英雄の条件 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.58
  • (2)
  • (3)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 46
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101211329

作品紹介・あらすじ

失踪したスポーツ医師が残した一冊のノート。そこには、日米野球界の英雄・津久見浩生の薬物使用が示されていた。高潔な元スター選手のスキャンダルに日米メディアの執拗な追及が始まる。疑惑を否定せず、最愛の妻にも沈黙を貫く彼の真意とは──。真相を追うフリースポーツ記者、裏工作を企む巨大代理人企業。人間の強さと弱さの極限を描いた熱くスリリングなエンターテインメント長編。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 失踪したスポーツ医師が残した一冊のノートが、日米野球界を揺るがす大スキャンダルに発展する。メジャーで大活躍した日本人スラッガーの薬物疑惑の真相とは。人間の強さと弱さの極限を描いたスポーツ・エンターテイメント長編。
    なぜ、スポーツ選手は薬物に頼ってしまうのか。「79%ある能力が80%に達するだけかもしれないが、その1%の差を求めるのが選手だ」という答えに納得する。その僅かな差に、ファンは驚喜したり落胆する。肉体の極限を駆使してプレーするからこそ、藁をも掴むという思いがあるのかもしれない。

  • 一通り前振りが終わって、さぁここからどんな展開が、、で、そのまま終了してしまった。

  • 本城氏得意の野球をテーマにした長編小説。ジャーナリズムとドーピング問題を掛け合わせた熱い名作である。

    物語としては、ドーピング事件の関係者の多視点から進む。誠実でクリーンな元メジャーリーガーの津久見にとって非常に悪い状況から最終的な結末に発展していくドラマ性にまず読む手が止まらなかった。この津久見にしても、外側から見れば完璧な男なのだが、彼の内面はただの普通の人間、欠点も欲もあるが自身の信念を持って正しく生きようとしている。こういった誰しもが持つ内面的欠点も含めて人間らしく人物を描けるのが作者の魅力だと思う。

    テーマとしても惹かれる部分が多く、ジャーナリズムとは何かに対する作者の考え方がよく出ている。『書くか書かないかは自由だが、真実を調べるのはジャーナリストを名乗る人間の使命だ』。記者を真正面から描いた彼の著作も多いので次に読んでみたい。

    ドーピング問題については、使用する選手をただ客観的に批判するのではなく、スポーツ選手というプレーに命を賭ける本音目線で、ある意味で肯定とも捉えかねない答えを出しているのは非常に興味深い。個人的には本作を読んで、治療とドーピングの境界は非常に曖昧だなぁと感じた。100%を120%に変えるのは明らかにドーピングであるが、痛みを和らげるために、70%を71%にするために行うドーピングは治療とどう違うのだろうか…

  • 失踪したスポーツ医師が残した一冊のノート。そこには、日米野球界の英雄・津久見浩生の薬物使用が示されていた。高潔な元スター選手のスキャンダルに日米メディアの執拗な追及が始まる。疑惑を否定せず、最愛の妻にも沈黙を貫く彼の真意とは―。真相を追うフリースポーツ記者、裏工作を企む巨大代理人企業。人間の強さと弱さの極限を描いた熱くスリリングなエンターテインメント長編。

    モデルとなる選手はあの人かなと考えながら読むと楽しい。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、スポーツ紙記者として活躍。2009年『ノーバディノウズ』が松本清張賞候補となりデビュー。2017年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞を受賞。2018年『傍流の記者』で直木三十五賞候補。著書に『四十過ぎたら出世が仕事』(祥伝社刊)『友を待つ』(祥伝社文庫)など多数。

「2023年 『あかり野牧場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

本城雅人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×