剣客商売 三 陽炎の男 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.84
  • (94)
  • (122)
  • (143)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 1050
感想 : 69
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101157337

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • シリーズ第3巻。全7話を収録。
    秋山大次郎の元に、かつて寄寓した道場主から救難の手紙が届く「東海道•見附宿」
    隠宅再建中に仮寓している料亭•不二楼の亭主を強請りから救う「赤い富士」
    根岸の和泉屋の寮に帰宅した佐々木三冬が何者かに襲われ、秋山大次郎が急場を救う「陽炎の男」
    小兵衛は、料亭•元長の近くで旗本•村松伊織を助ける。そして、香具師•辰蔵の娘との間を取りもつ「嘘の皮」
    囲碁仲間の小川宗哲の同業者•村岡道歩の娘が誘拐される。小兵衛のかつての弟子•内田久太郎との出会いが描かれる「兎と熊」
    大次郎の大坂修行時代の友人•浅岡鉄之助が、逆恨みから命を狙われる。その事に気付いた大次郎の活躍を描く「婚礼の夜」
    枡酒屋の金時婆さんは怪力の持ち主。婆さんに怨みを抱いた譜代家臣らを小兵衛が懲らしめる「深川十万坪」
    次第に登場人物同士の関係性がこなれてきて、各話が相互に関連し合っている。著者お得意の"美味しいもの"の記述も増えてきて嬉しい。
    …しかし、タイトルだけでは話の内容と全く結び付かない作品も増えてきた。(ブクログにあらすじや感想を記載していてよかった!)

  • ▼収録されているのは以下。



    東海道・見付宿

    赤い富士

    陽炎の男

    嘘の皮

    兎と熊

    婚礼の夜

    深川十万坪



    ▼全般、長期シリーズに向けて「味」がましてきた印象。「東海道・見付宿」では大治郎がひとりで難事件を解決。「陽炎の男」では三冬主役回の趣向で、三冬と大治郎の恋愛先行きを匂わせる。「赤い富士」や「嘘の皮」では小兵衛の余裕ある大岡裁きが楽しい。

  • 剣客商売 三

    堅物でストイックな大治郎も徐々にこなれてきて、色々根回しや、作戦を立てたり(「東海道・見附宿」)、悪者の中に混ざって演技したり(「婚礼の夜」)と、剣術以外の事も父に頼らず解決できる案件が増えてきた模様です。
    そして「陽炎の男」以降、三冬の想いが大治郎へとシフトしつつあります。二人がどうなるかは、一巻の解説の人にネタバレされてしまっているのですが(涙)、“過程”を見守りたいと思います。

  • 2019年10月13日、読み始め。

    ●人物メモ

    ・吉右衛門---書物問屋・和泉屋の当主で、三冬の伯父。
    ・おひろ---三冬の実母。

    ・飯田粂太郎---
    ・笹野新五郎---大治郎がいないときは、笹野が稽古をつけている。

    ・永山精之助---町奉行所の同心。弥七の直属先。
    ・弥七---四谷・伝馬町の御用聞き。
    ・徳次郎---内藤新宿の下町に住む。女房は、おせき。
    ・文蔵---上野・北大門の御用聞き。弥七と親密。

    ・又六---深川・島田町の裏長屋に住む、鰻売り。
    ・杉原秀---又六の妻。根岸流の手裏剣の名手。

    ・留七(とめしち)・千造(せんぞう)---浅草・山之宿の駕籠屋「駕籠駒」の駕籠舁き(かごかき)。

    ・小川宗哲---亀沢町の町医者。小兵衛の碁がたき。小兵衛より10歳位年長。

    ・文吉(ぶんきち)・おしん---鬼熊酒屋の亭主と女房。前亭主は、熊五郎。文吉・おしんは養子夫婦。

    ・長次・おもと---浅草駒形堂裏の河岸の料理屋「元長(もとちょう)」をひらいている。

    ・牛掘九万之助(うしぼりくまのすけ)---浅草・元鳥越町に奥山念流の道場をかまえる。

    ・金子孫十郎信任(のぶとう)---湯島5丁目に道場をもつ。60歳をこえている。門人は300人以上。

    ・杉本又太郎---団子坂の無外流・杉本道場の当主で、秋山親子とも顔見知りの剣客であった父親を1年前に亡くしている。

    • やまさん
      seiyan36さん、こんにちは。
      いいね!が、帰ってくると嬉しいです。
      seiyan36さん、こんにちは。
      いいね!が、帰ってくると嬉しいです。
      2019/11/02
    • seiyan36さん
      初のコメントをいただきました。さっそく伺います。
      初のコメントをいただきました。さっそく伺います。
      2019/11/04
  • 「池波正太郎」の連作短篇時代小説『剣客商売(三) 陽炎の男』を読みました。

    『新装版・梅安針供養 仕掛人・藤枝梅安(四)』、『剣客商売(一) 剣客商売』、『剣客商売(二) 辻斬り』に続き、「池波正太郎」作品です。

    -----story-------------
    老剣客「秋山小兵衛」とその息子「大治郎」が悪に挑む!
    累計2400万部突破の大人気シリーズ。

    若衆髷をときほぐし、裸身を湯槽に沈めた「佐々木三冬」に、突然襲いかかる無頼の浪人たち。
    しかし、全裸の若い女は悲鳴もあげず、迎え撃つかたちで飛びかかっていった。
    隠された三百両をめぐる事件のさなか、男装の武芸者「三冬」に芽ばえた「秋山大治郎」へのほのかな思いを描く表題作。
    香具師の元締のひとり娘と旗本の跡取りとの仲を「小兵衛」がとりもつ『嘘の皮』など全7編。
    シリーズ第3作。
    -----------------------

    面白くて、どんどん次が読みたくなる『剣客商売(けんかくしょうばい)』シリーズの第3作… 1973年(昭和48年)に刊行された作品です、、、

    「大治郎」の成長が感じられ、父「小兵衛」に近付いてきた感じがしましたね… そして、それに合わせるかのように「三冬」の恋の対象も変化が見られました、今後の行方が愉しみです。

     ■東海道・見付宿
     ■赤い富士
     ■陽炎の男
     ■嘘の皮
     ■兎と熊
     ■婚礼の夜
     ■深川十万坪
     ■解説 常盤新平

    「大治郎」が剣術修行のために諸国をまわっていた際、遠州・浜松で世話になった「浅田忠藏」から本人の筆跡ではない手紙が届く… その手紙の内容から「浅田忠藏」が命の危機にあることを知った「大治郎」は大急ぎで東海道・見付宿に下り、「浅田忠藏」が土蔵に閉じ込められていることを知り、救い出すために行動する『東海道・見付宿』、

    不二楼の亭主「与兵衛」が、女遊びが原因で脅されていることを知った「小兵衛」が事件を解決… 「小兵衛」は、欲しくて欲しくて仕方のなかった「与兵衛」の持っている赤い富士の掛け軸を手に入れることに成功する『赤い富士』、

    「三冬」が根岸の寮で入浴中に襲われるが反撃して追い返す… 「三冬」を襲った目的は?この根岸の寮のもともとの持ち主である「井村松軒」という医者が隠していた三百両に関わる事件を解決する『陽炎の男』、

    香具師の元締「鎌屋辰蔵」の娘「お照」に手を出してしまい、子分たちにいたぶられていた「松村伊織」を「小兵衛」が助けるが、相手が相手だけに事件はそう簡単には収まらなかった… 「小兵衛」が知恵をしぼって円満解決に導く『嘘の皮』、

    町医者「小川宗哲」の愛弟子「村岡道歩」の娘「房野」が攫われ、娘を返す条件として毒薬を調合しろと迫られる… 「小川宗哲」から相談を受けた「小兵衛」がお家騒動に絡む事件を解決する『兎と熊』、

    「大治郎」は、自分を訪ねてきた「浅岡鉄之助」が何者かに狙われていることを知り「小兵衛」に相談するが、「今回のことは「大治郎」の友人のことであるから」と、「小兵衛」は解決を「大治郎」に委ねる… 「大治郎」はどのように解決をするのか?「大治郎」の成長が感じられる『婚礼の夜』、

    近所では評判の怪力婆さん「おせき」が侍を軽くあしらっている様を、偶然通りかかった「小兵衛」は目にする… その後、屈辱を受けた侍たちが「おせき」の営む升酒屋を襲うが、別人に成りすまして宿泊していた「小兵衛」が撃退、人の手本となるべき武家の侍たちの所業であることを知った「小兵衛」の怒りが炸裂する『深川十万坪』、

    本作品も、どの物語も外れがなくて面白かったですねー 読めば読むほど、『剣客商売』ワールドに深く深く沈んでいってます、、、

    イチバン印象的だったのは、「小兵衛」の怒りが炸裂してカタルシスを大きく感じる『深川十万坪』ですね。

    次も本シリーズを読もうと思いますが、第4作は書棚に揃ってないんですよね… 次は、ちょっと飛んで第7作になりそうです。

  • 東海道・見附宿 剣術の先生を門人たちが救出
    赤い富士 不二楼の主人の女グセ
    陽炎の男 三冬が大治郎を好きになり始める
    嘘の皮 香具師の元締めの娘に手を出した問題
    兎と熊 町医者の娘がさらわれる
    婚礼の夜 友人のために大治郎が一芝居
    深川十万坪 金時婆さん

  • 解説にもあったけど、季節とか食べ物とか「脇」の話も楽しめる。最後すっきりする話が多いので気軽に楽しめる。子兵衛みたいな年を取り方をしたいな。

  • 再読、どころか何度も読んでいるけれど、秋山親子は良いですね~。人は老成するとあんなに悟れるのでしょうか?

  • この巻では「深川十万坪」がいちばん印象に残っている……のは、たぶん、なぜかドラマでのこの話をよく覚えているからかな。むうん。あと三冬さん切り替えはえーっす。でも好き。

  • 止まりません。三冊目

全69件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池波正太郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×