- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101199276
作品紹介・あらすじ
浅草は田原町で小さな古着屋を営む喜十は、北町奉行所隠密廻り同心の上遠野(かとの)のお勤めの手助けで、東奔西走の毎日。店先に捨てられていた赤ん坊の捨吉を養子にして一年、喜十の前に、捨吉のきょうだいが姿を現した。上遠野は四人の子どもも引き取ってしまえと無茶を言うが……。日々の暮らしの些細なことに、人生のほんとうが見えてくる。はらり涙の、心やすらぐ連作人情捕物帳六編。
感想・レビュー・書評
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ちょうど物語が盛り上がりを見せたところなのに・・・。
未来永劫続篇が出ないのかと思うと、なんとも寂しい。
天国で続篇執筆してくれないでしょうか、宇江佐センセ。
アレコレ続きが気になる作品がありやす。
あっちからメールかFAXかなんかで原稿ビャーっと送ったりなんかして。 -
同名の舞台を観たことがあったから手にとりました。
が、違った…。
それでも読み進めていくうちに面白くなり一気に読めました。
江戸の庶民?の人情ある暮らしが描写されてていいですね。
これ、作者が亡くなりもう続きが読めないんですね。残念。 -
浅草で小さな古着屋を営む喜十。店先に捨てられた赤子を養子にすることになり、新しい家族で新たな春夏秋冬の一年を過ごすことになる。ほんとうの人生が見えてくる連作人情シリーズの第二弾。
昨年11月に亡くなった作者のシリーズ物の一作。残念ながら続きを知ることは出来ないが、恐らくレギュラーメンバーが増えて、賑やかで楽しいシリーズになったことだろう。宇江佐さんの作品は常に人間の『心のなかの鬼』をテーマにしている。本作のなかでも背筋が凍るようなエピソードがある。単純な人間讃歌でない人情ものが、もう新作がないと思うと寂しく感じる。 -
著者自身としては、このシリーズ、まだまだ続けたい意向だったろう。
しかし、最終話『再びの秋』の最終行、「冬の季節にも拘らず、喜十の気持ちは存外、温かく満たされていた。」などを読むと、これで完結かのような終わり方。
著者は、予感していたのでは・・・邪推かな。合掌。 -
古手屋喜十もの第二作。第一作でひょんなことから喜十おそで夫婦の養子になった捨吉の素性が明らかになる初編から離散した兄弟姉妹の行方をたどる最終編へと物語が展開する。うわべは計算高く情がないように見えて、その実困難に巻き込まれた人たちをほおっておけず、首を突っ込んでしまう喜十の屈折した性格がここへきてうまく描かれている。隠密回り同心上遠野も実は似た性格で喜十にとっては同族嫌悪のようでいながら妙にウマが合うところもおかしい。登場人物たちが生き生きと動き出し、魅力的な物語世界が展開しそうなだけに、ここへきての幕引きは再三惜しまれてならない。
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201605/優しいだけじゃなく、時にはハッとするほど容赦ない結末だったりするのも宇江佐さんのすごさ。