- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784098252435
作品紹介・あらすじ
今、絶対見たい! 現代アートの傑作10
本書は、日本に数ある現代アート作品の中から、これだけは絶対見ておきたい傑作10点を著者が選び抜いて紹介します。20世紀芸術の申し子、イサム・ノグチの「エナジー・ヴォイド」やアメリカが生んだ抽象絵画の頂点、マーク・ロスコの「シーグラム壁画」から、ゴミを擬態した三島喜美代の驚きのアートまで、様々な種類の現代アート作品を網羅しています。そして、その作品の楽しみ方はもとより、そのアーティストの人となり、作品が生まれた時代背景などまで、詳しくわかりやすく解説しています。
なぜ傑作を見るべきなのか。それは、現代アートを理解する早道だからです。優れた作品には、人を感動させる力があります。「現代アートに興味はあるが、難しそうで敷居が高い」という声をよく耳にしますが、「四の五の言うより、傑作の前に立ってその力を肌で感じるほうが理解は早い」と著者は強調します。本書はその理解の手助けをし、さらに、現代アートの楽しさ、奥深さを知っていただくための一冊です。本書を手に、現代アートの傑作を体感する旅に出てみませんか。
【編集担当からのおすすめ情報】
著者は日本の現代アート研究の第一人者ですが、自らも斬新な企画を数多く立案し、実行してきました。どういう作品をどういう形で見てもらったら現代アートファンに満足してもらえるか。それをずっと考えてきた人です。その考え方、作品の紹介の仕方が、本書の作品選択や解説に活かされています。作品そのものの鑑賞ガイドだけではなく、作家の人柄、考え方、作品ができた時代背景なども併せて読むことにより、その作品やアーティストへの理解が一層深まるのです。読み終わったら、現代アートへの考え方が変わっているはずです。
感想・レビュー・書評
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日本にある絶対見ておいたほうがいい現代芸術作品を10選んで、分かりやすく解説している。どの作品も大変魅力的で、ぜひ行ってみたくなってしまったが、あちらこちらに散らばっているし、交通不便なところにあるので、生きているうちに見れるかどうか。
著者は「アートを見るとはアーティストの目を通して世界を眺めることです。そこが、ただ自分で風景を見ているのと、アーティストが介入した風景を見ているのとの違いです。現代アートは、認識の美術だという理由はそこにあります。私たちは”どのような視点によって世界は眺められているのか”ということを作品から学ぶのです」と言い、「アーティストが解釈した結果や、芸術的なセンスが昇華した結果生まれた作品を芸術と考えるのではなく、鑑賞者の目の前に広がる現実の体験の中にこそ芸術があると考え、芸術の本質は、作品の中に埋め込まれてあるのではなく、鑑賞者と作品の関係によって生まれるというのが現代アートです」と言う。要するに、体験型なのである。写真では分からない、行ってみなくては。そして、感じ、考えるものなのだ。
①圧倒的な存在感を放って渦巻くエネルギー「エナジー・ヴォイド」イサム・ノグチ②最高の抽象絵画がつくり出す心休まる空間「シーグラム壁画」マーク・ロスコ③山稜に佇む人に会いに行く「ANOTHER TIME XX」アントニー・ゴームリー④ゴミを擬態化したアート「Newspaper08」三島喜美代⑤本物以上の魅力をもつ巨大人体像「スタンディング・ウーマン」ロン・ミュエク⑥共に遊び、共に生きる、触れ合いの装置「スイミング・プール」レアンドロ・エルリッヒ⑦人が集まる空間に命を吹き込む彫刻の力「アルテピアッツァ美唄」安田侃⑧光そのものを主役にする「ブルー・プラネット・スカイ」ジェームズ・タレル⑨風になる。光になる。水になる。ということ「母型」内藤玲⑩太陽と、地球と、私ー違った世界が見えてくる「タイム/タイムレス/ノー・タイム」ウォルター・デ・マリア詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本のタイトルそのまま、日本各地に置かれた国内外のアーティストによる現代アート作品が紹介されています。その選出にあたっては、著者の秋元雄史さんのプロフィールを引用するのがよいでしょう。
【1955年東京生まれ。東京藝術大学美術学部卒。1991年から福武書店(現・ベネッセコーポレーション)に勤務。国吉康雄美術館、ベネッセアートサイト直島の企画・運営に携わり、家プロジェクトなども担当。92年からベネッセアートサイト直島のチーフキュレーター、2004年から06年まで地中美術館館長。現在は金沢21世紀美術館館長、東京藝術大学美術館館長・教授を務める。現代アート研究の第一人者として、数多くの斬新な企画を展開。現代アートの他に、「工芸未来派」展の企画など、工芸の普及にも力を入れている。(2015年)】
本書は著者が深く関わってきた現代アートの仕事をなぞるような内容です。
書籍や研究から得た知識だけではなく、実体験を伴った者が発する言葉を要所要所に感じます。アーティストの気持ちに寄り添いつつ、その作品の鑑賞者となる一般の人々にどう見えるか、その見せ方や伝え方にも気を配っています。
本書で紹介されている作品のほとんどは、恒久的に特定の場所に設置された作品です。その作品のために建設された美術館があるくらいです。鑑賞するためにはその土地に行くしかありません。待っていても地元の美術館に巡回されることはありません。
これら現代アート作品の共通点を無理やり考えてみると、それは“観る以上”だと思います。すべてではありませんが、1日の時間の経過や天候や自然現象が作品の見え方に影響を与えています。鑑賞者は意識するしないにかかわらず、そのときに出現する光や風の存在を感じます。それらを含めて作品が成立しているのです。鑑賞者に対して、目で観る以上の感覚を研ぎ澄ますように促してきます。
展覧会で観る絵は基本的に今日も明日も同じものです。それを変化させるには本人の気持ちの問題、受け取り方で左右させるしかありません。しかし、屋外型の現代アート作品を例にすると、今日が晴れで、明日が雨なら、現実的に観える景色が変わってしまいます。本人の気持ちの問題以前に、作品の見え方に変化が生じます。
ここまで割り切って、または開き直って、正解がひとつではないのだと思えば、現代アートも少しは気楽に見れそうです。 -
本書では、必見と著者が考える日本にある10作品を紹介しながら、鑑賞の糸口が見えづらい「現代アート」へどのようにアプローチしていくかを優しく説明している。例えばイサムノグチ「エナジー・ヴォイド」、ジェームズ・タレル「ブルー・プラネット・スカイ」などを見るべき作品として挙げながら、私の読み解きでは「アートからの問いをくみ取ること」「理解せずアートが作り出した世界を体感すること」に、鑑賞者の目指すべき態度が集約されることを示している。
「アート」と語るその言葉が何を表しているのか、しばしば混乱させれることが多い。造形に没頭しなにかの形として生み出された作品と、言葉で固められたコンセプトから視覚化された作品とでは、同じ「アート」という言葉を掲げるにはあまりのも距離が離れすぎている。同一の言葉を置くことができるかろうじての接点は視覚表現であるということだけなのだ。そんな混乱が自分の中で少し氷解したようなところがあり意義深い読書だった。 -
最近、よく雑誌などで特集される「現代アート」。
芸術家といえば、奈良美智、村上隆といった名前が紹介されることが多いですが、本書にはこれらの名前は出てきません。
美術館の館長である著者が紹介するのは、作品が置いてある場所に行かないと絶対に見られない、体験できない、世界一流の「現代アート」10点で、アクセス情報とともに限りなく簡素に解説しています。
ふつうの観光旅行に飽きてしまった方や国内旅行よりも海外旅行という方も、「日本にもこんな場所があるんだ」とどれか1点を見に行きたいと思わせる1冊です。
(kukku) -
現代アートの今日の日本の興隆を支えたお一人の簡単な解説本。とても良くまとまっていて、何を観るべきかの参考になる。
まだ幾つかは行けていないから、まだまだ旅行する目的があって楽しみだ。 -
「現代アート」を鑑賞した際、どうも好きじゃないと思う作品がしばしばあるのだけど、それは「わかりにくさ」から来るものだと思ってたのだけど、解説を読んでもやっぱり好きじゃないものは好きじゃない。
自分の鑑賞態度を振り返ってみると、近代以前のアートは好き嫌いを超えて知識として捉えることができるけど、現代アートは意味が理解できたとしても好きかどうかは別次元で、同時代性ゆえなのか、作品に対して、ある意味、純粋に好きか嫌いかで対峙しているような気がする。
本書で紹介されている作品のうち、いくつかはみたことがあるが、そんなことを思った。 -
日本列島にある現代アートとそれを飾る美術館に焦点を当てた一冊。
自分は現代アートに詳しくないものの、興味を持てた。 -
KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭で天心記念五浦美術館で購入しました。ここで、チームラボの作品を見た後にこの本が目に止まりました。
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西沢立衛多め
世界を見つめる、思考する、という点では、現代アートと建築は似て非なるものであろう。