責任ラバウルの将軍今村均 (新潮文庫 つ 9-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (533ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101308036

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  •  軍人を描いた3部作「いっさい夢にござ候」「甘粕大尉」「一死、大罪を謝す」の作者、角田房子が3年の歳月を費やした渾身の作「責任 ラバウルの将軍 今村均」、1987.7発行、全536頁。「私には法律で罰せられない罪がある」戦犯として服役をすませた釈放後も、自宅庭先の三畳の小屋で、戦没者を弔い遺族や部下たちへの行脚を続けた敗軍の将、今村均の旅路。もう武将でなくなった戦後23年の生き方。妻久子、肝硬変で昭和43.5、69歳で没。その妻を追うように5ヶ月後、昭和43.10.4、心筋梗塞で没。享年82。

  • ラバウル方面(第8軍)司令官だった今村均大将の伝記。

  • ラバウルの将軍.今村均    -2008.02.06記

    漫画家の水木しげるが、兵役でラバウルにいた時に、視察に来た今村均から言葉をかけられたことがあるという。
    その時の印象について「私の会った人の中で一番温かさを感じる人だった」と書いているそうな。
    -水木しげる「カランコロン漂泊記」-
    あるいは「私は今村将軍が旧部下戦犯と共に服役するためマヌス島行きを希望していると聞き、日本に来て以来初めて真の武士道に触れた思いだった。私はすぐ許可するよう命じた。」とマッカーサーに言わしめたという。
    また、1954-S29-年6月19日付朝日新聞の「天声人語」の末尾に、「自ら進んでニューギニア付近のマヌス島に行った。戦犯兵と共に労役に服している今村の姿は、彫りの深い一個の人間像とは言えよう」と書かれた今村均。
    「聖書は父の如くに神の愛を訓え、歎異抄は母の如くに神-仏の愛を訓えている――と。これは、一つのものの裏と表だけの違いである」と、ラバウル戦犯収容所時代の獄中にあって、長息和男への手紙の末尾に認めた陸軍大将今村均は、戦時の前線においても聖書と歎異抄を携え日々読んでいたという。
    角田房子「責任-ラバウルの将軍今村均」新潮文庫S62刊、初版S59新潮社-は、1954-S29-年の晩秋、戦犯としての刑期を終えた今村が、かねて自宅の庭の一隅に作らせてあった三畳一間の小屋に自ら幽閉蟄居の身として、その余生を徹底して自己を見つめなおす罪責の意識のうちに過ごし、旧部下全員-それは戦死した者、刑死した者、運よく生還し戦後の荒波のなかに生きた者すべて-への償いのために生きて、1968-S43-年心筋梗塞で独り静かな往生を遂げたその生涯を詳細によく語り伝えてくれる。

  • 詳しい感想は<a href="http://zero.s79.xrea.com/zero/archives/2005/04/post_94.php">こちら</a>

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