全世界史 下巻 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101207735

作品紹介・あらすじ

こんな世界史なら、学生時代に読みたかった──。歴史に国境なし、わからないのは「各国史」だったから! 元来グローバルだった世界の歴史は「一望」することで徹夜一気読み必至の一大エンターテイメントになる。ルネサンスから宗教改革、フランス革命からイスラム国まで。わかったようでわからなかった世界史の最重要トピックスが、手にとるように理解できる。『「全世界史」講義Ⅱ』改題。

感想・レビュー・書評

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  • 毎回、横のつながりを意識した執筆には、非常に助かり楽しく読ませてもらった。ビスマルクやルーズベルトがもう少し長生きしていたら、この世界はどう変わっていたのだろう。GDPでの戦力分析はさもありなんと感じ、この本の出版後に日本がインド、さらにドイツにも抜かれようとは、なんとも寂しい話だ。

  • 単に歴史的な事実をなぞるのなら、高校世界史の教科書や参考書でも事足りる。それはある時代に起きていた事実を「点」として捉えるということだろう。だから、教科書に書かれている歴史は、つまらないし、退屈で、本当に知りたいことが書かれていない。
    歴史とは、全世界(地球規模と言ってもいい)で起きていた出来事とそれらの関係性が網羅され、例えばある時代にヨーロッパで起きた歴史的な出来事が、同時代の、あるいはその後の中国やアジアにどのような影響を与えたのかという関連を知ることだと考えていた。だからそうした本を読んでみたかった。そして、ようやくその希望を叶えてくれた一冊に巡り会ったのである。ゆえに、この本との出会いは、私にとって「歴史的」な快哉である。
    さらには著者である出口氏の、鋭く合理性にあふれた史観に基づく考えもほどよくちりばめられており、古代、中世、近世、近代、そして現代へと続く人の営みの総体としての歴史が、すっと入ってくるのである。それらが織りなす綾が、縦糸にも横糸にもなり、それぞれに関連し合って、これまで「点」の知識としてあった事柄が、見事に因果を形成する。すると断片でしかなかった歴史的知識は、それらをつなぐ線となり、さらには面となり、最終的には単なる「歴史」という範疇を越えて、歴史的事実の背景にある人間の考え方といったものまで見えてくるのである。
    自身がリアルタイムで見聞してきた大事件も、その時々にメディアを通じて知っていた気になっていたけれども、実は歴史の教科書に書いてあったある出来事が伏線となり発生したのだと知ったとき、その事実に興奮さえ覚えた。
    歴史とは、ヨーロッパ、アジアなどと地域を区切ったり、あるいは特定の時代だけを見ていたのでは、近視眼的になって分からないことがたくさんあるということを本書は教えてくれる。歴史を学ぶということは、まず本書のような通史的に全体を俯瞰する本で学び、それから一つひとつの歴史的な出来事を掘り下げる方が合理的ではあるまいか。「木を見て森を見ず」という言葉のとおりである。
    その意味では「日本史」もまた、世界史のごく小さな一部である。本書を読めば、日本史的に大々的な扱いをされている「ペリーの黒船来航」にしても、ペリー(のいるアメリカ)にもそれなりの事情と理由があって来航したことが理解できる。
    上下巻に分かれているが、通史的に俯瞰するという意味で、上巻から読むことが推奨されるだろう。近代や現代の方が、比較的知識量もあるのでとっつきやすいけれども、関連性を知るためには紀元前に発生した四大文明から始まった「人間の歴史」を辿るべきであり、その経験はいささか大変ではあるけれども知的な楽しみに溢れている。

  • 驚きと納得の連続である。私が学生の頃、歴史は暗記科目だと思っていた。だが今なら分かる。歴史はただの暗記科目ではない。本書では、どういう出来事が発端になって、誰がどこでどのような行動をとったのかを分かりやすく教えてくれる。時折挟まれる出口氏の見解が、また一段と歴史を面白くしている。

    以下、本書よりお気に入りの箇所。
    「僕はよく『接線思考』と呼んでいるのですが、円に接している直線は、ほんの少し円が回転するだけで大きくその傾き(報告)を変えます。そうすると直線の動きに目を奪われて、円の動きという本質を見逃します。これと同じで、人間はどうしても目先のことを過大視しがちです。」

    「問題点を指摘することは、比較的たやすいことです。どの世界にも、歪なかけらが山ほどあるからです。しかし大事なことは、全体としてのシステムの安定性です。」

    「したがって、どのようなシステムや制度であっても、『個々の歪さ』ではなく、『全体として見たときに、比較的丸く収まっているかどうか』が決定的に重要です。」

  • 「全世界史」という、膨大な記録を限られた紙幅に収めないといけないためか、全般的に駆け足という印象がある。特に現代史はこの傾向が顕著。

    それでも、本書を通読すると世界の歴史を俯瞰できる。しかも読みやすく、スラスラ読める。

    おそらく筆者の言いたいことは終章に集約されていて、それをいうためにその前の膨大な話があるのだろう。

    それにしても、巻末の参考文献を見て驚いた。ここに挙げられている文献を、筆者はきちんと読んでいるのだろう。しかも、ライフネット生命のCEOという激務をこなしながらである。

    感服せざるを得ない。

  • 上巻を読んで、面白かったので下巻もそのまま読了。

    著者の歴史ものを今まで多少読んできたけど「まずはこの本を一番先に読めばよかった」と思えるほどまとまっている。

    「歴史に学ぶ」というのはこういうことだ、ということをしっかりとテーゼとして示している。

    上巻・下巻を合わせると800ページ以上という物量ではあるものの、それに見合うだけのものを感じさせてくれた良書である。

    これからもおそらく折を見て再読することになると思うので★5つ。

  • 主要国のGDPを時代を追ってなぞっていく手法、凄く分かりやすいですね。気候や人口のフレームワークの変化、経済力の推移、そして文化、人。「善悪や好悪を超えてそれなりに安定していたものを壊してしまうことの恐ろしさ」納得。「個々の歪さ、ではなく、全体として見たときに、比較的丸く収まっているかどうか」。。。これですよね。これだけの歴史をこれだけ簡潔に書けるとは凄い。そういう事だったんだー、と頭の中で繋がった喜びも頂きました。

  • かなり勉強になります。新たな発見。読みやすいのが良いです。

    難易度 中
    感動★☆☆☆☆
    涙線☆☆☆☆☆
    興奮★★☆☆☆
    感心★★★☆☆
    伏線☆☆☆☆☆

  • 流読。

    他の資料で一時代を掘り下げて学んだとき、全体の流れの参考に。

  • 中間のヨーロッパが苦しい。5000年で進化してると言えるのかな?

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著者プロフィール

出口 治明(でぐち・はるあき):立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒。日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。同年、ネットライフ企画(株)を設立し、代表取締役社長に就任。2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命株式会社に変更。2012年上場。2018年より現職。著書に『全世界史(上・下)』(新潮文庫)、『0から学ぶ「日本史」講義』シリーズ(文春文庫)、『歴史を活かす力』『日本の伸びしろ』(文春新書)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)、『一気読み世界史』(日経BP)、『ぼくは古典を読み続ける』(光文社)等多数。

「2023年 『人類5000年史Ⅴ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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