池波正太郎の銀座日記(全) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156590

感想・レビュー・書評

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  • 筆者の死去(1990年)までの最後の10年間余りの随筆集。

    昭和30年代あたりの連載をまとめた他の随筆集に比べ、どんどん世相に批判的になっている。
    還暦を超えていく年齢や鬼平などで既に地位を確立していたことを考えるとある意味必然の流れか。

    むしろ痛ましいのは、日記に書いた内容を通じてわかる健康が失われていく過程。徐々に弱っていくのがわかり、読んでいて辛い。

    しかしそんな悲壮感漂う時間の流れをもさくさくと読ませるのは、一流文筆家としての筆者の面目躍如だろうか。

  • 再読。
    今となっては、懐かしい映画ばかり。作品ガイドが付くといいのにとも思うのだが、オリジナルを尊重したいのでしょうね。

    今年は著者の生誕100年だが、私自身が同じ年代に近づきつつあるのが驚きである。

    山の上ホテルが来年春に休業。何てこった。

  • 土地勘があれば当然おもしろさは倍増する。
    羽衣でのランチ後のくだりは笑った。
    食べログ的な使い方もできそう。

  • 「銀座」を舞台にしたエッセイ。読んでいると「粋」というものを感じる。ただのエッセイではなく昭和末期から平成になるまでの世相を写した現代史でもある。

  • 80年代「銀座百景」に書かれた日記エッセイ集。 健啖家で美味しいものが大好き、時間ができると銀座に通い、映画を観、 馴染みの店や時には新しい料理屋を見つけ入ってみて「旨い」「まずまず」 「まずい」。 それから少しの買い物をして帰ったら執筆。という日常がつれづれと書かれているだけなのですが、昭和銀座風物誌の ような趣があります。古本屋で見つけてから、何度も何度も読み返してしまう好きな本。銀座という場所や食べる事・呑む事が単に「好き」というより、自分の生活の中でとても大切にされていた事が伝わってくる。

  • 1983年から90年にかけての日記。他著の解説で『銀座日記』が紹介されていたことから、読みたかった一冊。日付が全て×月×日と表記されているのはどういうことか? 日付を探る手掛かりが著名人の死亡を書いた日記というのが悲しい。そして、著者の最晩年の日記という面もあり、だんだんに弱っていく姿を読むのは辛かった。生活の中に銀座(発祥の地)がある贅沢。山の上ホテルに缶詰めの時に味わう天ぷら。デパートの中の鰻屋、などなど美味しそうな料理は、まさに垂涎の的だ。



  • 池波正太郎 銀座日記

    グルメで映画好きの著者の日記風エッセイ。銀座百点 連載。

    とてもいい。銀座ブランドに 執着や特別な感情がなく、生活の中に自然に銀座、築地界隈がある感じ。著者の挿絵もいい


    著者の意外な日常と偏愛
    *映画の趣味が若い。インディジョーンズ、ターミネーター、ダイハード、エイリアンまで観る
    *映画の好き嫌いが はっきりしていて、脚本や演者まで 細かな評価をするのに、本の書評がほとんどない
    *「浄瑠璃素人講釈」「三岸節子 画集」は愛読書の様子
    *山の上ホテルで仕事して、天ぷら食べることが多い


    モンテーニュは、いつ読んでも、男らしくていいね「睡眠は死に似ているから、自分の睡眠を観察せよ〜自然が我々を生と死のために作ったことを教えられる」

    トルコ映画「路」
    苦難と悲痛の中から生まれる詩情が胸を打つ。日本は民主主義になって〜自由をえたが、自由という言葉の空しさを知り〜詩情を失った。人間がもつ矛盾はつきることを知らない〜得たものがあれば必ず失うものがある

    人間の世界は、相対の世界で、暗もあれば 明もある。暗を生かすためには明も描かなければならない
     
    元来、わたしは怠け者〜自分でもわきまえている。なれびこそ、仕事を前もってすすめるようにしている

    人間、六十を過ぎて数年たつと、一切の欲がなくなる。このときが引退のときだと思う

    自分で追体験したいのは
    *トラヤで帽子を買い〜英國屋でネクタイを買う
    *野田岩の鰻を注文し〜華門でアイスコーヒーを飲む
    *あかつき公園のあたりから、聖路加病院をぶらぶら歩き〜かつ平へ行き、極上のロースを揚げてもらう
    *日本橋 たいめいけん へ行き〜ビーフシチューにして〜永代橋を経て深川へ行く
    *資生堂のカレーライス〜千疋屋のハヤシライス

  • 古き良き昭和のダンディズムを感じる本。東京に土地勘はないけど東京に憧れがある地方民&そこそこ、いや、それ以上のレストランにふらりとアラカルトで注文できるおとなに憧れる民なので(私はドリンクを頼むのもためらうしがない守銭奴)とても満足でした。お出かけ上手、楽しみ上手。
    パッと開いたところからアラカルトで読んでも違和感なし。

  • 請求記号 915.6-IKE(上野文庫)
    https://opac.iuhw.ac.jp/Otawara/opac/Holding_list?rgtn=1M027048
    銀座百点というミニコミ誌に連載されていたそうです。鬼平、梅安、秋山小兵衛も、もちろん素敵ですが、正ちゃんの代表作といえばこれです。白血病で亡くなる直前まで綴られた日記から人生のなんたるかを学ぶことができると思います。

  • 息抜きにうってつけの一冊。
    日記形式で、食事をはじめお芝居や映画、買い物など、興味があるものについての記録。
    気に入ったものはとことん褒めるけど、そうじゃないときはめちゃくちゃにけなす。こだわりが一貫してる。
    こちらを読むたびに、著者が絶賛する山の上ホテルの天麩羅を食べてみたくなります。
    2017.8.15

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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