピソードが詰まった「私の遅れてきた青春について」に心を掴まれる。小学校高学年~中学校時代、夢中で見た「ザ・ベストテン」。あの大人気番組を支えたテレビマンの矜持が司会者としての徹子さんの視点から語られる。今更知る裏話もたくさんあり、胸が熱くなった。読み始めというのに号泣(ここで泣いてちゃ持たないんですけど)。徹子さんにとってのベストテンが遅れてきた青春なら、私にとっては間違いなく青春の始まりだった。
    テレビ草創期、留学、パンダの話を挟みながら、昭和の名優や脚本家たちとの心温まる交流が語られる。改めて、沢村貞子、渥美清、向田邦子、森繁久彌についてもっと知りたくなった。上記二つのテレビドラマで、本書のエピソードは実に素晴らしく映像化されているが、活字だからこそ伝わってくる部分もあり。
    ユーモラスで軽やかなトットちゃん。そんな彼女だから名優たちに愛されたのだなぁとつくづく感じる。まるで疑似家族のような絆を育むことが出来たのは、天真爛漫さだけではない、誠実に「人」と向き合う徹子さんの人柄ゆえと心から思う。泣いて笑って、泣いて笑って…読み終えるのが惜しいと久しぶりに思いながらページを捲った。
    ドラマは勿論のこと、この本も「窓ぎわのトットちゃん」と同じくらい大好きな一冊となりました。

    • くにちゃんさん
      私もこの本を読んで、「誠実な」徹子さんの人柄をひしと感じとることができました。
      私もこの本を読んで、「誠実な」徹子さんの人柄をひしと感じとることができました。
      2023/09/17
    • メイプルマフィンさん
      くにちゃんさん:はじめまして、コメントありがとうございます!黒柳さんの綴る文章、大好きです。これからも色々読んでいきたいなと思っています。
      くにちゃんさん:はじめまして、コメントありがとうございます!黒柳さんの綴る文章、大好きです。これからも色々読んでいきたいなと思っています。
      2023/09/17
  • 黒柳徹子さんの記憶力は、すごい!黒柳さんと関わりのあった方とのエピソードが生き生きとしていて、一つの小説のよう。

    黒柳さんの人となりもよく分かるが、エピソードの中で登場する、今は亡き方の人物像もよく分かる。

    黒柳さんの大好きな人への愛がたくさん詰まっている。

  • 主に著者の若き日から交友のある人々との思い出を著した一冊。
    私よりもかなり年上の著者ながら、テレビの黎明期からの名番組等は子供の頃に見ていたものが多々あり懐かしかった。またそこに出演していた人々は著者にとっては友人であり、しかしその多くの方々がすでにこの世にいないのである。
    歳をとるということは、多くの自分に関わりのある人々の死を目の当たりにすること、別れを経験することでもあると痛感した。
    自分よりも年上の方、また若い人たちとの別れも多く出てくるが、どのようにしてそれを乗り越えていったのだろうか。
    多才、非凡なタレントの持ち主である方だが、天性の才能とともにその底辺に多くの人々との出会いと別れを経験し、現在の黒柳徹子があるのだろう。

  • とってもよかった。
    時代の空気とか、
    出てくる人たちのあたたかな人柄とか、
    飾らずありのままが伝わってきた。

    賀原夏子さんの話は
    電車のなかでぼたぼた涙してしまった。

    黒柳徹子ってすごいなぁ、と思った。
    他のもいろいろ読んでみたい。

  • 相手からの捉えられ方は人それぞれだけど、自分を認めてくれる人の存在を大切にしたい。そして、人の個性全てを受け入れることができる教育者になりたい。

  • あの黒柳さんの語り口で書かれている文章で、面白いんだけどちょっと読みづらい。
    賀原夏子さんの話はグッときた。

  • テレビジョン(テレビではなくここはテレビジョンと言いたい)の黎明期や、向田邦子さん、森繁久彌さんといった黒柳さんと縁のある方々とのエピソードがとても面白い…。
    文章もとても読みやすく面白いのだけど、やはり取り上げられている方々に対する黒柳さんの親愛や敬意がとても感じられるのがこの上なく素敵で幸せな気持ちになる読者体験だった。

    しかし今のテレビからは「ザ・ベストテン」の番組づくりなんて今は想像もできない(というか今は制約上絶対できないであろう)破天荒っぷり。
    めちゃくちゃ面白い。

    そしてそんな一緒にテレビの時代を作った家族みたいな方々との別れを経てきた、一見天真爛漫に見える黒柳さんの哀しみや、感じている寂しさを思うと胸が切なくもなるのだった。

  • 表紙の黒柳さんかっこいい!と思ってタイトルを気にもせず読み始めたけれど、親しい人をたくさん見送ってきた黒柳さんの悲しさが胸に迫る一冊だった。著名人が亡くなると、ほぼ必ず「徹子の部屋」の映像が追悼番組の中で出されて、同番組はまるで故人のアーカイブスのようになっているけれど、黒柳さんご自身もそのあるじとしてたくさんの思い出を胸にしまっていらっしゃるのだなと思う。黒柳さんにはいつまでもお元気でいてほしい。

  • 黒柳さんのおしゃべりそのまま、とても懐かしい方々との交友録です。それぞれのみなさんの人柄がなんと爽やかなことか。中でも賀原夏子さんの晩年の姿は・・・、言葉で表すことはできません。

  • かつて、往年の芸能人の葬儀にて森繁久彌さんが遺される身を嘆きながら弔辞を読むのが恒例になっていた時代があったが、今は徹子さんがその役割を担いつつあるのだろうか。
    本書では、その森繁さんも含む、往年の演じ手、歌い手、書き手、演出家、そして無名の一般人まで、徹子さんの人生に大きく影響を及ぼした人々についての回想が綴られている。もちろん久米宏さんのようにご健在の方との交流に関しても筆が割かれてはいるが、ほぼ、いわば徹子さんの筆になる「蓋棺録」の体をなしていると言って良いと思う。
    どの章も、有名無名を問わず取り上げられた人々と交わした言葉、耳にしたエピソードなどが、あたかも目の前にその人達が蘇って展開されているかのように生き生きと描かれていて、徹子さんの筆力の高さとともに、先立った人々への思いの強さを感じた。
    個人的には沢村貞子さんの愛と意志とを貫き通した凛とした最期、そして賀原夏子さんの毒親に苦しめられた半生と、余命宣告を受けた後の壮絶な役者魂と穏やかな臨終とに、心にずしりと響くものがあった。
    特に賀原さんの、末期がんに苦しみながらも自分を慕い守る劇団員達に感謝し、
    「いま、生まれてはじめて、私は幸福な人間だと思ってる。人生で一番、しあわせよ。」
    と口にするエピソードと、それに対する徹子さんの地の文、
    「賀原さんは、人に親切にすることはあっても、人から心を開いて、やさしくしてもらった事が、あまりなかったのかもしれない。」
    は泣かずにいられなかった。
    本書はそんな人生の締めくくりについて深く考えさせられてしんみりするエピソードと、徹子さんのヌード撮影やらニューヨーク武者修行やら、上野動物園初代パンダ初来日時の動物園入り待ちやら清水寺本堂無断侵入事件やらと言った、面白かったり破天荒だったりのエピソードとが、普通に混じっている、かなり侮れない一冊でもある。結構、おすすめです。

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著者プロフィール

女優・ユニセフ親善大使。東京都生まれ。自伝的著書『窓ぎわのトットちゃん』でも描かれたトモエ学園から香蘭女学校を経て東京音楽大学声楽科を卒業、NHK放送劇団に入団。NHK専属のテレビ女優第1号として、現在にいたるまで大活躍している。『窓ぎわのトットちゃん』(1981年)は、800万部というベストセラーの日本記録を達成し、全世界で2500万部を売り上げている。アジア初のユニセフ(国連児童基金)親善大使として、長年にわたりアフリカ、アジアなどを各国を訪問、めぐまれない子どもたちのことを知ってもらうための活動に力を入れている。

「2023年 『トットちゃんの 15つぶの だいず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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