キアズマ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 982
感想 : 111
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  • Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101312644

作品紹介・あらすじ

ふとしたきっかけでメンバー不足の自転車部に入部した正樹。たちまちロードレースの楽しさに目覚め、頭角を現す。しかし、チームの勝利を意識しはじめ、エース櫻井と衝突、中学時代の辛い記憶が蘇る。二度と誰かを傷つけるスポーツはしたくなかったのに―—走る喜びにつき動かされ、祈りをペダルにこめる。自分のため、そして、助けられなかったアイツのために。感動の青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 「サクリファイス」のアナザーストーリー。
    大学生の正樹はひょんなことから自転車部に入る羽目になる。期限は一年間。
    自転車の初心者にも分かりやすく話が描かれていく。どんどん体が絞られていく正樹に、自分もやってみたいなと思いながら読み進めてしまう。
    「自分がどこまで行けるか試してみたい。」
    まさに青春。気がつけば正樹のレースを夢中になって追いかけてしまう。正樹はどんどん才能を開花させていく。
    ただ、学生とはいえ競技の危険性はプロと変わりがない。骨折や裂傷と背中合わせでやはりかなりの覚悟がいる競技なのだ。だからこそ、スリリングな展開にレースの醍醐味を感じるのだけれど。
    趣味でよく公道を走ってる人を見かけ車からみると危ないなぁと思うのだけれど、何十キロも走っていけるなんてすごい。自分もいつかやってみたいなと思う。
    今回もやはり面白かった。

  • 嬉しいお久しぶりの『サクリファイス』ロードレースシリーズ、その4作目『キアズマ』
    今作品は前3作品と違って、プロではなく大学生自転車部の話
    そして登場人物はみんな初出演(一部レギュラー出演有り)
    シリーズを読んでいない人でも、全く問題なく読める
    しかも主人公がロードレース初心者であるので、読む側も経験や知識がなくてもスイスイ話に入っていける
    主人公は、友達や先輩との関係、ロードレースを続けるのかやめるのか、自分と葛藤し続ける
    命をかける覚悟、誰かを傷つける恐怖、もう傷つきたくない自分――。
    でも潜在能力がある事を知り、どんどんロードレースにハマっていく
    ただ走りたい、自分自身と向き合うために
    助けられなかったアイツのために――。

    そういえば、最後のアイツのメールにはなんて書いてあったんだろう。。。
    良い事の様な気がする
    次の『スティグマータ』に出て来る??

  • 「サクリファイス」の第4弾という位置付けですが、登場人物や設定はこれまでと異なる物語です。

    最初は「あれ?」と思いましたが、少し読むとあれよあれよと物語に没頭して行きます。

    ホントに登場人物たちと一緒に自転車乗ってるみたい。

    真剣に自転車始めようか悩みます。(結局坂の街長崎は危険すぎるので断念)

    今回の物語はプロではなく、アマチュアというか学生がロードレースを始めて徐々にのめり込んでいく様を描いたストーリー。

    こちらも青春ありで、オススメです!

  • 感想
    今回はプロではなく、大学生がロードバイクと出会い、奮起する話。

    大学の時の先輩もロードバイクやってたなぁ。なんて思い出しながら読んだ。

    大学時代を捧げるくらい熱くなれるものに出会えたなんて幸せ。ロードバイクにも乗ってみたくなった。

    あらすじ
    フランス帰りの岸田は、新光大学に入学した。入学時に自転車部と事故を起こし、自転車部の部長の村上に怪我をさせてしまう。村上のお願いを何でも聞くといった岸田は、自転車部に入って欲しいと言われる。

    しぶしぶ1年だけと考えて、自転車部に入ったが、岸田はロードレースの魅力に取りつかれていく。

    岸田はエースの櫻井を追いかけ、練習や食事調整、体重管理なども積極的に行うようになり、なんと自転車を始めて4ヶ月でインカレチャンピオンになる。その後は櫻井とどちらがエースかで一悶着。

    岸田の自転車生活は続くように思われたが、中学時代の友達で柔道部の顧問に障害を追わされた豊が自殺未遂をしたことで酷く思い詰め、自転車を辞める決意をする。部長の村上から最低1年は部に所属する約束を守るように言われて、再び自転車部に戻る。怪我をした櫻井と大会に出て、レースの楽しさや自分が自転車を改めて好きなことに気づく。

    • hibuさん
      につさん、おはようございます!
      私もこの作品読んで、ロードバイク乗りたくなりました^_^
      につさん、おはようございます!
      私もこの作品読んで、ロードバイク乗りたくなりました^_^
      2024/03/16
  • 主人公が違うからシリーズじゃ無い気がするけど自転車レースがテーマだから良いのかな。
    シリーズで一番面白いと自分は思います。
    単純に自転車に乗りたくなりましたね。

  • シリーズ第1作となる「サクリファイス」でどハマりし、本作はシリーズ第4作となる作品。

    シリーズの主人公的な存在の白石誓の物語ではなく、大学生が初めて自転車競技に出会い、のめり込んでいく物語。

    1年間限定で入部することになった正樹と同じ倶楽部で活動する3人の物語だが、メインキャストは正樹とチームのエース櫻井。

    今までのシリーズと違い、初心者が初めてロードレーサーに乗るところから描かれる本作はある意味で本格的な自転車に乗ったことの無い私のような存在には入門書的な存在でもありました。

    人としての成長物語でもあり、大人になりきれない大学生という微妙な年頃を描いた青春物語。

    本作も大満足の1冊でした。

    説明
    内容紹介
    ふとしたきっかけでメンバー不足の自転車部に入部した正樹。たちまちロードレースの楽しさに目覚め、頭角を現す。しかし、チームの勝利を意識しはじめ、エース櫻井と衝突、中学時代の辛い記憶が蘇る。二度と誰かを傷つけるスポーツはしたくなかったのに――走る喜びにつき動かされ、祈りをペダルにこめる。自分のため、そして、助けられなかったアイツのために。感動の青春小説。
    内容(「BOOK」データベースより)
    ふとしたきっかけでメンバー不足の自転車部に入部した正樹。たちまちロードレースの楽しさに目覚め、頭角を現す。しかし、チームの勝利を意識しはじめ、エース櫻井と衝突、中学時代の辛い記憶が蘇る。二度と誰かを傷つけるスポーツはしたくなかったのに―走る喜びに突き動かされ、祈りをペダルにこめる。自分のため、そして、助けられなかったアイツのために。感動の青春長編。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    近藤/史恵
    1969(昭和44)年大阪府生れ。’93(平成5)年『凍える島』で鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。2008年『サクリファイス』で大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 読みはじめてすぐに、ぐいぐい引き込まれていきました
    ロードバイクもロードレースも全く知らない
    1回くらい乗ってみたいけど
    ママチャリ派の私にはまず無理っぽいロードバイク
    それくらいの知識しかないけど面白かった

    正樹も自転車部の先輩達も見た目と違って実はけっこう繊細で優しい
    読み終わってジーン
    読んでいる間中、正樹と一緒にロードバイクに乗ってました

  • サクリファイスシリーズ4作目。
    今度の主人公はキアズマ君なんやと思ってたら、”キアズマ”は生物学の用語らしい。染色体が交差するところ。僕、生物工学専攻やったんやけどなぁ、覚えてへんなぁ。授業ほとんどサボってだからなぁ。それはさておき、
    サクリファイスシリーズは毎回、ロードレースの熱狂をもたらしてくれるが、初心者を主人公とした今作は、主人公と共に、改めてロードレースの魅力を発見していく喜びを体験できる。
    舞台は大学の自転車部だ。大学のちょっと面倒臭い人間関係とかも思い出してしまった。いるよね、こういうセンパイ。

    主人公の正樹はトモスと言うモペットに乗って登場する。モペットとは、初期の原付。自転車にエンジンをくっつけた様な小型バイクだ。僕も以前,トモスに乗っていたので、早々に親近感を覚えてしまった。しかし、そのトモスが無茶苦茶重いことも良く知っている。エンジンを切ってペダルだけで漕ごうなどと決して思わない代物だ。ガソリン代を浮かすためとは言え、正樹の筋力と体力の異常さに驚かされる。化け物並みだ。

    しかし、今回もっとも魅力的な登場人物は先輩の櫻井。粗野にして繊細、横暴だけど親切。そして秘められた思い。ちゃんと弱点があるところも良い。アニメだったら、主人公を差し置いて人気が出るタイプ。友達にはなれないけど、友達の友達くらいにはなりたいよ。

  • シリーズ第4作目、主人公がガラリと変わり大学の自転車部。
    いいですね~~、青春真っ盛り、自転車に乗りたくなりました!!

  • キアズマというタイトルの意味が、最後までわからず。
    ただ、解説を読むと、ギリシャ語で、「交差」という意味である、とのこと。
    正樹と豊の間の交差、櫻井兄弟の交差、など、登場人物が生きてきた中での出来事に由来するタイトルのようだ。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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