ポーカー・フェース (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235202

作品紹介・あらすじ

「初体験」から書き起こし、靴磨きの老人と鮨屋の主人の手がもたらす感懐へと導かれる「男派と女派」、銀座の酒場のエピソードがやがてカクテルの逸話へと姿を変える「マリーとメアリー」……波から波へと移るように、小路をふっと曲がるように、意外な場所へと運ばれるめくるめく語りの芳醇に酔う13篇。『バーボン・ストリート』『チェーン・スモーキング』に続く傑作エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • チェーンスモーキングを読んだのは何年前だったろう?
    本書もほぼ変わらない筆致で、こんなスマートな文章あるんだ、という軽いショックを受けた感覚を思い出した…

  • バーボンストリート、チェーンスモーキングに続く、同種のエッセイ集。流れるような話の運び方は本当にさすがだと思う。高峰秀子とのエピソードなどは、人間的な魅力のなすものなのだろう。人間力の極みだ。前2作よりだいぶ最近のことになるので、それはそれで楽しめた。

  • 沢木さんの短編エッセイ集。過度に気取らず、さりとて平凡でなく。旅先や仕事、家の近くの公園で会った人、著名な人との関わりなど、人生における様々な小さな出来事から、話を膨らませるのは素晴らしい才能。旅先で読むにはちょうど良い内容と分量。

  • 出張の際に持ち歩き、読み返している。このエッセイも秀逸。

  • 改めて読み返してみると、沢木耕太郎の感心が「嘘」に向いているのではないかとも読める。「何か」以外、本当の存在以外のものに自分自身や自分が作り上げるものを似せようとする試み。それは沢木がノンフィクションという原理的に「嘘」を許されない世界に生きており、その流儀をきっちり守り通してきたプロフェッショナルだからこそかもしれない(邪推なのはわかっている)。今回の読書でも沢木ならではの「嘘」のような体験を知ることができ、そこから確かにさまざまな文章が引き出されるマジックを堪能できた。この人はプロだ、と安心感をもらう

  • 「沢木耕太郎」のエッセイ集『ポーカー・フェース』を読みました。

    『凍』、『流星ひとつ』に続き、「沢木耕太郎」作品です。

    -----story-------------
    極上の、芳醇。
    『バーボン・ストリート』『チェーン・スモーキング』に連なる必読の傑作エッセイ集! 
    累計55万部。

    「初体験」から書き起こし、靴磨きの老人と鮨屋の主人の手がもたらす感懐へと導かれる『男派と女派』、銀座の酒場のエピソードがやがてカクテルの逸話へと姿を変える『マリーとメアリー』……波から波へと移るように、小路をふっと曲がるように、意外な場所へと運ばれるめくるめく語りの芳醇に酔う13篇。
    『バーボン・ストリート』『チェーン・スモーキング』に続く傑作エッセイ集。
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    珠玉の作品『バーボン・ストリート』、『チェーン・スモーキング』の流れをくむエッセイ集らしいです… この2作品を読んだのは8年くらい前だし、出版時期も『バーボン・ストリート』が1984年(昭和59年)、『チェーン・スモーキング』が1990年(平成2年)、本作品が2011年(平成23年)と前2作品とは大きく異なるのですが、共通して言えるのは読んでいるうちに、どんどん引き込まれていくということ、、、

    ひとつのエッセイの中で、彼方此方と複数のエピソードを行ったり来たりしつつ、それらのエピソードが複数の糸でつながり、しっかりオチを着ける展開… そんな、さり気なく絶妙で緻密な構成が愉しめることと、私の理想とする部分と価値観が近く、共感できることが多いのが好感を持てる要因なのかな と思います。

     ■男派と女派
     ■どこかでだれかが
     ■悟りの構造
     ■マリーとメアリー
     ■なりすます
     ■恐怖の報酬
     ■春にはならない
     ■ブーメランのように
     ■ゆびきりげんまん
     ■挽歌、ひとつ
     ■言葉もあだに
     ■アンラッキー・ブルース
     ■沖ゆく船を見送って
     ■あとがき
     ■文庫版のための「あとがき」
     ■解説 長友啓典


    『男派と女派』は、新橋駅まで50年以上も靴磨きをしている老女の節くれだった男のような太い指が鮮烈な印象を残すエッセイ… エッセイの中で「沢木耕太郎」が何でも人に訊いちゃう性格だということがさりげなく紹介してありましたが、これが類まれなインタビュアーとしての巧さにつながっているのかもしれませんね。


    『どこかでだれかが』の自分に似た人の話題から展開する"幸・不幸シーソー説"は、以前、私も考えたことがあっただけに、他にも同じことを考える人がいるんだ… と不思議な気持ちにさせるエッセイでした、、、

    「伊集院光」のエッセイから引用された、サラリーマン失踪の原因について父親が「会社の駅を乗り越して、ふと外を見たら、ものすごく良い天気だった… くらいのものだろう」と語るシーンについては、思いっ切り共感してしまいました… 人が失踪するきっかけなんて、そんなことなんだと思います。


    『悟りの構造』は、久しぶりに「J・D・サリンジャー」や「ジュール・ヴェルヌ」の作品を読みたい気分にさせられるエッセイでした… そして、「宇宙意思の会」の教義、

    「世の中におきるすべてのこと、
     森羅万象、たとえば男が浮気をするのも、
     呑んだくれるのも、博奕ですってんてんになるのも、
     これはすべて宇宙の意思である」

    には共感できる男性が多いでしょうね。


    『マリーとメアリー』では、カクテルのブラディ・マリーに関する蘊蓄を知ることができました… イギリス国教会の関係者を大量に処刑したイングランドの「メアリー一世」から来ているんですね。


    『なりすます』は、まだ少年だった「井上ひさし」が1947年(昭和22年)に地元の山形県米沢市で「井伏鱒二」を見たが、実は偽者だったというエピソードから、意図的なものから、勘違いまでの"なりすまし"について語られた面白いエッセイ… 他人の勘違いを訂正するのも面倒で、ついつい"なりすます"ってこと、ありますよね。


    『恐怖の報酬』は、「沢木耕太郎」が蛇恐怖症だという意外性に驚き、先日読了した『凍』の取材過程で「山野井夫妻」とヒマラヤへ行ったエピソードが印象に残るエッセイでした… ヤクザが指を落す痛いエピソードは、ちょっと苦手です。


    『春にはならない』は、ホントらしいウソの話と、ウソのようなホントの話について語られたエッセイ、、、

    ホントに、ホントらしいウソの話って、困りますよね… 尾鰭が付いて、話が作られていくしね。


    『ブーメランのように』は、「団塊の世代」という言葉を気持ち悪いと感じる「沢木耕太郎」が、そこから、世代でひとくくりにされることを好まず、集団に所属することを嫌い、一匹狼としてやっていきたいということを宣言することが印象的なエッセイ、、、

    エッセイで紹介される「沢木耕太郎」が翻訳した「トニー・パーカー」のノンフィクション作品『殺人者たちの午後』を読んでみたくなりました… 殺人を犯した12人の男女へのインタビューをノンフィクションとしてまとめた作品だそうです。


    『ゆびきりげんまん』では、「沢木耕太郎」のスポーツ・ノンフィクション作品である『敗れざる者たち』、『王の闇』でのエピグラフが、著名人のイニシャルをちょっとだけ変えて、勝手に手を入れた文章だということを知りました、、、

    「アーネスト(Ernest)・ヘミングウェイ」が「A・ヘミングウェイ」なっていたり、「ミゲル・デ・セルバンテス」が「B・セルバンテス」になっていたり… こんなところに遊び心が織り込まれているなんて。


    『挽歌、ひとつ』は、「沢木耕太郎」の「高峰秀子」や「尾崎豊」との交流が印象的なエッセイ… 「高峰秀子」との間柄は、彼女のエッセイでも語られていますよね。


    『言葉もあだに』は、『明日のジョー』や「宮崎駿」アニメの話題まで出てきて、「沢木耕太郎」の知識の幅広さを感じさせるエッセイでした… マンガやアニメも見てるんだなぁ。


    『アンラッキー・ブルース』は、何が不幸で、何が幸運なのか… 考えさせられるエッセイでした。


    『沖ゆく船を見送って』は、うーん、賭博には興味がないので、バカラの話題には付いていけなかったなぁ… 本作品の中で、唯一、流して読んだエッセイでした。



    新しい発見もあったし、共感できる内容も多かったので、あっという間に愉しく読めました。

  • 沢木節

  • 代田の古本屋で発見。

    沢木耕太郎は深夜特急しか読んだことはなく、エッセイは初めて。
    男性の作家の文章はやっぱり好きだけど、エッセイを書くとなると人生で経験してきた話が元になるからか、やっぱり年齢を重ねた人の経験談、良い意味でおじさん臭がするものが多いんだよな。話題とか。
    若い男性の作家でエッセイが面白い人って誰かいるのか、探してみたい。

    一番印象的だったのは、ダントツで
    “「いままでの人生で、大事なことというのは男と女のどちらに教えてもらいましたか」"

    これは面白かった。

  • 山野井泰史のことが書かれていると知って、すかさず読んだ。私の大好きな高峰秀子のことも書いてあったのはめっけ物だった。高峰のエッセイは半分ほど読んでいるが、30年ほど前なので記憶が薄れている。清々(せいせい)ときっぱりした小気味いい文章を絶賛する人は多い。
    https://sessendo.blogspot.com/2021/03/blog-post_31.html

  • 一回目
    こういうのつまらん

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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