- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181059
感想・レビュー・書評
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1571年西欧連合艦隊は無敵トルコを打ち破った
コンスタンティノープルの陥落から118年
同時に地中海の時代から大西洋の時代に変わっていった
戦闘は西欧軍の圧勝 日本海海戦のよう
ベネチアの地中海覇権を辛くも守れたが
もはや単独ではなく、スペイン王が主体である
これも世界史の変遷の一コマ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
塩野七生 「 レパントの海戦 」 イスラム教国(トルコ)とキリスト教国(ローマ、ヴェネツィア 、スペイン)の海戦に ついて論じた本。キリスト教国の勝ちを描いたのではなく、「ヴェネツィア の終わり」「地中海世界の終わり」「十字軍の終わり」を描いている。
海戦そのものより、海戦に至るヴェネツィア の政治姿勢、スペインとヴェネツィア の微妙な関係、地中海から大西洋へ 世界の舞台が変わる状況について、細かく論じている。
スペインとヴェネツィア がお互い 嫌いでありながら、お互いを必要としていた関係であった点は興味深い。
戦争は血を流す政治であり、政治は血を流さない戦争である「レパントの海戦は、まずはじめに血を流さない戦争があり、次いで 血を流す政治とつづき〜血を流さない戦争で終わった」は名言
ヴェネツィア の異端性
*過去の海運大国ヴェネツィア →新興国のスペインとの軋轢
*異教徒と交易することにより強大化→トルコと和平
レパントの海戦の意味
*歴史の舞台が 地中海から大西洋へ移転する前の最後の戦い
*キリストの名誉にかけて戦う十字軍→イスラム教徒にとっても聖戦
アナトールフランス「歴史とは、著名な事実の羅列である〜事実でも著名でなければ歴史的とはされない」
スペインがヴェネツィアを嫌いな理由
*イタリア半島支配を目指すスペインにとって、ヴェネツィア は唯一のイタリア国家
*スペイン=非寛容な宗教改革運動→ヴェネツィア =信教の自由があり、異教徒に寛容
スペインとヴェネツィア がお互い必要だった理由
*ヴェネツィアは トルコの脅威に対抗するため
*スペインは 北アフリカへ領土侵出するため ヴェネツィア の海軍力が不可欠
「国家の安定と永続は 軍事力によるものばかりでない、他国が我々をどうみているかの評価と、他国に対する毅然とした態度による」 -
ヴェネツィア共和国を中心としたキリスト教国家と、強大なイスラム教国家トルコとの海戦です。
十字の旗を掲げての最後の海戦であり、地中海覇権の分水嶺と言えます。
ヴェネツィアとトルコは地中海での貿易経済に依存していましたが、スレイマン没後のトルコでは反欧が盛り上がります。
血を流さない戦争、血を流す政治、血を流さない戦争を駆け抜けた二国ですが、経済を停滞させたことで自ら首を絞める結果に終わります。
地中海世界全体の緩やかな衰退が見える一冊。 -
塩野七生さんの海戦三シリーズで、これは最終回。歴史小説は苦手だったけど、その意識をすっかり覆してくれた。
時代は1570〜71年、最後の大海戦がレパントで起こった。その戦争が起こるまでの動きや人物像は戦争がいざ始まる前の高揚感を高める。とにかく描写が素晴らしくて、映画のようなスペクタクルな場面を想像した。戦闘が始まる瞬間や各重要人物の動きなど、小説の最高潮に達する。 -
2011.1.5、調布図書館から借りて読んだ。
初めてのクルーズ旅行でヴェネツィアに行くため。歴史的背景などを知りたかった。 -
前2作と違ってヴェネチア共和国が主体となっての戦い。史上最後の十字軍。
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バルバリーゴー!
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2021/5/19読了
1571年10月7日、史上最後のガレー船による本格的な海戦となった〈レパントの海戦〉を巡るドラマ。ここで勝利したヴェネツィアは、勢力拡張の一途だったトルコ帝国に打撃を与え、以後70年余りの平和な時代を享受するが、歴史の表舞台は地中海から大西洋に移り、ヴェネツィアもトルコも徐々に衰亡に向かっていく。それよりも、対イスラムで一致団結するべきキリスト教国家の間で諍いが起き、好機を逸していく無様は、現在の大国間の対立で、地球規模の問題がなかなか解決に向かわないもどかしさにも通じるものがあるように思った。