鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101215129

作品紹介・あらすじ

鳥類学者、それは神に選ばれし存在である。スマートな頭脳に加え、過酷なフィールドにいつでも出張できる体力が必要なのだから。かわいいメグロからの採血。噴火する孤島への上陸。ある日は吸血カラスの存在に驚き、ある夜は蛾の襲来に震え……。美女たちよ、わたしに近づくな。やけどするぜ。生き物を愛する人にも、そうでもない人にも、絶対に楽しめる、汗と笑いの自然科学エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 読みたいなと思ってたら文庫化されてたので購入。思った通り楽しかった。オタク的研究をわかりやすく紹介。意識して饒舌多弁になってるところが好き嫌い分かれるかな?いつもの読書と違う脳を使った感覚。

  • 鳥類学者の著者が、日々の研究の様子やフィールドでの苦労話を面白おかしく紹介した本。
    口が悪いというか、奔放な表現も多いが、楽しめた。
    サバイバルなフィールド調査では共同研究者の存在が益々重要かもしれない。

  • 鳥類学者・川上和人氏、汗と笑いと明治のカールと、自然科学の愉快なエッセイ。
    主な研究フィールドは小笠原諸島。出張先はジャングルから無人島まで。一見華々しいが、それは、地道な研究の一面。気力と体力と時の運とダジャレセンスまで必要な過酷なお仕事なのです。
    鳥類に対する愛も自然化学に対する献身も峰不二子ちゃんに対する憧憬も、みっちり詰まった一冊。
    それにしても驚くべき知識量。文学系もかなりお好きなご様子。
    東日本からカールが絶滅して久しいですが、代用品で乗り切っていきましょう。
    作風が、HまわりMめろんさんと似ているのでは、と思いながら読みました。

  • 笑った。すごく面白かった。

    ベロンベロンに酔っ払って公園のチェーンに足を引っ掛けて顎を強打。同僚に、両耳から血が吹き出したのを見て死んだと思った、と言われた話は面白すぎた。無事でよかった。

    フィールドワークのため無人島に行って耳に虫が入って一晩悶えたり、口や鼻に入ってくるコバエを鶏肉と思ってやり過ごそうとする精神、普通だったら、うわぁ最悪・・と思う事も言葉選びとテンポが絶妙で笑ってしまう。一気に読むと後半少し飽きてしまったので毎日少しずつ読む方がきっと楽しめると思う。

    鳥の話を読んでいるはずなのに著者の情報がどんどんインプットされていく。訓練でスタローン顔になり、バイクに乗って、カールが好きで、たぶん美女も好き、西之島新島と一日違いの誕生日。鳥への興味が湧く前に著者に魅了されてしまった。チョコボールのキョロちゃんについての考察やラートで転がる話、英語が苦手な話も面白かった。

  • 鳥類学について、とても楽しくユーモア溢れ語るので、ついつい引き込まれてしまう。著者の面白キャラが凄かった。
    気軽にスラスラ読めてしまう。
    面白いだけでなく、研究については真面目にためになる本だった。

  • めちゃくちゃ面白かったです。
    独特の表示で、とても楽しく一気に読めました。
    ぜひぜひ読んでみて下さい。

  • 数年前にNHKラジオ『子ども科学電話相談』の、「どうもこんにちは川上でーす」という明るいトーンの挨拶で一躍スターとなった鳥類学者、川上和人先生の鳥エッセイがめでたく文庫化。

    基本的には身近な鳥類を取り上げてあるものの、そのトピックはほぼ、先生の研究対象である小笠原諸島・西之島での鳥類の生息状況と絡めて説明されている。西之島は現在絶賛噴火中の島で、生き物の生息にはきわめて厳しい環境なのだが、逆にいうと、生き物が定着し始める過程を観察できる格好の機会であり、この機会を誰にも渡してはならじ!と、先生はインドア気質ながらもスイミングとクライミングを身につけて絶海の孤島に臨む。しかも自然は研究者の業績など忖度してくれないので、島に設置した観測機材はいとも簡単に噴火で吹っ飛ぶ。凡人なら2回ほどそういう目にあったら普通に諦めるものだが、そうじゃないのが研究者としての執念だよな。

    筆致は聞きしに勝る軽妙さで、以前、研究発表会の演目に「漫談」と記載されているSNSエントリを見たことがあるほど定評のある語り口に引けをとらない。むしろ文章のほうがエッジが効いている。1文に1つギャグ(主に映画・アニメネタ)を挟まないと話が進まないのは、椎名誠の昭和軽薄体を思い出させる。なので、このあたりは好みが分かれるんじゃないかと思う。

    鳥に詳しくなるというより、研究者としてのスピリッツと必要なことが盛りだくさんなので、読み終わる頃には鳥類学者の生態に詳しくなるというエッセイ。また、着実なキャリア教育が声高に言われる中、そうそう真剣に考えることなく選んでしまった(らしい)進路で生きていくこともある、というのはお若いかたにはちょっといい感じの指針になるのではないかと思う。結果的に険しいクエストになるかもしれないが、かっこよくまとめると「人間到る処青山あり」だろうか。

  • たしか書店さんのツイートで知った本。鳥も好きだし(著者は学者さんだというのに)文章が面白いとのことで手にした。その通り、面白かった!「動物のお医者さん」の漆原教授を思い出した。カシオミニは出てこないが、唐突にのび太やナウシカが文中に出てきたり、キョロちゃんのエア鳥類学もある。くすくすと笑いながら無人島での調査内容や調査に至る過程や、鳥類学者さんの絶滅危惧種、外来生物への対応などするすると読めた。第4章3「冒険者たち、冒険しすぎ」を読んで、ネズミのイメージ(?)変わった…。ほんとゾンビだ。

  • 川上和人さんの作品は、笑いがありとっても面白いです!
    もちろん鳥類学なので鳥のことは詳しく書いているのですが、そのことだけダラダラ書いていると飽きてしまうので笑いが入っていて読んでいると止まらなくなるほど面白いです!
    本が苦手な人でも面白く読めちゃうような本です!
    ぜひ読んでみてください!

  • 鳥類学者さんのコミカルなエッセイ。鳥についての知識より、作者さんの言葉選びのセンスにひたすら帽子を脱ぐことになった一冊。鳥類研究への情熱もさることながら、本好きとオタクが染み出してる笑
    キョロちゃんの考察やりんごジュースの話、まじめなとこだと鳥とかたつむりの話がお気に入り。
    ハムスターくるくるのようなスポーツ、ラートに興味をそそられた。

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著者プロフィール

森林総合研究所・島嶼性鳥類担当チーム長。西之島など離島の鳥類調査に従事。チーム名は自分で提案したのだが,「島」と「鳥」という字が似ていて時々混乱する。

「2023年 『羽毛恐竜完全ガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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