- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101213514
作品紹介・あらすじ
崩壊説を尻目に急速な経済成長を遂げた人口13億の大国・中国。満州からチベット、内モンゴルまで、その隅々を旅した著者は、至るところで不動産バブルの副産物で「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンに出くわす。高層ビルが林立する超モダンな廃墟が建てられる元となった「錬金術」の仕組みに着目し、日本と異なる国家体制、組織のあり方、国民性を読み解く新中国論。『橘玲の中国私論』改題。
感想・レビュー・書評
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今まで見た中国文化の説明の中で最も合理的でわかりやすかった
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橘玲氏による中国私論であります。本人の言によると、自分は専門家では無い為、中国専門の研究者やジャアナリストの成果に負ふところが大きいといふことです。
まあこれは事実半分、謙遜半分でせうか。といふのも、橘氏は自らの足で何度も中国各地を旅し、その都度中国の変化に驚いてきた人であるからです。専門家と呼ばれる人たちの中でも、橘氏以上に中国に足繁く渡航した人は少ないのではないかと疑つてゐます。無論何度旅をしやうが、何も身に付かぬ奴もゐますが。
「文庫版まえがき」によりますと、本書誕生のきつかけは、中国を旅するなかで各地で「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンを目にしたことだと述べてゐます。本書の口絵写真にも「中国10大鬼城観光」として紹介されてゐます。不動産バブルがはじけたのもどこ吹く風、需要があらうがあるまいが猪突猛進で造つてしまつた建造物の数数。日本のテレヴィでも報道されてゐたので、ご存知の方も多いでせう。あまりの見事な廃墟ぶりに、鬼城めぐりといふ観光ツアーまであるさうです。さすがに転んでも只では起きぬ国であります。
大きすぎる国、人が多すぎる国に驚き、幇とグワンシで中国人の人間関係を解説し、中国共産党は意外に地方を掌握しきれてゐないと紹介し、腐敗に厳しい社会自体が腐敗してゐるとか、いろいろと現代の中国が抱へる問題とその背景を解き明かしてくれます。批判するでもなく、勿論礼賛もせず、単に「中国はこんな国です」と淡々と事実を述べる姿勢が良いですな。
かういふ話なら別段「言ってはいけない」ことはありますまい。どんどん発信していただきたいと勘考する次第でございます。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-802.html -
中国を理解するのは難しい、理解してはいけないのかもしれない。「核心」とは何を意味するのか?良く分からん!
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グワンシによる、ヤクザ主義
農民から土地をほぼ0円で土地を仕入れ、不動産証券化することで無から富を創出しているという話が興味深く面白い
中国の異常なまでの不動産バブルと国における不動産セクターの寡占の理由がここにあった -
「言ってはいけない」シリーズが好評だったのか、本書も改題。『猿岩石日記』で中国をヒッチハイク旅している部分を読んで、本書を同時に読み始めた。中国の不動産バブルと鬼城と呼ばれるインフラの残骸が、どうして出来たのかを解説。中国が民主化できない理由も納得。関係(グワンシ)という行動原理を理解すれば、中国人と日本人の違いを理解できる気がする。国レベルでは戦後処理問題があれど、人と人の交流ではそのくびきから離れても良いという著者の提案に賛成。
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平成三十年に発行されたものだが、中国人の特徴や共産党を分かりやすく紹介できるのは、自身が実際に現地に中国国内を旅して、その進化、変貌の急速さを味わったからなのだろう。
まずはその人口の圧倒的な多さに触れ、全てが大きくそれに関わっていることに立脚し、それに伴う功罪や、また歴史についても考えさせられる一冊ともなっている。
確かにどうしてもそれぞれの国からの成り立ちにより、理解できないことがあることを、そろそろ理解しなければならず、日本としては地政学的に中国の影響は受ける運命にあるのだから、いかに現実を直視し、上手に付き合いをしていくかを戦略的に考えなければ、ヘタをすると国土の一部を呑み込まれかねない。
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他民族が集まり、14億人で構成する国家。外国企業を排他しても市場として充分成立つが故に利点も弊害もある。中華思想が未だに根強く残る国家。それぞれの見地から、理解し得ないとの思いこみが壁を作る。2020.11.24
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いつもながら判りやすい。
中国の国民が(国全体の)民主化を望まない理由も良く判る。
壮大な中国の歴史はまたも繰り返されるのか、それとも…。