青春忘れもの (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101157535

作品紹介・あらすじ

池波正太郎が自らつづるその青春時代とは-関東大震災の年に生まれ小学校卒業後すぐに就職。勤め先を転々としつつ、芝居見物を楽しみ、美食を覚え、吉原にも早う早熟な十代を過ごす。戦時中は旋盤工として働き、やがて海兵団に入団。戦後、脚本家への道を歩み始める。両親や親族との思い出、友人や恩師との出会いを懐かしく振り返る清々しい回想記。時代小説「同門の宴」も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 一時でもこの世界観に浸れれば、読んだ価値がある。戦前と戦時をノンフィクションで描く、自叙伝。職を転々とし、しかし、どれも楽しみながらこなし、趣味にも遊びにも一生懸命。その生命力は、なんだって生きていけるのだという、人生に尻込みしてしまうような人たちに勇気をくれる。

    そう、大切なのは楽しむこと。

  • この小説家の幼少期から小説家になるまで。あまりにも奇想天外な人生で驚き。株屋、鉄細工家さんなどを経て、また株の世界へ。戦争、幼馴染・井上留吉との出逢いと青春、そして擦れ違い、再び遠方での再会・・・。遊び人だった池波氏の戯曲家、小説家としての成功が不思議であるとともに、こんなにいろいろな経験をしてきた人だからこそ洒脱な作品を生み出すことになったことが分るような気もする。

  • 作家池波正太郎が自ら綴る青春。その時代、食、家族、芝居、映画、音楽、絵画等々なんとも傑作なエッセイです。
    まだ45歳前の池波氏にこの「青春忘れもの」を書かせた小説新潮の川野黎子さんの見識にも脱帽。巻末の「同門の宴」も傑作短編でイイ。

  • 池波正太郎さんの回想記。戦前・終戦・戦後の様子をものすごく具体的に、その時の自身の考え方なども含めて記されています。戦前の東京はこんなにも活気あふれていたんだという発見。
    そして、終戦間近に、老婆が庭で豆をむいてるただそれだけの情景を短歌にする心境は、この本を読み進めないと理解することはできない。「人間の生死は、仮の姿にすぎぬ」

  • 池波正太郎さんの、自伝エッセイ。兜町で稼ぎ遊んだと思えば、軍需工場で機械工になってみたり、そんな中でも芝居には強い情熱を持ち続けていたり、先をみてエネルギーあふれる生き方をしています。色々な経験は大切ですよね。

  • 最高評価ですね。

    ぜひ読んでみていただきたいと思う一書ですね。

    生きていくのが楽しくなりますよ。

    詳しくはブログ「本の世界」で。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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