殺戮者は二度わらう―放たれし業、跳梁跋扈の9事件 (新潮文庫)

制作 : 「新潮45」編集部 
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101239163

作品紹介・あらすじ

「殺意は静かに舞い降りる、誰のもとにも」血族、恋人、隣人、あるいは"あなた"に。おぞましき現場でわらうその貌は、いったい誰の面なのか…。日常の中にぽっかりと口を開ける不条理。殺る側か、殺られる側か、自らが堕ちる煉獄は果たしてどちらの絶望か-。気付かぬうちに誰もが鬼と化す恐怖。日常を蝕む業。人間の奥深き本質に迫るノンフィクション集。好評シリーズ第四弾。

感想・レビュー・書評

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  • 日本で起きた凶悪な犯罪をレポした本。知らない事件ばかりだった。動機を少しだけ理解できる事件もあれば全く理解できない事件も。特に最後に収録されている事件はただ金目当てのためのあまりにも酷い事件で犯人たちがその後出所、普通に家庭を持っていることに憤りを感じる。殺人を犯した者たちへの裁きは緩くないか?こういう本を読むといつもそう思う。

  • 実際の事件のルポルタージュ。名古屋アベック殺害事件の犯人たちのその後が描かれていて、胸糞悪い。

    風俗やキャバクラなど夜の世界で働いていて、人生の延長線上に犯罪があった人。
    普通に働いて普通に生活をしていたのに、ある日道を間違えてしまい、犯罪に手を染めてしまった人。

    日常と非日常に境目などないのだと思い知らされる。

  • シリーズPART4。

    なんだろう、シリーズ中1番悲しい気持ちになった巻かもしれない。
    事件の残虐度が高い割に、犯人や関係者の罪の意識があまりにも低い。と感じたから。

    名古屋アベック殺人事件とか、ひどすぎるよね。。。。

    なくすことは難しいのかもしれないけれど、(本当はそうしなくちゃいけないのだけど)少しでも犯罪と言うものが減ったらいいと思う。

    事件に関係し、亡くなった全ての方に合掌…

    しかし何がって、このシリーズ最後の解説を書いている面々が豪華。

  • 殺戮者は二度笑うのタイトルの通り、凄惨な犯罪を犯して出所後に平穏に暮らしている人もいれば、また同じような事を繰り返している人もいます。なかには弁護士になった人もいました。
    「生きていれば可能性はある」という言葉は、人を酷く裏切る結果に終わる事が多いように思います。

    残された被害者、加害者家族はどこを彷徨うのてしょう。

  • また買ってしまった。新潮45取材チームの犯罪もの。うーむ、世の中、悪いやつ、馬鹿が多い。反面教師にはなる。しかし、残酷。

  • 「惨劇はとつぜん起きる訳ではない 
    そんなことがある訳がない 
    それは実はゆっくりと徐々に用意されている 
    進行している」
    巻末の解説に引用されていた「リバーズ・エッジ」(岡崎教子)の一節である。

    メディアを通して知る事件は、いつも遠い存在だ。
    同じ日本で起きた、どこで起きてもおかしくないような・・・けれど、自分とは縁のない出来事。
    そんなふうに感じている人たちは多いと思う。
    読み終えてあらためて感じたことがある。
    少年法において、成人とは違った基準で罰せられた少年たち。
    そこにあるのは「更生」という二文字。
    よくわからない「更生の余地がないとは言えない」という裁判官の判決理由も聞いたことがある。
    「更生」しないかもしれないけど、「更生」するかもしれない。
    だから「更生」しないまま犯罪をまた犯してしまうかもしれないけど、ここは罪一等を減じておきましょう。
    主旨はこんなところだろうか。
    賠償金を支払う。
    それはきっとお金の問題ではないのだろう。
    多額の賠償金を少しずつでも払い続けること。
    少なくとも支払を続けている間は事件のことを忘れることは出来ないし、過去から逃げることも出来ない。
    そのために、ずっと贖罪の気持ちを持ち続けてもらうために、賠償金の支払いは必要なのかもしれない。
    不思議だったのは支払わなかったときの罰則はないのか?ということ。
    その場逃れで賠償金の支払を承諾すれば、後は逃げてしまえばいいということなのか。
    法律に基づいて決められたものならば、最後まで法律できちんと見届けることが出来ないのだろうか。
    事件は誰にも幸せをもたらさない。

  • こういうノンフィクションを読むと
    「何でここまで残虐に人を殺すのだろうか。」
    と思う。
    こういう事件のテレビとか本をよく読むが、
    犯人の心理というのは、いくら読んでも聞いても理解できない。
    たぶん、この先も理解できないと思う。
    罪を犯した本人にもわからないのだから。。。

    ただ、国はもっと被害者側の精神的ダメージや家庭にまで及ぶ崩壊にまでもっと汲み取り、少年法だけでなく、罪と罰を真摯に考え刑法を見直さないといけないのではないかな。

    加害者の生い立ちに同情はするけど、やっぱり殺人をして、その後出所し家庭をもちぬくぬくと生きてるなんて、なんだか腑に落ちない。

  • タイトル通りのコンセプトの章は最後の名古屋アベック殺人事件の犯人たちの出所後の生活を追ったルポだけ。
    その他、名古屋風俗王殺人事件、和歌山メル友殺人事件、16歳キャバ嬢殺人事件とか一時ワイドショーをにぎわせたけれど忘れている人が多いような凄惨な事件。
    一番驚いたのは和歌山メル友。本当に小説の筋書きとしても映画としてもここまでベタでバカだと駄作だと言われそうなぐらい出てくる人物全員馬鹿すぎて唖然とした。
    悪い(ヤンキーっぽい)文化に染まった馬鹿ではなく純粋な馬鹿という感じである種一番救いようがない。
    たぶん世間的に一番知名度高いのは北九州監禁殺人事件かな。これはまた別途詳しいルポを何か探して読もうと思う。

    あと印象的だったのは板橋の精神科医が患者の女とデキて絞殺したってやつ。精神科やってたらこのテのうそつきは山ほど来るだろうに、結果こいつヤブだからそういうことすら見抜けなかったんじゃないの?
    坂本龍一に楽曲提供したとか母親は元宝塚、父親はレオナルド藤田の孫とかこういう虚妄はこのテの症状を持つ患者の王道だと思うんだけど。

  • 北九州も大概やけど、神戸大学院生リンチと名古屋アベックはほんま許されへん!腹立つ!
    和歌山メル友絞殺事件…変な人達。何で原田やって気付かんねやろ?意味分からん。

  • 凶悪な殺人事件のルポルタージュ。事件の概要を知りたい時には良さそうだ。

    ただ、北九州の事件は他の本も読んだが、一部事実関係の記載が異なっていた。ある被害者の死亡の場面で、生き残った少女と、緒方被告の供述が食い違った部分だったと思う。結局どちらが正しいのかはわからないが、ここでどちらかが嘘を言っているとは思えないので、どちらかは完全に記憶を取り違えていることになる。おそらく、直接手を下していない少女の記憶が違うのではないか、ともう1冊の本では分析していた。それほどに強烈な体験だったのだろう。

    名古屋のカップルが殺された事件は本当に酷い。事件そものものの凄惨さはもちろんのこと、加害者の「元少年」らが一向に反省していない事実に、最もやるせない気持ちにさせられる。しかも、彼らの多くはその犯罪を隠して結婚し、家庭を築いているのだという。
    陵辱され、無残に殺された被害者は幸せな人生を送ることが叶わなかったにもかかわらず、加害者たちは、犯行当時未成年だからと法に守られ、のうのうと家族に囲まれて生きながらえていることに憤りを隠せない。

    だが、彼らに家族がいるのなら。逆にこうも考えられる。「もし、自分の妻子が同じような目に遭ったら」と一瞬でも考えてくれまいか、ということだ。それを想像してくれれば、被害者の痛みに少しでも思い至ることができるのではないか。今からでもいいから被害者遺族に直接詫びる者が出てきてほしい。

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