明るい夜に出かけて (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101237367

作品紹介・あらすじ

富山は、あるトラブルがきっかけで、大学を休学し、実家を離れ、期間限定の自立を始めた。人に言えない葛藤、臆病な自分……。相変わらず人間関係は苦手なまま。深夜ラジオのリスナーであることも変わらない。だが、コンビニでバイトをするうち、チャラい見掛けによらずバイトリーダーとして仕事をこなす鹿沢や、同じラジオ番組のヘビーリスナーらしい女子高生の佐古田と親しくなり、世界が鮮やかな色を取り戻していく。──『しゃべれども しゃべれども』『黄色い目の魚』『一瞬の風になれ』などの代表作をもつ著者が描く、青春小説の傑作! 第30回山本周五郎賞受賞作、待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『深夜ラジオ』を聞いたことがあるでしょうか?また、ハガキで投稿を行ったことがあるでしょうか?

    1950年代から始まった『深夜ラジオ』。かつて放送を休止していた深夜の時間帯に開始されたとされる番組たち。そんなラジオ番組も世の中の嗜好の変化により姿を変えつつあるようです。『終わった文化と言われることもある』というその世界。『深夜番組のスポンサーも減ってる』という状況は、時代の変遷を考えると仕方のないことなのかもしれません。”ラジオ好き”だったという佐藤多佳子さん。そんな佐藤さんが『その面白さの虜になり、笑ったり、あきれたり、笑ったり、驚いたり、笑ったり笑ったりしながら、毎週、胸をときめかせていました』と語る『深夜ラジオ』の世界。そんなラジオ番組にネタを投稿し続ける人たちのことを『ハガキ職人』と呼ぶのだそうです。『深夜ラジオ』を語る上では欠かせないとされる職人たち。そんな中から構成作家になる人もいるというその世界。この作品は、あることをきっかけに、その名前を封印せざるを得ない状態に追い込まれてしまった、かつて名の知れた『ハガキ職人』だった一人の大学生の物語。そんな大学生が『色々な世界を見て聞いて訪ね』て、『自分の世界を大きく豊かにしたい』と気持ちを持ち直してゆく物語です。

    『胸の名札「かざわ」、そいつが、ここの夜のボス』、『SNSのプロフィールには「歌い手」とある』という鹿沢大介と共に深夜のシフトに入るのは主人公の富山一志(とみやま かずし)。『金沢八景の駅からは少し遠く、関東学院大学の近くにある』そのコンビニ。『俺は三月半ばに、ここのバイトを始めた』という富山。『無理に愛想よくしなくてもいいけど、あんまりイヤそうに受け答えしないで』と研修中に注意され、続けられるか不安になったものの『夜勤に変わって、なんとかOKな感じになった』という今。『午前三時をすぎると、スナックやバーで働く人がやってくる』というそのコンビニ。常連だが『俺には無縁の世界だから、酒臭くて、化粧濃いめ、髪型派手めの、おねえちゃんやおばちゃんと接するのは、初めて』で、『最初は、恐怖だった』という富山。『とみやまくんの、そのシルバーの眼鏡のフレーム、高いでしょ?』と常連客のミミさんに言われ『眼鏡には、こだわっている。ほめられると、さすがにうれしかった』という富山は『フォーナインズです』と答えます。『あ、数時の9を四つ書くヤツ』と反応するミミさん。『とみやまくんてさ、なんか、もう、眼鏡男子の標本みたいだよね』という『あっけらかんとした話し方は、とても感じがいい』と思う富山。そんなミミさんが『あ、髪の毛、ついてる』と『レジカウンター越しに手を伸ばして、俺の制服の肩に落ちていたらしい髪の毛をつまもうとし』ます。『長く伸ばした爪先と指が首筋をかすめた』というその瞬間。『何をやったのか、自分ではわからなかった』という富山。『その瞬間は、頭が空っぽになっていた』という富山の前に『尻もちをついて商品の棚に頭をぶつけていた』ミミさんがいました。『俺は頭も体もかたまって、まったく動けなかった』という富山に対して『すばやくミミさんを助け起こして、怪我がないかどうか確かめていた』鹿沢。『おまえ、何するんだよ?』と怒鳴る鹿沢。『お尻のほうが痛い。尾てい骨打った』と笑うミミさん。『謝れよ、おまえ!』という鹿沢に『すみません』と声をしぼりだす富山。『おい、客が怪我したって?』とやってきた副店長にバックヤード行きを指示された富山は『主に自己嫌悪と自己不信』の感情がこみあげます。『手で触れられただけで、こんなに過激な反応をしてしまった』と、その瞬間のことを『覚えていない。頭が真っ白になってしま』ったと振り返る富山。『それは、俺の「病気」だった』という『接触恐怖症』。『触られると過剰反応する』というその症状。『気にすんなって。とみやまくんにそう言ってって』とミミさんの伝言を伝えに来た鹿沢は『ミミちゃんから伝言っつうか質問。とみやまくんって、ゲイなの?』と声をひそめて訊きます。それに返事できない富山。『ミミさん、驚いただろうな。身体を傷つけてしまったが、気持ちも傷ついただろう』と思う富山は『謝りに行かないと』と考えます。しかし、『実際に謝れる気が、まったくしなかった。電話なんか無理だ』と思う富山。そんな富山がコンビニで働く中で、そこで出会っていく人たちとの関係を深め、何かを感じていく、そして掴んでいく、それからの物語が描かれていきます。

    『二〇一四年から一五年にかけて放送された伝説的番組、ニッポン放送の「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」を作中に色濃く使わせていただきました』と佐藤多佳子さんが語る通り、この作品には、全面に渡ってこの時代のラジオ番組、そして担当した芸人の実名がおびただしいほどに登場します。正直なところ、ラジオは自動車の運転中にたまに聴く程度で、『深夜ラジオ』は一度も聴いたことがなく、『アルコ&ピース』= 誰?という私には全く理解できない言葉、感覚の表現の洪水に冒頭からすっかり面食らってしまい、最後の最後まで一種の疎外感から抜け出すことができませんでした。さらには、主人公・富山の独り言調の文体にも違和感が拭えないままで、なかなか気持ちが入っていかない読書を強いられました。実際、ブクログのレビューを見ても同様な理由で読むのを途中で断念した、という方もいらっしゃるようです。やはり、『深夜ラジオ』についての最低限の知識と感覚的な経験がないと最後まで読み通すのは”気持ち的に”ハードルが高いように感じました。その一方で、普段から『深夜ラジオ』を聴いていらっしゃる方にとっては、そんな『伝説的番組』のリアルな過去がこうして小説となったことに感慨深い思いが湧く物語だとも思います。ということで、この作品が読者を選ぶ作品であることは残念ながら否定できないと思います。このあたり、佐藤さんもお分かりのようで、『ラジオにあまりなじみのない読者の方にご理解いただけたのか、不安や心配は尽きません』とあとがきに書かれています。この『不安や心配』が、少なくとも私にとっては、現実になってしまった感があります。しかし、こういった何か特定の分野、嗜好に強く焦点を当てた作品の場合、これはある程度やむを得ないことだとも思います。どうしたものか迷いましたが、私の場合、早々に『深夜ラジオ』関係の記述を、極力”無視”して読み進めることで、萎えそうになる気持ちを鼓舞し、読書の集中力をどうにか維持しました。そして、佐藤さんがもう一つおっしゃられている『メイン・モチーフは、深夜ラジオですが、長年あたためていた、夜の中で心をさまよわせる若者たちの物語です』という部分を意識して読むようにした結果、少し強引ですが最後まで読了できました。辛かった、とにかく辛かった、趣味の読書でよく頑張った!と自分を褒めてあげたい…です。これまで300数十冊の小説を読んできて、ここまで”苦行の読書”を強いられた作品は初めてで、読了後も戸惑いを隠せません…。(この作品に魅せられた方、佐藤多佳子さん、ごめんなさい。でも、私の正直な感想なのでご容赦ください)

    そんな『若者たちの物語』に浮かび上がってきたのは、『接触恐怖症』の症状があり、生きることに不器用な大学生・富山一志が少しずつ何かを得ていく、力をつけていく、そんな様を見る物語でした。『メンヘラだって自覚してて、治したいとはやっぱり思ってて』という富山。大学を休学し一人暮らしを決意した富山は『どういう努力をするって前向きな意識はなかった』ものの、『バイトはちゃんとやろう、ラジオだけの生活にしない』という二つの条件を自らに課します。それは『学生じゃなくなりたい。脱出をして、まったく違う世界で、やれることを考えたい』と思う一方で『引きこもり以外の生活をする』ためのギリギリの選択でもありました。そんな暮らしの中で、コンビニの同僚であり『歌い手』の鹿沢、『ハガキ職人』の永川、そして同じく『ハガキ職人』で高校生の佐古田愛と出会います。人は思い詰めると周囲が見えなくなっていきます。何事にも関心が向かなくなり、他人のことにも興味が失われていき、どんどん内へ内へとこもっていきます。『もう、ほとんどのことがどうでもよくなっちまう。世界から色がなくなるような感じ』というその行き詰まりの感情。そこから抜け出すには、何かしらきっかけが必要です。その一方で『真の名前を知られてはいけないのだ。おまけに、俺には過去に封印したもう一つの真の名前がある』と、内へと籠るきっかけとなった過去の出来事に触れられることを恐れる富山。そんな富山は『明るい夜に出かけて』というフレーズと出会います。この作品の書名にもなっているとても印象的なこの言葉。『切ないような、悲しいような、愛しいような、楽しいような、いくつもの異なる感情、つかみどころのない思いが重なってくる』と富山が感じるように、”夜”という暗さの象徴とも言えるその言葉に”明るい”で形容するというとても不思議なこの言葉。そんな言葉の中には、生活を送るためのコンビニの仕事、そして生きる喜びとして富山を支え続ける『深夜ラジオ』という、富山にとっての灯火の明るさを感じることができました。そんな場を通して、内に籠った世界から出て行くことを考える富山。『色々なことを知ろう。色々な世界を見て聞いて訪ねよう。どんなに知識があっても足りない。知識だけじゃ足りない。何もかも足りない。たくさん、たくさん、取り込んで吸収して、自分の世界を大きく豊かにしたい』というその夢は、語らずとも富山の心の中を明るく照らしているのだと思いました。

    『今日も、明日も、私は、深夜ラジオを聴いて笑い続け、時には、足りない物を求めて深夜のコンビニに出かけるはずです』と語る佐藤さん。物理的には暗いはずの夜。しかし、そんな夜に明るさを見出す人がいる。心の拠り所をどこに求めるかは人それぞれです。誰にだって心の拠り所はあるはずです。そんな心の拠り所が照らし続ける光は、それが例え他の人から見て儚いものであったとしても、その人にとってはかけがえのない、人生の行く先を照らし続けるものだということもあるのだと思います。

    『やり直しがきかないこともあるが、君の年だと色々なチャレンジができる。何度でもできる』。ゆらゆらとぼんやりとした、それでいて沢山の可能性を秘めた青春の灯火の中に、富山の未来が確かに照らされている、そんな光景を結末に見る物語。暗いはずの夜に確かに明りが灯るのを感じた、そんな作品でした。

  • 大好きな作家、佐藤多佳子の作品。期待以上の傑作だ!
    まず、具体的な芸人や番組を取り上げてくれている。著者は私と同年代だから、すごい取材をしたんだろう。私たち世代なら谷村新司「セイヤング」鶴光「オールナイトニッポン」などになるが、アルコ&ピースを綿密に描写していて頭が下がる。風景描写も素晴らしく、後半の平潟湾の富山と佐古田の夜の散歩?は風景が目の前に鮮明に現れた。そして、佐古田、つまりは虹色ギャランドゥがめちゃくちゃ魅力的なキャラで、富山との不器用な恋路の行き先が気になってしまう。今を生きる若者の成長を綴った本作は「サマータイム」「一瞬の風になれ」と並ぶ、著者の代表作だと感じた。

  •  『 勝手に「ラジオ」特集 #2 』
     ー佐藤多佳子さん『明るい夜に出かけて』ー

     いやー、ヘビーな印象ですねー。内容の重苦しさという意味ではありません。深夜ラジオのヘビーリスナー、SNSのヘビーユーザーという(いかにも若者的な)意味で、です。
     情報機器に精通しながらも、実在の人との関係性に不器用な若者の、多面的なリアルを実に巧みに炙り出している物語だと感じました。

     実在の深夜放送のラジオ番組と芸人さんを中心としたパーソナリティが色濃く登場し、取り巻くリスナーたちの心理・感情表現は、著者自身のラジオ愛・パーソナリティ愛の経験値に裏打ちされているからこその描写と思えます。時々、ドキュメンタリーを読んでいると錯覚するほどのリアル感です。
     深夜ラジオやSNSに自分の居場所を見い出し、拠り所としている人にとっては、見知らぬ誰かとの繋がりや連帯感をもてるのでしょう。
     ここに感じる〝明るさ〟は、深夜のコンビニに相通じるところがあり、光と影の鮮やかさ、明暗さの具合が物語に落とし込まれ、絶妙に描かれている気がしました。

     若者たちが抱える疎外感や孤立感が、深夜のコンビニバイト・深夜ラジオやネット配信を通して、少しずつ実際に繋がるうちに、心の中に明るさを見い出し、希望へと結びついていく物語でした。
     著者のあとがきと朝井リョウさんの解説、これがまたとってもいいですね。

  • 深夜のコンビニバイトをしている富山(とみやま)は、ある理由で大学に通えなくなり、実家を離れて一人暮らしをしている。
    バイト先の先輩鹿沢(かざわ)、店にお客としてやってくる一風変わった女子高生佐古田(さこだ)、高校の同級生だった永川(ながかわ)との交流が始まり、孤独だった富山が少しずつ変わり始める。

    実在する深夜ラジオ番組をふんだんに織り込みながら、夜の闇を明るく照らすコンビニを舞台に、主人公の独白のような形で物語が進んでゆく。
    夜を彷徨う若者たちに、ほのかに光が射していく感じがして、心が震える。
    これもまた青春の一ページなのだなぁと思う。

    朝井リョウさんの解説がとてもよかったです。

  • 良かった!
    著者の熱量にグイグイ押されましたー!
    アルバイト先のコンビニでの人間関係、熱烈なファンである深夜ラジオ番組をキーに、主人公・富山が少しずつ自分自身を見つめ認めていく。
    俺=富山の独白…しゃべり言葉、若者省略言葉(一部意味が解らない言葉もあり、笑)で話が進んでいくのですが、これが富山の心の揺らぎや変化を絶妙によく表していて、すごく良かったです!

  • 本との出会いってすごく運命的 適当に手にとったこの小説でそんなことを改めて感じた
    なぜなら私は中学高校の頃から二十数年ぶりに、今まさに、ラジオ(正確にはポッドキャスト)にハマっているから!こんな偶然!

    佐藤多佳子先生はいいイメージ 2-3作品?読んだことある それだけで裏表紙のあらすじも見ずに読みはじめた 
    コミュ障のコンビニバイト話かと思ったらまさかこんな素敵4人のストーリーとは!鹿沢はかっこいいし佐古田は天才でかわいい 年もいい感じな距離感 ラジオだけじゃなく歌い手にアメーバピグ 後半のアルピーANN実況の熱量!これこれ佐藤先生の文章 主人公頭の中の言葉がどばーと溢れてくる感じ 止まらない
    ラジオ描写はアツいけど全体的には落ち着いた夜 深夜のコンビニ 金沢八景 国道と海 いい青春小説 成長あるし繋がりあるし辛さもある いいな成長って バイト辞めること伝えた時の副店長もいい!

    カレー屋で佐古田にはたかれた後の「いつか、ぶち返す」が周りの反応含めて最高だった

    「夜」という言葉の持つ深さと、「明るい」という言葉の持つ強さ。十人いれば、きっと十通りの「明るい夜」のイメージがある。

  • 『明るい夜に出かけて』佐藤多佳子(新潮社) | 店員のおすすめ | 谷島屋書店|小説・コミック・専門書・ブックカフェ
    https://www.yajimaya.co.jp/recommend/?mode=detail&article=738

    PUSH!1st.
    http://www.book1st.net/push/no35/

    作家・佐藤多佳子「運命の1冊に出合った中1の夏」:日経xwoman(2018.07.18)
    https://woman.nikkei.com/atcl/dual/column/17/101200003/061500117/

    Yoko Tanji Artworks
    https://tumblr.tanji.jp/

    佐藤多佳子 『明るい夜に出かけて』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/123736/

  • 接触恐怖症に悩む主人公・富山は、インターネット上のトラブルをきっかけに、大学を休学。一年間の一人暮らしを、始める。生活の糧は、コンビニバイト。

    深夜ラジオのヘビーリスナーであり、ちょっとしたハガキ職人だった。

    深夜ラジオの生放送シーンが、実名で頻繁に登場する。この作品の主要部分でもある。臨場感あり。ラジオ愛満載。(私は、深夜ラジオもニコニコもアメーバピグも、加えてお笑い番組に至るまで、未経験。雰囲気は、頂きました。)

    モラトリアムにしては、ちょっとキツ目の一年だけど、富山は、この期間に出会ったコンビニ仲間やハガキ職人仲間に恵まれて、徐々に未来を見出し始める。

    明るい夜の象徴は、コンビニと深夜ラジオ。
    富山の活動地域も全て実名で、たぶん表現通りなんだろうな。作者の文体も若め設定(申し訳ない)で、青春小説として、面白く読んだ。

  • 久々に引き込まれた本に会えた

    実在する登場人物が出てくることで
    実際あった話のように感じられたところが
    夢中になれた理由のひとつだろうか

    誰でも何かしらの人とは違ったところを持っていて
    それを個性と呼ぶのだろうが
    主たる登場人物の4人は
    普通よりもより個性的で
    それ故に生きづらさも抱えていて
    その部分を補い合うわけでも認めるわけでもなく
    ただそのままでいいから
    一緒にいられるようになっていった

    そのままの4人が
    お互いに影響し合って
    それぞれが変化していく

    そんな関係が
    「いい」関係というのだろうなと思わせてくれた

    読み終えるのに年をまたいでしまったけれど
    よい年末年始だった

  • 人と深く関わることにトラウマを抱えてしまい、自分を見つめなおすために大学を一年休学した富山くん。

    その期間に出会った人たち…コンビニのバイト仲間・鹿沢やラジオ好きの女子高生・佐古田との繋がりができていくうちに
    自分のやりたいこと、進みたい道を考えるようになり、少しずつ前に進み出していきます。

    女子高の文化祭の演劇や、素人が作った音楽、のんびり夜道を散歩したことなど、、、他人からすればどうってことないような、本当にたわいもないことがきっかけとなって、人の気持ちが大きく動くことってあるんだよなぁと思いました。


    また、作中にはオールナイトニッポンに関するネタが何度も登場するので、久しぶりに深夜のラジオを聴いてみたくなりました。
    大学受験のとき、時々ナイナイのオールナイトニッポンを聴いたりして、暗い夜中も一人じゃないんだなぁって感じた記憶があります。あの深夜のドキドキ感、もう一度味わってみようかな。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。1989年、「サマータイムで」月刊MOE童話大賞を受賞しデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で98年、産経児童出版文化賞、日本児童文学者協会賞、99年に路傍の石文学賞を受賞。ほかの著書に『しゃべれども しゃべれども』『神様がくれた指』『黄色い目の魚』日本代表リレーチームを描くノンフィクション『夏から夏へ』などがある。http://www009.upp.sonet.ne.jp/umigarasuto/

「2009年 『一瞬の風になれ 第三部 -ドン-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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