剣客商売 十六 浮沈 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101157467

感想・レビュー・書評

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  • 剣客商売 十六

    小兵衛さんが26年前に仇討ちの立会&助人をした、元門弟・滝久蔵、相手方の助太刀、山崎勘介の息子・勘之介、そしてその頃交流のあった金貸しの平松多四郎・・。
    小兵衛さんが変わり果てた滝の姿を見かけたのをきっかけに、昔の因縁が動き出します。
    命を狙われている勘之介を守りつつ、滝と平松の関係を探っていく小兵衛さん。
    仇討ち時に父を殺された山崎勘之介と、理不尽に死罪になった平松多四郎の息子・伊太郎という二人の若者は、性格は全く違いますが、どちらも父を亡くしたものの、仇討ちへの興味が全くないという事で共通していて、ちょっと小兵衛さんが“え?仇討ちしないの?”てな感じで物足りなそうだったように見えました。
    本書でシリーズ最終巻という事で(勿論最終巻と意図されてはいないですが)、何となく哀愁が漂う気がするのは、秋山ファミリーの良き理解者だった、田沼老中の失脚に伴い、一橋治済、松平定信の台頭という時代の流れもあるからでしょうか。
    そんな中、又六と秀さんの件は微笑ましくて良かったです。
    因みに本文によると、小兵衛さんは、おはるや弥七よりも長生きするとの事です。

  • 2019年9月2日、読み始め。

    ●人物メモ

    ・吉右衛門---書物問屋・和泉屋の当主で、三冬の伯父。
    ・おひろ---三冬の実母。

    ・永山精之助---町奉行所の同心。弥七の直属先。
    ・弥七---四谷・伝馬町の御用聞き。
    ・徳次郎---内藤新宿の下町に住む。女房は、おせき。

    ・又六---深川・島田町の裏長屋に住む、鰻売り。
    ・杉原秀---又六の妻。根岸流の手裏剣の名手。

    ・小川宗哲---亀沢町の町医者。小兵衛の碁がたき。小兵衛より10歳位年長。

    ・文吉(ぶんきち)・おしん---鬼熊酒屋の亭主と女房。前亭主は、熊五郎。文吉・おしんは養子夫婦。

    ・長次・おもと---浅草駒形堂裏の河岸の料理屋「元長(もとちょう)」をひらいている。

    ・牛掘九万之助(うしぼりくまのすけ)---浅草・元鳥越町に奥山念流の道場をかまえる。

    ・金子孫十郎信任(のぶとう)---湯島5丁目に道場をもつ。60歳をこえている。門人は300人以上。

    ・杉本又太郎---団子坂の無外流・杉本道場の当主で、秋山親子とも顔見知りの剣客であった父親を1年前に亡くしている。

  • 剣客商売シリーズ全16冊の中で、秋山小兵衛が剣術の稽古をした記述が初めて出てきた。

  • タイトルに相応しいい(もっともだが)内容で終わる。人間の浮き沈み、変化。同じような仕打ちをされても、どうそれを意味づけるか、面子とかに世間の判断ではなく、自分で考えて決めていく。山崎勘之介、平松伊太郎がそう。しっとり終わった。面白かった。

  • 剣客商売シリーズ第16弾で最終話。
    ついに読み終わっちゃいました。
    秋山小兵衛の関わりのあった門弟や同門の剣客が絡み合い、小兵衛が道場を開くときにお金を借りた金貸しやその息子、様々な人たちが小兵衛の75歳を迎える時にこの剣客シリーズを締めくくる物語をパズルのように組みあがっていく。
    小兵衛の周りの人たちがその後どうなったかもそれぞれが何歳まで生きたかなどが語られ、このシリーズが終わるんだと何か思わせる結末に向かう。
    いや本当に楽しませていただきました。
    そしてまた、このシリーズを読み返したいと思わせてくれる剣客シリーズでした。

  • <目次>


    <内容>
    『剣客商売』最終巻。しきりに小兵衛の死んだ歳を書いている(合わせて他の登場人物の死も)。が、話的には終わりになる感じではない。なんで最終巻か。それは池波正太郎が死んだからだ。もうちょっと続きを読みたかった。

  • シリーズ最終巻となる長編。作者が意図した形での「完結」ではないようだが、十分完結編となりうる内容であったと感じた。特にこれまで何度も仄めかされてきた武士の時代の終わりについては、滝久蔵と平松伊太郎という二人の人物の結末に象徴されているように思う。正直なところ「ああ、これで終わりなんだ」という印象が先行し、感想についてはどうにもまとめることが難しい。

  • 小兵衛は今も時折、二十六年前、門弟・滝の仇討ちに立会った際の、相手方の助太刀・山崎との死闘を思い出す。「生きていれば名ある剣客になっていたろうに」。そんなある日、蕎麦屋で見かけた崩れた風体の浪人は、敵討ちを成就し名をあげたはずの滝だった。そしてその直後、奇しくも小兵衛は、清廉に生きる山崎の遺児に出遇う。
    老境の小兵衛が人生の浮沈に深く思いを馳せる、シリーズ最終巻。

  • 最終巻か。終わっちゃって寂しいよ

  • 剣客商売最終巻。

    終わってしまったな。。。
    一巻から一気に読んだわけだが、当初の小兵衛ファミリーと、この最終巻の小兵衛ファミリーは、雰囲気が違う。
    そこには、小兵衛さんが老いていく姿があるせいだろうか。

    池波正太郎さんの作品は、「剣客商売」と「鬼平犯科帳」しか読んでいないが、作品の中で登場人物が確かに生きているなと感じる。
    だからこそ、こんなにもおもしろいと思うのかもしれない。

    最終巻、小兵衛さんが亡くなってしまうのではないか。と、ドキドキしていたが、それは荒唐無稽な心配だった。
    最後の最後、小兵衛さん、おはる夫婦の「老後」をしかと見た気分。

    又六の件は、前作でひょっとして。。。と思ったら、やはりなーという感じ。
    よかった、よかった。。

    楽しいシリーズだった。

    さて次は番外編を読もうかな。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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