- Amazon.co.jp ・本 (602ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101288246
作品紹介・あらすじ
日本占領下の東南アジアに、B29の大空襲を受けた東京に、原爆投下直後の広島に、そしてソ連軍が怒濤のように押し寄せる満州や樺太の地に、医師たちの姿があった。国家に総動員された彼らは、食料や医薬品が欠乏する過酷な状況下で、陸海軍将兵や民間人への医療活動を懸命に続けていた――。二十年の歳月をかけ、世に送り出された、帚木蓬生のライフ・ワーク。医療小説大賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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第二次大戦で軍医として関わった人たちの短編集。
内地勤務だった人もいれば前線に近い外地での救命活動に携わった人、のんびりとした環境で終戦を迎えた人もいれば、やっとの思いで内地に帰り着いた人もいる。
そして軍医ならではなのは、やはり命を救う、病気を治すことに使命感を感じ務めを全うする姿勢だと思う。
膨大な参考資料を読み取材した上で創作した話だと思うが嘘は言っていないだろう。
15篇もあるので途中で飽きるが、読む価値はあると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こんなに信頼できない『小説』があるとは。
どう見ても『事実』、
どう見ても『歴史』、
どう見ても『人生』。 -
2018.10.1(月)¥280(-15%引き)+税。
2019.4.15(月)。 -
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ふと、本屋さんの本棚で見つけた。
最初見つけたときは、またどうせ、ありきたりの体験談手記じゃいやだなぁと思って手に取ることもせず。
これを世間では食わず嫌いという。
いやはやふと思い立って急に買って、でもしばらく放置。
そしてある日、急に読みたくなって読んだわけだが、よかった。読んでよかった、買ってよかった。
とても淡白、冷静。「私」になりきってしまって、通勤時間が広島だったり空襲後の東京だったり、朝の時間に読むには結構つらかった。帰りもなかなかつらいけど。
視点がいつも「私」なので、吉村昭より読みやすいかも。だけれど、感傷に浸る前に現実が押し寄せて来て、立ち止まりもできないし、泣いてもいられない。
生きよう、今できることをしよう、何ができるだろう、この何もない状況で。という思考が止まることがない。
読みえてとても疲れたけれど、また再読したい。
作家のライフワークだという作品って、こんなに重たいのだと、そして何度も読みたくなるものなんだと感じた。 -
現役医師でもある著者による医療行為などのリアルな描写に思わず引き込まれる。
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悲惨を文章になおした内容。
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広島の話や東京の話は臨場感あったが
一つ一つの話が短くてちょっと物足りないというか残念な感じ。 -
本意なく従軍、あるいは被災地に赴き、充分な物資なくもどかしさを感じる。15の短編は全て「私」の一人称で冷静に語られ、ノンフィクションのような錯覚を覚える。14.7.19