想いの軌跡 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 147
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181431

作品紹介・あらすじ

地中海はインターネットでは絶対にわからない。陽光を浴び、風に吹かれ、大気を胸深く吸う必要がある──。単身ヨーロッパに渡り、思わぬきっかけで作家デビューを果たして半世紀。歴史的大ヒット作となった『ローマ人の物語』誕生秘話から、日々の暮らし・ライフスタイル、忘れがたき友人たちへの想い、遥かな地より祖国に宛てた手紙、仕事術まで。折々に綴った珠玉のエッセイ、その集大成。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルがとてもぴったりで惚れ惚れしてしまいました。1970年代から2010年代まで、あちこちの雑誌に載りながらどの本にも収録されてこなかった作品を集めた、歴史小説家の塩野七生さんのエッセイ集。

    部分的にでも、憧れの人の50年の軌跡を一冊で感じ取れるとは、なんとも幸せ。

    あらかじめテーマに沿って書いたり集めたりしたものではなく、寄せ集めという「雑多性」のおかげで、却って、塩野さんという人となりがよくわかる、というか、彼女を形作る要素がたくさん載っている気がしました。

    ヨーロッパを舞台にした歴史小説家で、映画が好きで、イタリアに長く住んで、身の回りの人たちとのどんな会話が印象に残っていたのか、かつてはどんな生活をしていたのか、シニカルな面を持っていて、色々と譲れないこだわりや好きなものをたくさん持っていて…。

    個人的には、黒澤明、ルキノ・ヴィスコンティ、フェデリコ・フェリーニなど、彼女が好きな数々の映画監督について語っていた文章群がとても楽しく読めました。特に、ヴィスコンティとは買い物に同行する中だったようで…。美学を持つもの同士の居心地の良さみたいなものがみたいなものがきっとあるんだなあ、となんか妙に感心。

    本当に幅広い時期の文章が収められており、初出の年も載っているので、ファンなら例えば、『「ローマ人の物語」を書いているときはあんなこと考えてたんだな』みたいな裏側もわかってとても楽しくお得な一冊です。

  • 非常に含蓄のある本です。
    私は気に入りました❗

  •  塩野氏の作品と言えば、古代ローマやルネサンス期の歴史小説。
     歴史好きとしてはいつか挑戦してみたい大作だとかねてより思っていました。ただそのボリュームにひよった結果、手にしたのが本作。

     そして思ったことと言えば・・・。
     やっぱり塩野氏とくれば歴史小説を読んだ方が良いのではないでしょうか。
     
     という感想となりました。

     初めての塩野氏の著作ですが、今更ながら読む順番を間違えたかもしれません。
     始めに何らかの歴史小説作品を読んでいれば、作品の作風や著者の人となりを曲りなりとも感じ取ったうえで本エッセーを読めるかと思います。

     ところが私は本作が初で、しかもこれがエッセーでした。第一章のどこぞで「最近の日本人は顔が幼児化してきた」とか「日本の女は女であることを放棄している」等々の発言を見て、なんかえらい口が悪いばあさんだなあ、と感じてしまった次第です(ごめんなさい)。
     きっと他の作品を先に読んでいれば受ける印象も違ったのではと思った次第です。

     その中でも第五章「仕事の周辺」は面白かったです。こちらは歴史小説を執筆する際の舞台裏の話でした。
     歴史小説とはできる限り資料をあたり、史実に基づいてストーリを構成するそうですが、どうしても資料で埋めきれない部分があるそうです。その穴を埋めるための創作の呻吟はこうしたエッセーでなければ知る由もないなあと感じた次第です。

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