押入れのちよ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3104
感想 : 407
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101230344

作品紹介・あらすじ

失業中サラリーマンの恵太が引っ越した先は、家賃3万3千円の超お得な格安アパート。しかし一日目の夜玄関脇の押入れから「出て」きたのは、自称明治39年生れの14歳、推定身長130cm後半の、かわいらしい女の子だった(表題作「押入れのちよ」)。ままならない世の中で、必死に生きざるをえない人間(と幽霊)の可笑しみや哀しみを見事に描いた、全9夜からなる傑作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 先日、友人に頂いたんです。荻原浩さんの短編集。
    タイトル“押し入れのチヨ”⁉︎せめて、クローゼットのチェリーとかにならなかったのだろうかと。
    「押し入れのチヨ」は、訳あり格安アパートの押し入れから出てきた明治生まれの女の子。この作品と「しんちゃんの自転車」は、恵まれない環境の中、幼い命を失い、少し現世に気持ちを残した優霊達。
    ジェントル・ゴースト・ストーリーというジャンル。「コール」も、親友の好きな女の子と結婚してしまい、後悔を持ったまま亡くなった男の霊が、死後の二人を認めるという優霊系。
    「殺意のレシピ」「介護の鬼」「予期せぬ訪問者」は、コメディタッチのホラーテイスト。
    「お母さまのロシアのスープ」「老猫」「木下闇」は、ミステリタッチのホラーテイスト。
    全9作秀作揃い。ちょっとクラシックで、多少同情してしまうような。
    (朱川さん+乙一さん+岩井さん)÷3×昭和÷平成
    な感じ。荻原さんの、違った側面を読ませていただきました。

  • 「ゲッ!」
    「(๑o̴̶̷̥᷅﹏o̴̶̷̥᷅๑)ウルウル」
    「ヒッ〜!」
    って感じの短編集。
    ホラーなんやけど、そんなに怖くない。

    こんな幽霊なら、話ししても良いかなと思わせる
    「押入れのちよ」
    キョンシーや!と思わせる
    「しんちゃんの自転車」
    いずれも心優しいから、ええんやな。
    「コール」もそう。
    何かええ感じ。

    その他、コメディっぽくはなってるけど、生きてる人の方が怖いって思ってしまう作品などなど。

    そうホラー、ホラーしてないんで、ホラー苦手な人でも読めそう。
    優しい人は、生きてても、亡くなっても同じ何やなぁ…
    そういう風になりたいです!

  • 荻原浩さんは初めての作家さんかな?
    どの話もちょっとブラックで味のある短編集。

    表題作「押入れのちよ」がやっぱり一番良かった♪
    ラストの「しんちゃんの自転車」もちょっと切なくて好き。

    荻原さんはちょっと毒のあるお話が多いのかしら⁇

    • aoi-soraさん
      あ、これ!
      おびさんに教えてもらった本です
      まだ読んでない(^^ゞ
      面白そうね♪
      あ、これ!
      おびさんに教えてもらった本です
      まだ読んでない(^^ゞ
      面白そうね♪
      2023/10/22
    • みんみんさん
      そうそう薄めの乙一ちょっとほろ苦大人味⁇
      介護や離婚間際の夫婦とか?
      そうそう薄めの乙一ちょっとほろ苦大人味⁇
      介護や離婚間際の夫婦とか?
      2023/10/22
    • なおなおさん
      こんにちは!
      荻原浩さんの「噂」はいかがでしょうか。
      乙一のGOTHに近い感じかも…:(꒪꒫꒪):
      こんにちは!
      荻原浩さんの「噂」はいかがでしょうか。
      乙一のGOTHに近い感じかも…:(꒪꒫꒪):
      2023/10/22
  • 9編のホラー短編集

    ・お母さまのロシアのスープ
    ・コール
    ・押入れのちよ
    ・老猫
    ・殺意のレシピ
    ・介護の鬼
    ・予期せぬ訪問者
    ・木下闇
    ・しんちゃんの自転車


    「押入れのちよ」から
    失業中サラリーマンの恵太が引っ越した先は、家賃3万3千円の超お得な
    格安アパート。
    しかし、一日目の夜玄関の押入れから「出て」きたのは、自称明治39年生まれの14歳、
    推定身長130cm後半の、かわいらしい女の子だった…。

    タイトルから…表紙のイラストからホラーなんだと思いながら読み始めた。
    やはり…ホラーでした(笑)
    9編のホラー短編集でしたが、怖いばかりのホラーばかりではなくて、
    えーーーっ、と驚かされたり、クスッと笑えたり、切なくなったり
    ホロリとしたり、温かい気持ちになれたり…。
    でも、ゾワッとする正統派ホラーもあったりと楽しめました。
    何となくほんわかさせてくれる優しいトーンのものが程よく混ぜられいて、
    全く飽きなかった。
    書きわけがとっても上手だったです。
    バラエティ豊かでした。
    現実に自分の周囲でもあり得そうな、不気味さが感じられて良かったです。
    とっても素晴らしかった~読んで良かったです(*´ー`*)♡

  • ホラー短編集×9編
    「押入れのちよ」
    格安物件。但し女の子(明治生)の幽霊つき。
    ちよが無邪気で可愛らしく、主人公との掛け合いが楽しい。
    「老猫」1番怖かった。

  • それぞれホラー要素が楽しめる短編集だった。
    家族や恋人、夫婦に兄弟、友達とバラエティーに富んだ内容で面白かった。
    個人的には、やっぱり押し入れのちよが一番好き。

    無邪気なちよが可愛くて、かわいそうで恵太との掛け合いが最高!

  • ブラックな笑いとグッとくるホラーが荻原浩さんらしい、ダークな短編集。明治生まれの“優霊”が愛しい表題作、男2人女1人の“幽情”が切ない「コール」、夫婦騙し合いの結末が“笑撃”「殺意のレシピ」、そして15年ぶりの“怪逅”が泣ける「木下闇」が印象的でした。

  • ホラー短編集。世にも奇妙な物語みたいな感じ。

    押入れのちよは面白かった。ホラー小説はあまり読まないのでたまには良いなと思いました。

  • 三省堂の本の福袋で手に取った作品。ホラーは普段まったく読まず、表紙からして怖かったので年末まで寝かせてしまった。9作の短編が収録されている。読んでみると表題作『押入れのちよ』はホラーではあるものの心温まる話でとてもよかった。格安アパートに引っ越した恵太が部屋で見た自称明治39年生まれの14歳の女の子・ちよ。謎の存在ながらも、ビーフジャーキーをかじってカルピスを飲む姿が愛くるしい。彼女の過去がわかっていくたびにどんどん感情移入してしまった。

    『コール』も同じくしっとりとした読み味の作品でよかった。「桜は無慈悲なぐらい美しかった。人の都合に関係なく、時期が来れば咲き、時期が終われば散る。人間の生き死にと同じだ」という言葉が好き。この作品や『お母さまのロシアのスープ』など、短編の中にも予想を裏切る仕掛けがあって面白く読めた。
    『予期せぬ訪問者』『殺意のレシピ』は笑いつつ読める短編。ダークな設定ではあるんだけど、コントを見ているような感覚で読めるね。

    三省堂の福袋のおみくじに「本当に怖いもの、それは“座敷わらし”でもなく、“鬼”でもなく“人間”…」とあったけど、ホラーやファンタジー要素がありつつも、現実や人間の醜い感情を隠さずに描くからこそのリアリティがあって怖い話も多かった。『介護の鬼』は自業自得なんだけど、あの結末は鳥肌が立った。仇を取るという大義があれども、人間の方がやることは怖いね。

  • どの話も読みやすく面白い。ハズレのない短編集でした。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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