ぼくの死体をよろしくたのむ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1868
感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101292458

作品紹介・あらすじ

うしろ姿が美しい男に恋をし、銀色のダンベルをもらう。掌大の小さな人を救うため、銀座で猫と死闘。きれいな魂の匂いをかぎ、夜には天罰を科す儀式に勤しむ。精神年齢の外見で暮らし、一晩中ワルツを踊っては、味の安定しないお茶を飲む。きっちり半分まで食べ進めて交換する駅弁、日曜日のお昼のそうめん。恋でも恋じゃなくても、大切な誰かを思う熱情がそっと心に染み渡る、18編の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 川上さんの初読み。
    (注、★の数は個人の好みの記録です)
    新作の棚に置いており本の名前が奇妙で購入。
    18の短編集、なんか不思議すぎというか、どう捉えたら良いのか、わたしには合わず(T . T)
    多分その感じが、本作の良いところのようですが、難しかったです。
    レビューみると良い感想多数、そゆ不思議なことあるよね〜みたいな感想多いけど、わからなくて。。
    私は読書まだまだお子様、初心者だ。
    私が多分普通じゃないのかもですね笑笑
    まあいいか、次何読もうかな〜

  • 「大きな鳥にさらわれないよう」もそうだったが、今回も何やら思わせ振りなタイトルに惹かれた。

    15頁前後の短いお話が18篇。全編に日常の中の非日常感とでも言うか何か不思議な感じが漂い、はかなさやさみしさを感じさせる話が多い。
    買ってからこういう掌編集ってあまり得意でないことを思い出し、だからでもないが、私にはふわふわしていて掴みどころがない話が多くあまり刺さる話がなかった。
    しいて挙げると「いいラクダを得る」と「土曜日には映画を見に」あたり。図らずも設定に非日常感が薄かった話になった。

  • 川上さん特有の味わいのする18の短編集。
    物語に身を置くのにちょうどいい感じで、この長さが私にはしっくりとくる。
    人との距離感とか、縁のようなものが、短い文章の中に存分に描かれている。

    出てくる人たちはみんな健気で、はかなげで、不器用そうな人たちばかりなのだけれど、自分がふだん思っているよりも、人間っていいなぁって思えてくる。
    生と死が隣りあわせだということも含めて、たった一人で生きているひとなんていないんだなって、何故かしみじみ思ってしまう。

    魔法を使って大事な人に会いにくる伯父さんの話や、緑色の缶に切り抜きの死体を入れている話、そして表題作の「ぼくの死体をよろしくたのむ」が印象的だった。

    実年齢ではなく、精神年齢に伴う外見で日常生活をするための宿舎を描いた「スミレ」。
    家族解散の話「無人島から」。
    市の美術館での不思議な出会い「廊下」。
    読み進めるうちに面白さがどんどん加速して、繰り返し読みたくなる。

  • タイトルが素晴らしく、ジャケ買いした一冊です!

    ちょっと不思議な感じだったりと、とっても素敵な短編集でした。

    1話目の「鍵」がすごく好きな話でした。
    そこに出てくるナナオが別の話にも出てきたのは、
    ちょっと嬉しかったです。

    あと、タイトルにもなってる「僕の死体をよろしくたのむ」も素敵な話でした。

  • 18の短編集から成る本作。

    どの物語もユニークで不思議で完璧。

    特に良かったのは、"いいラクダを得る"。
    アラビア語を履修している5人組が創設した、流行と逆のことをする逆行サークルを巡るお話。
    若いラクダという意味の名前のバクル先生。ラクダのこぶという意味のバクル先生の母親のヒンド。バクル先生の双子の娘は、アラワとリム。山のヤギと白いカモシカという意味。
    偶蹄目がキーになっていてなんだかおもしろい。


    "スミレ"も良かった。
    技術が向上し、特定の施設の中では精神年齢が見た目年齢に反映されるようになった世界。(設定にすこしナオコーラさん味がある)
    実年齢53歳・精神年齢が18歳の主人公は、実年齢14歳33歳の松村さんと恋愛をしている。この精神年齢はずっと一定ではなく突然一気に年を取ってしまうことがある。もちろんそれに伴い、見た目の年齢も年を取る。
    年齢による隔たり。切ない。


    ラストの"廊下"もいい。
    主人公の前から突然いなくなった飛夫。結婚と出産を経た十年後、美術館の廊下であのころと変わらない飛夫の姿を見かける。
    こちらもじんわり切なく愛しい物語。


    こうしてみると後半の話ばかりなので、前半は単に忘れてしまっているだけかもしれない。
    また読み返したい一冊です。

  • 川上弘美先生の本、『センセイの鞄』以来、二作目でのチャレンジ!
    『センセイの鞄』も不思議な感覚で読みましたが、やはり独特の世界感を持つ作家さんなのかなぁ。決して、読みにくいわけではありません。でも、登場する人物は、私の周りにはいない変わり種の人物かも。
    短編集で、皆、変わり種で楽しめました。

  • 入口は平凡な日常、中には不思議な世界。
    クスッと笑えるお話もあれば、感動する、ちょっと鳥肌が立つものまで。
    さまざま対象への恋や愛の形。凝り固まった偏見や枠組みを壊してくれる素敵なお話たちでした。

  • 読むのに、ちょうどいいサイズの短編集。
    ストーリーのあれこれが起きるサイズではないけれど、登場人物とテーマがストンと着地する、そんなサイズで、色とりどりに楽しめた。

    表紙を開いて、「鍵」の一ページ目が、もう面白い。語りの目に入る小さな銀色のもの。

    なぜ、それがダンベルなのだ。
    と思った次の段落では、恋が始まっていた。
    なんで?なんで?でも、ワクワクする。

    「ずっと雨が降っていたような気がしたけれど」では、スペアを持たないと不安な女性が登場する。

    同じブラウスを二枚。普通なら不要なもの。
    でも。少し、その気持ちが、分かる。
    私も、なぜか失敗に備えてしまうクセがある。

    「憎い二人」では旅先で出会う、主人公とはまったく関係のない、三十代と四十代の男性コンビが憎めない。
    あらすじの背景に必ず潜んでいて、ずっと食べ続け、分け合い続けている二人がどのような関係なのかは分からないままだが、それがいい。

    ただ、自分が好きなものだけを共有する相手、同じ時間を過ごしても苦ではない相手。
    欲しいけど、なかなか、見つからないものだ。

    どの物語も、平凡にズレている。
    魔法が出てきたり、儀式が行われたり、でもそれらは日常の違和感程度の、些細なズレのように扱われているから可笑しい。

    自分の平凡な一日を、そっと、この作品のズレに向けて解放してみる。
    読書は、だから、楽しい。

  • 帯にある解説の美村里江さんが書いてる通り、「日常と非日常を暖簾一枚の気軽さで行き来する」という表現がピッタリ。
    ハッとするタイトルが印象的。18編の短編でよくわからない話や不思議な話が多いです。フワッと軽く読ませます。穏やかな文体で、激しさはなく、最後にそっと余白を残す感じ。
    余韻が心地よいのですが、、、感想が難しいです。
    バタフライエフェクト、二百十日、お金は大切、土曜日には映画を見に、あたりが好きです。
    隙間時間に読むのにオススメです。

  • 仕事のストレスも日々の悶々も不思議な世界観にスッと楽になる川上弘美さん。18の短編。
    最近の電車通勤の必需品でした…

    「土曜日には映画を見に」「ルル秋桜」「廊下」が特に好きですね。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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