小説 イタリア・ルネサンス3 ローマ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181233

作品紹介・あらすじ

オリンピアの故郷ローマにたどり着いたマルコはシスティーナ礼拝堂の天井画を完成させたミケランジェロの知遇を得たり、古代の遺跡をめぐる日々を楽しむ。オリンピアの悲しい過去を知るが、ついに立場を越えた結婚を決意するものの、ヴェネツィアとトルコの関係が風雲急を告げ、二人の運命はふたたび歴史の波に翻弄されていくのだった。華麗なるルネサンス物語第3巻。『黄金のローマ』改題。

感想・レビュー・書評

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  • 第一巻ヴェネツィア第二巻フィレンツェの時は思わなかったけど
    ローマには行きたいとすごく思いました。

    イタリア行く前にたくさん本を読んで予習
    ローマ一日フリーの際「あれもこれも」と
    詰め込んで、迷子&パニックになり
    聞いた方が早いと思って尋ねてますます混乱
    (イタリア人うそつく時々)
    カンピドリオ広場&マルクス・アウレリウス像と
    わかったのはホテルに帰ってからでした。
    酷すぎ…。

    主人公マルコのように何か月も滞在は無理だけど
    せめて一週間ぐらいほしいですよね。
    トレビの泉にコイン投げたから
    行けるよね、きっと。

    さて今回はどんな殺人事件が起こるのかなと思っていたら
    まさかの結末。
    思い起こせば伏線はあったから、わかった人もいたかも。
    でもまあ、「意外」なほうが面白いのかもしれませんね。

    次の第四巻だけは最新書き下ろし。
    私に声かけないでねっ。

    〈ヨーロッパの歴史は、統合と分離の歴史でもある。
    古代ローマ時代には一つであったヨーロッパも、
    ローマ滅亡後にまるでガラス玉が粉ごなになるように分裂したが、
    まもなく、ローマに本拠をおいたキリスト教によって、
    精神的ならば統一が再建されたのだった。
    それが今、再び分離しはじめている。
    今度は粉ごなではないだけにかえって、
    分離状態は長つづきしそうな感じがする。

    宗教改革とは、所詮、北ヨーロッパの民族の
    ローマによる支配からの離反の運動なのだし、
    最近になって頭をもたげてきた反動宗教改革も、
    スペインに起こったことからしても、
    同じくローマによる支配からの分離運動にすぎない。
    宗教改革が過激であっただけに、
    それに対抗する反動宗教改革の側も、
    いきおい過激化するだろう。
    過激とは他者の存在理由さえも認めないことだから、
    外部に対してだけでなく内部に対しても
    厳しくなるのが宿命だ〉


  • 3巻の舞台はローマ。オリンピアの故郷ローマにたどり着いたマルコはシスティーナ礼拝堂の天井画を完成させたミケランジェロの知遇を得たり、古代の遺跡をめぐる日々を楽しむ。オリンピアの悲しい過去を知るが、ついに立場を越えた結婚を決意するものの、ヴェネツィアとトルコの関係が風雲急を告げ、二人の運命はふたたび歴史の波に翻弄されていくのだった。
    オリンピアのパトロンの正体や教皇、枢機卿といった面々の関わり方が面白かった。また、史実の登場人物や歴史的な出来事が随所に描かれており、本当に小説なのかわならなくなるような面白さがあった。

  • 塩野さんの唯一の連作小説。
    ヴェネツィアとフィレンツェは朝日文庫で読んでいたが、
    『黄金のローマ』は品切となり読めていなかった。今回、新潮文庫で関連するローマの写真と絵画を加えて復活。
    ローマを訪れた際に見たマルクスアウレリウス(『自省録』も読書中)の騎馬像の運搬の話は面白かった。

  • ついにオリンピアが…まあ便利キャラすぎたから仕方ない…そしてやっとリディア(子供)について言及されたけど、普通は最初にこの結論が出るよね…あの時はオリンピアがいなかったから仕方ないとは言え…。マルコの意向で未来が好き勝手に決まってしまうリディアがちょっとかわいそうなんだけど、果たして次の話で何か言及されるのか。
    40歳超えたのにマルコが無邪気でちょっと微笑ましかった。完全にローマの魅力に取り憑かれている(気持はよく分かる)。そしてミケランジェロと同時代に生きて会話しているのが羨ましすぎる。絶対作者も羨ましがりながら書いてたんだろうなと思う。

  • ローマはやはり法皇を中心としたキリスト教の中心地。そこに地を移したマルコだったが、すぐにその法皇の孫に当るファルネーゼ枢機卿と仲良くなる。そこで本来の地に戻ったオリンピアとも仲が戻るが、ただそこにはオリンピアの過去が。
    ファルネーゼ枢機卿は実はオリンピアの息子で合ったことが最後にわかる。 特にこの地で余生を過ごすには若すぎたところにベネティア出身のコンターニ枢機卿からベネティア海軍がトルコに負けたことを聞いたマルコがまた故郷を思い再度政治の世界に立ち向かうことを決意する。 そこにオリンピアを連れて行こうとしたが、ファルネーゼ父がオリンピアを愛するあまり殺してしまった。 失意のマルコはベネティアへ帰国することでこの間は終わり。ベネティアの激動を予感させるローマ編。またローマのこの時代がしっかり描かれていて、以前読んだローマ人物語を思い出す。やはりローマ人ほどイタリア人は公共の設備については保守をしない事がここからも読める。まあ、物語としては普通だがこの時代の情勢がわかる事が良い。ミケランジェロもシスティーナの礼拝堂の大事業をしている姿が見えてよいな。

  • 2021/4/4読了
    新潮文庫で全4巻からなるこの物語は、3巻までは毎回違う“事件”を扱い、4巻でクライマックスの〈レパントの海戦〉に向かっていく。同一の主人公が登場する4作品と見れないこともないが、やはり16世紀のヴェネツィア外交官の目線で語られる、大河小説として一気読みを薦めたい。

  • シリーズの中で最も悲劇的ではある。舞台が宗教都市ローマということで季節の変わり目を気候ではなく宗教行事で感じているローマの描写が面白い。マルクス・アウレリウスについての描写が今作品と上手くリンクさせていて感動する。

  • 今回の舞台は、歴史都市・宗教都市ローマ。

    主人公マルコは傍観者なのかなと思ってきたけど、潮目が変わる気配を漂わせ、この巻は終了します。

    きっと、最終巻は、主人公マ氏ルコと独自の政治体制を持つ交易都市ヴェネティアの将来を賭けた戦いの物語になるのでしょう。

    海賊の話からも、制海権が覇権に直結して動いていく時代を感じました。

  • ローマ

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