- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101021515
作品紹介・あらすじ
ミャンマー奥地で遭遇した、納豆卵かけご飯。日本以外にも納豆を食べる民族が存在することをそのとき知った。そして著者は探求の旅に出る。ネパールでは美少女に導かれ、湖南省で味噌との関係に苦悩。東北秋田で起源について考える。“手前納豆”を誇る人びと。夢中で食べた絶品料理。愛する食材を追いかけるうちに、アジア史までもが見えてきた。美味しくて壮大な、納豆をめぐる冒険の記。
感想・レビュー・書評
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日本の文化といえば、納豆。
そう思っておりましたが、冒頭の1ページはおろか、タイトルからすでに、そんな幻想が消え失せてしまい、衝撃とともに。
納豆で思い出すのは、茨城へ旅行へ行った際、味噌汁にも納豆が入っていて驚いたこと、本当に藁に入った状態で販売されていたことです。
発泡スチロールに包まれた納豆しか見たことなかった自分にとって、あのときもなかなかの感動がありましたが、それをいとも簡単に超えてくる、納豆の世界がこの本の中にありました。
肉も魚も取れない、山岳地帯において、重要なタンパク源とされた納豆。
発酵という製造工程を経ているので、保存も効く上、健康にもよい。そんな便利な食品だからこそ、各地で独自の進化を遂げてきたのでしょう。
納豆を軸にした、アジアの文化史。
日本の納豆というフィルターを通してみた、アジアの納豆。そして、逆にアジアからみた日本の納豆。
そんな納豆論が、ものすごく新鮮で、惹きつけられました。
実はワラでなくても納豆は作れるのです。
読み終えて、納豆に関する幻想が吹き飛ぶことでしょう。
そして、読み終える頃には、納豆を買いに出かけること間違いなし!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大好きな高野秀行さんの文庫新刊!
しかも、この八月にはアフリカ納豆verが出るらしい(笑)
いや。とりあえずめっちゃ好きなんだなというのは伝わってきます。犬も。犬って納豆食べるんだね。
納豆って日本食だと思っていた、けど、タイにミャンマー、ネパール、中国の、しかも奥地の民族に受け継がれるソウルフードだったとは!
辛そうなやつもあれば、臭そうなやつも。
個人的には焼いておせんべいみたいにした納豆は、一回食べてみたいな……。
なんて言うけど、私も数年前までは納豆なんて絶対食べない!と思っていた。
大体、糸を引く食べ物に惹かれなかった。
きっと、その時にこの本が出ていても、買わなかったと思う。すいません(笑)
思えば、割と独特な食べ物よな……納豆。
高野さんの軽快なトークは相変わらずで、するする読んでいけるのだけど、ソマリランド辺りでプンプンしていたダーティー感は今回はなし。
当たり前なんだけど、あのハラハラ感に触れたくなる、ある種の中毒性を持っている。
辺境グルメレポと言えば、随分趣旨は違うものの『ハイパーハードボイルドグルメリポート』も最近読んで、テレビも見て、ハマった。
ハラハラ感も欲しいなって方は、オススメ。 -
納豆食べない関西人なので納豆にどうしても興味が持てず単行本出たときは見送ってたんだけど、この度文庫になったので一応読んでみるかと思って買った。
今後も納豆食べることはないだろうけど高野さんが納豆にはまってる様子はおもしろかった。 -
図書館で借りた。
アジアの山奥で出会った、納豆そっくりな料理…これは一体何なのか、なぜこんなところに日本独自の料理と思っていた納豆があるのか、他にもこんな海外納豆はあるのか…果ては納豆はどこから来たのかと、納豆を探す調査旅記録だ。
しかし単なる旅日記ではない。納豆レシピ本の側面もあり、日本を見つめ直す日本学的な価値もあり、なんなら社会科学の論文的価値もある…とにかく、ものすごい本だ。面白いだけじゃない。
他の方のブクログ感想に著者の評判が書いてあったが、とても好評だ。…私も著者の他の本を漁りたくなった。続編的な本?もあるようだ。これは読まなければ。 -
高野さんの納豆愛・辺境愛が炸裂した一冊。
そして、最強の飯テロ本。
これを読んでいる間、何パックの納豆を食べてしまったことか。
そして、私の故郷である東北が紛れもなく辺境で、納豆文化の中心地であることを実感した。
納豆汁で育てられ、夕ご飯に何を食べたいかと聞かれたら常に「納豆!」と答え、盆にも正月にも納豆餅をしこたま食べる。さらに、土曜日には「ひとりあげ」に納豆をぶちこんで食べていたことをありありと思い出しながら読んだ。
あと、西和賀(夫の実家のすぐ近く)が「何でこんなとこにわざわざ住むのか」って言われたりしてて、ちょっと笑っちゃった。さすが、元無医村。高野さんをもってしてもびっくりの辺境なのね。地吹雪すごいし、道が崩れればすぐ陸の孤島化するしね。でも、それだけに食に関しては個性とエネルギーが凄くて、観光地としては優秀だと思う。まさか、納豆でも有名なところだとは思わなかった。地元民だけど(だから)、蒙を啓かれた思い。
発酵文化は、本当に面白い。
人間が生き延びるための知恵と勇気の結晶だと思う。
それが場所を変え、文化を超えて各地で納豆という最高の食品に結実していることがとても面白いと思わされた。
さて、この勢いのまま『アフリカ納豆』に突入! -
面白すぎる・・・。
パワーワード連発。 -
☆☆☆2021年2月☆☆☆
納豆。日本特有のものだと思っていた。
アジア各地には、日本人以外にも納豆を食する文化がある。
納豆を食べるのは「辺境」に住む人々だ。
ワラ以外の葉でも大豆を包む。ビワ、シダ、バナナ。
あらゆる葉っぱに納豆菌は生息している。
探検家の高野氏が、アジア各地、そして東北地方をフィールドワーク。
そこで得た知見をまとめる。その実験精神は素晴らしい。
納豆せんべいとか、納豆汁とか、僕には想像がつかない。
納豆とは奥が深い食べ物だ。 -
アジアで作られているという"アジア納豆"を探しに行くドキュメンタリー。
作り方は違うものの匂いや味は日本の納豆に近いという。
いつも食べている納豆なのに知らない事だらけ。
まさかアジアにも納豆があるだなんて…
結構分厚いけどおもしろいのでどんどん読めます!
学者さんじゃないのに好奇心だけで
ここまで追い求めるのはすごいと思いました。
(間違っていたらすみません)
地名や民族に馴染みがないので
途中途中わからなくなることがあったので
自分でわかりやすい様にメモを取りながら
読み進めていますが、
自分で自分がどこを目指しているのか
分からなくなりました。
そしてアフリカ編も出ているので早く読み終えなければ…!-
2020/12/10
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まさか納豆からここまで驚きと発見に溢れた一冊になるとは。500ページ近い長さでも最後までワクワクしながら読めた。そしてとにかく納豆が食べたくなる。
納豆文化圏の民族が強く生きてきた歴史を知ることができたとともに、納豆を介して旅先で高野さんが出会った人々の日々の団欒が垣間見えた気がした。私もいつか現地へアジア納豆を食べに行きたい!