- Amazon.co.jp ・本 (401ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101252346
作品紹介・あらすじ
「箱庭療法」など日本の臨床心理学の礎を築いた河合隼雄。その独創的で深い学識や人間的魅力はいかに形づくられたのか。丹波篠山の豊かな自然と自由闊達な家族に育まれた幼年時代、悩み多き京大数学科時代、臨床心理学に目覚めて留学した米国、スイス・ユング研究所での格闘の日々……臨床家として人の心を支え続けた著者の「魂の半生記」。『未来への記憶――自伝の試み』改題。
感想・レビュー・書評
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どこで記憶したのかは
忘れてしまいましたが
ある学術講演会の時に河合隼雄さんが
講師であいさつをされることになって
ーただいま、ご紹介に預かりました
河合でございます。
さきほどご紹介のありましたように
私は…
と 始められたのですが
ーとこんなふうに 紋切り型のあいさつをすると
みなさんは 全くたいくつになってしまうよね
ほんとうに人に言葉を届けようとするんやったら…
とそれからは いつもの関西弁を駆使しての
抱腹絶倒の河合隼雄節のお話になっていた
ということを思い出しました
本書も全く やわらかな語り口そのままで
中身は かなり濃いのですが
その語り口ゆえに
田舎の一少年が戦中の世を潜り抜け
志を抱いて高校、大学へと進み
そこで出逢う人々に圧倒されつつも
しかも ちゃんと自分なりに
馴染ませつつ
「こころ」の「学び」に邁進していく
その過程が
口語で心地よく伝わってくる
そんな一冊でありました詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
たまたま店頭で見かけて、読んで、よかったと思える本。
2016.6.10 -
巻末の解説をご子息、河合俊雄先生が書かれている。
そこにも書いてあるが、河合隼雄先生の人生は、必ずしも自分で決めた通りに展開していったわけではなく、"思いがけない"アレンジによって、気が付いたらユング派分析家の第一人者になっていた。
これはクランボルツがいうところの"計画された偶発性"だし、"シンクロニシティ"(意味のある偶然の一致)だと思う。
聞き手は岩波書店の大塚信一氏という編集者で、大塚氏自身による河合隼雄伝もある。そっちは兄の河合雅雄氏にも取材しており、特に幼少期の事情がより詳細に書かれている。
こっちは、マイヤー先生がヤコービ先生をボロカスに言う話が書いてある。個人的に、こういう話は嫌いじゃない(笑)。 -
面白かった。
最後まで一気に読んでしまった。 -
無料の雑誌に連載されていたのに毎回丸善に行ってはもらってきていました。
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子どもの頃から優秀だった。機会と人に恵まれたような表現をしているが、優秀だから河合さんに寄ってきたのだろう。親兄弟もすごい。そして豊かな人生を送ったのが羨ましい。2016.3.5
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『河合隼雄自伝 未来への記憶』(著:河合隼雄)
ブログアップが遅れた本
敬愛する河合先生の自伝
ご存命の間にお話をお聞きしてみたかった・・・
そんな河合先生がどんな風に過ごされてきたのか知りたくて
手に入れてみました
付箋部分をご紹介します
・なんにも進歩しない人間というのは魅力がない(p111)
・人間のことを知らずにやっているというのはどうもあやしい。だから、もっと自分を知り、
人間を知るということが先決と思ったのです(p160)
・シンクロニシティ
・易を立てる
・スーパーバイザーの指導がすごくむずかしいのは、行くところをちゃんと見ておかなければいけない(p303)
・影というのは、簡単に言えば「その人の生きて来なかった半面」と言えます。私の生きてこなかった半面です(p318)
・常に今を生きている人だった。そして何かを目標にしたりしていたのではなくて、今を懸命に、また楽しく
生きているうちに、「まさか」ということが数多く展開していったのが河合隼雄の人生であったことが、本書を読むと
如実に分かると思われる(p394) -
先日、河合 隼雄 氏 による「河合隼雄自伝:未来への記憶」を読み終えました。
いつも行っている図書館の返却棚で目についたので手に取ってみました。文字どおり、日本を代表する心理学者河合隼雄氏の自伝です。
本書では、丹波篠山での幼年時代から臨床心理学でその地歩を築くまでの河合氏の半生が、語り言葉そのままの軽やかな筆致で綴られています。
本書で語られた河合氏のとてもユニークな半生を辿ってみると、今度は、河合氏の専門の「ユング心理学」関係の本や、そういう学術基盤の流れの中での「昔話」や「神話」の解釈の本も読んでみたくなりました。 -
2015年91冊目。
日本におけるユング派心理学や箱庭療法の先駆者である河合隼雄氏の自伝。
構成がしっかり作り込まれているというより、自由に出て来るままに書かれているので、脱線感も楽しい。
この方の偉大な功績以上に、「愛すべきおっさん」だったことがよく伝わってきた。
ユーモアがあり、ある人には特別気に入られ、ある人とは徹底的に喧嘩し、自分の感性に従っている人だと感じた。
そして何より、「臨床」であることを貫き、「一人ひとりの人間」への興味が尽きなかった人なのだと思った。
神話や物語に対する考え方や姿勢にもとても刺激を受け、時間を作って読んでいきたいと思う。 -
河合隼雄感満載でよい。学問的な部分については、社会的な情勢を見て発見の公表を遅らしたり、というどうなんだそれというものがあったりだけど、まあ純粋な意味での学者ではないのかもなと思ったりする。