猟師の肉は腐らない (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101259468

作品紹介・あらすじ

現代に、こんなに豊かな食生活があったとは! 福島の山奥、八溝山地。電気も水道もない小屋で自給自足の暮らしを送る猟師の義っしゃんは、賢い猟犬を従えて、燻した猪や兎の肉に舌鼓を打ち、渓流で釣ったばかりの岩魚や山女を焼いて頬張り、時には虫や蛙、蛇までも美味しくいただく。先人からの知恵と工夫を受け継ぎ、自然と生命の恵みを余すことなく享受する、逞しくて愛すべき猟師の姿。

感想・レビュー・書評

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  • 小泉武夫『猟師の肉は腐らない』新潮文庫。

    てっきり猟師メシをテーマにしたエッセイかノンフィクションかと思ったのだが、読んでみると非常に面白い小説だった。人間が人間らしく生きることの素晴らしさを食を通じて描いた秀作。勿論、小説の中に描かれる数々の猟師メシは小泉武夫の実食体験に基づいたものなのだろう。読んでいると味わったことの無い食感、匂い、味がリアルに伝わってくる。

    食文化や発酵学を研究する農学者の主人公の『俺』は、渋谷の酒場で猪狩義政と出会う。その後、紆余曲折を経て福島の山奥で猟師となった猪狩義政の元を『俺』が訪ねる。まるで原始人の如く自然と共に自由を謳歌し、自給自足で自然に食を求める猪狩義政との数日間の暮らし…

    さすがに昆虫食は御免であるが、野兎や猪、岩魚や山女は是非自然の中で食してみたいと思う。

  • こんな風に生きたい、とはお世辞でも思わないけど。それでもこういう生き方をする人が失われてしまうのは寂しいだろうな、と思うし、惹かれてしまう気持ちもよくわかる。

  • 福島の山奥、八溝山地で生活する猟師の「義っしゃん」電気も水道もない暮らしだが、その食生活の豊饒なこと。先人からの知恵と工夫を受け継ぎ、自然のなかで逞しく生きる姿に感動。

  • お尻をふく葉っぱを知りたい!
    クマは!ペットじゃない‼️すっごくわかる!
    子供の知り合いに狩猟をする人がいて、いろんな肉をもらうけど、時に東京の公園に生えていたキノコをもらった時は、弟子になりたいと心から思いました。
    自分で自分を養うことができる。って凄いと思います。

    お別れのシーンは、日本昔話のような余韻でした。

  • 知友からの紹介本。ノンフィクションのようなフィクションだと思う。野趣あふれる猟師メシの世界。生命力みなぎる猟師と、クマという名前の狩猟犬が自然の恵みを余すことなく享受する。

  • 小泉武夫先生が2度にわたって親友の猟師を訪ね、山奥で完全自給自足の暮らしを体験しながら(1週間x2)、日本古来の食品保存の知恵を体感する突撃レポ。登場する人間はほぼ2人(と、犬1匹)だけなのに、2人の掛け合いがとっても面白く、テンポよく読める。読み終わったあと、無性に手前味噌やどじょう鍋を作ってみたくなった。

  • 猟師の義っしゃんに語らせると「この本読んでいがった。とてもおもしろない!」となる。

  • 2017/4/16 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
    2018/6/27〜7/2

    小泉先生を彷彿させる泉山先生と、八溝山地に暮らす義っしゃんの物語。山で暮らす人々の知恵が詰まった魅力的な物語。電気やガスが無い時代には皆こういう暮らしをしていたんだろうな。

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著者プロフィール

小泉武夫(こいずみ・たけお):1943年、福島県の造り酒屋に生まれる。東京農業大学名誉教授。専門は醸造学・発酵学・食文化論。専門的な話を、分かりやすく伝える達人。また食の未来を中心に、日本が抱える多くの大問題に挑んでいることから、「箸(★正字)を持った憂国の士」と評される。140冊を超える著作があり、小説も『猟師の肉は腐らない』、『魚は粗がいちばん旨い』など、専門的な知識に裏付けられた独自の作品が多数ある。


「2023年 『熊の肉には飴があう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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