お釈迦さまの脳科学 釈迦の教えを先端脳科学者はどう解くか? (小学館101新書)
- 小学館 (2010年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784098250967
作品紹介・あらすじ
お釈迦さまの脳科学
日本には本当の仏教は伝わっていない。「葬式」も「位牌」も「戒名」も、じつは釈迦の教えとは関係ない。これらは儒教や道教に由来するもので、仏教が中国を経由して伝わったがゆえのものである。『般若心経』など、中国で創作されたと疑われるお経すら存在する。チベットの高地で発見された『チベット大蔵経』が20世紀になって日本にも紹介され、他の宗教の影響を受けていない釈迦の教えがようやくわかるようになった。本来の仏教は絶対的な存在=神を否定し、平等な社会をめざし、最新の物理学や数学と同じ結論を導き出していた。オウム真理教信者の洗脳を解いたことなどで知られる脳機能科学者の筆者は、天台宗の僧籍を持ち、チベット仏教の大阿闍梨の称号をも得ている。その彼が、仏教の歴史を振り返りながら大乗仏教と日本仏教の成り立ちを解説し、縁起、無我説、空、輪廻などを科学の立場から明快に解く。釈迦の教えの核心とは!? また「悟り」の正体とは!? 21世紀の「お経」をここに提示する。
【編集担当からのおすすめ情報】
オウム真理教信者の脱洗脳で知られる苫米地英人先生が、天台宗の僧籍をも持つ仏教者であるというのは意外にも知られていないことです。その彼が、日本仏教を痛烈に批判しながら、しかし、釈迦の本来の教えが最新科学の結論と同じであることを解説し、「悟り」の本質を語ります。
感想・レビュー・書評
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天才、苫米地英人の仏教に関する書。
彼は、さまざまな肩書きを持つ脳機能学者(?)なのだが、実は天台宗の僧籍を持ていたりもする。
この本は『なぜ、脳波神を創ったのか?』の続編に当たるような書・・・だと思う。
一般書ながら、かなり興味深い指摘をされていて、読んでいて楽しい。仏教や宗教に興味のある方であれば、この苫米地英人の言説は驚きの連続かもしれない。
スピリチュアル批判、仏教の始まりと現代日本の仏教について、密教と顕教について、悟りについて、さらに、コーチングといった苫米地氏の専門(の一つ)の分野からの仏教に対する解釈は興味深い。
ただし、苫米地英人の本を読む時に気をつけなければならないことは、表現がストレートすぎるので、一歩は慣れて読まなければならないと言うことだ。そういう立場で読むと楽しめると思う。
ほかの(一般的な)論説や彼に対する批判も併せて読んでみるといいと思う。
すこし残念なのは、脳科学的な記述が少ないというところ。
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【内容説明(amazonより)】
日本には本当の仏教は伝わっていない。「葬式」も「位牌」も「戒名」も、じつは釈迦の教えとは関係ない。これらは儒教や道教に由来するもので、仏教が中国を経由して伝わったがゆえのものである。『般若心経』など、中国で創作されたと疑われるお経すら存在する。チベットの高地で発見された『チベット大蔵経』が20世紀になって日本にも紹介され、他の宗教の影響を受けていない釈迦の教えがようやくわかるようになった。本来の仏教は絶対的な存在=神を否定し、平等な社会をめざし、最新の物理学や数学と同じ結論を導き出していた。オウム真理教信者の洗脳を解いたことなどで知られる脳機能科学者の筆者は、天台宗の僧籍を持ち、チベット仏教の大阿闍梨の称号をも得ている。その彼が、仏教の歴史を振り返りながら大乗仏教と日本仏教の成り立ちを解説し、縁起、無我説、空、輪廻などを科学の立場から明快に解く。釈迦の教えの核心とは!? また「悟り」の正体とは!? 21世紀の「お経」をここに提示する。
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【目次】
序章 「仏教ブーム」の正体 今なぜ仏教ブームなのか?/日本に仏教は伝わっていない/「仏教」ブームではなく「仏説」ブーム/オウム事件により宗教をを批判できる時代になった/スピリチュアル批判は日本仏教批判/スピリチュアルブームはオウム事件の後遺症/スピリチュアルの代替品として使われる脳科学と仏教 第1章 釈迦は神の存在を否定 原理主義はテロや戦争を引き起こす/最先端の物理学、数学では神は否定された/釈迦は葬式を禁止した/毒矢のたとえ/インドに墓はない/お葬式は「出家祝い」?/脳は科学最後のフロンティア/脳と心は同じ/科学的に絶対にあり得ないことがオカルト/オカルトは最良のビジネス? 第2章 どこまでが「仏教」か? 「インドで仏教が滅んだ」は嘘/どこまでを仏教と認めるか?/厳密には上座部のみが仏教/お布施で成り立つ出家宗教の矛盾/釈迦は立ち上がったときから大乗/財産を置いて出てくるのが釈迦の時代の出家/祇園精舎に鐘の声はしなかった/大乗仏教は墓守が始めた新宗教/大乗仏教はお経を呪文にしてしまった/大乗仏教には大天才が生まれた/「空」とはもっとも抽象度の高い概念/ 第3章 釈迦の教えは社会改革 社会改革者・釈迦は暗殺された/釈迦の宗教活動はカースト違反だった/差別の根拠となる輪廻を否定/釈迦の「無我説」 第4章 日本仏教は老荘思想 神を否定した釈迦が神にされた/日本で浄土教は念仏を唱える宗教に/「経」という文字が仏教の道教・儒教化を表している/儒教は支配者に都合の良い差別思想/日本では寺が差別を進めた/穢れ思想とシャーマニズム/地獄は天台宗の僧が発明した概念 第5章 チベットのタイムカプセルと般若心経 『チベット大蔵経』は仏典のタイムカプセル/漢語で「偽経」が作られた/『般若心経』は中国で作られた「偽経」/『般若心経』を添削/「ギャーテーギャテー」はシュメール語で解読できる/須弥山は今のイラクにあった!? 第6章 煩悩はコントロール可能 21世紀は「苦」で仏教を説く時代ではない/「煩悩」とは細胞レベルの苦/煩悩は大きくすればいい/煩悩からゴールを設定してはいけない/ゴールは「have to」であってはならない/「止観」で情動をコントロールする/すべては「縁」によって「起」こる/無明とは縁起を知らないこと/仏教の戒と、キリスト教の戒の違い 第7章 密教の超能力と方便 「チベット死者の書」は仏典ではない/活仏はブッダの生まれ変わりではない/アートマンは続かないが縁起は続く/活仏認定は「いい人」を作るための「徴兵制度」/密教の超能力は方便/八正道も方便?/釈迦には「自力」も「他力」もない 第8章 悟りの正体 日本人には方便は必要ない/21世紀は、小学校出るころに全員さとっている世界/21世紀は、小学校出るころに全員さとっている世界/悟りとはすべてのスコトーマが外れる体験/密教は体感するのに役立つ/「悟り」は運転免許にすぎない
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海外ドキュメンタリーなどを見るたびに、チベット、中国、タイの仏教と日本の仏教があまりにも別物なことに違和感を感じていたので、この本を読んですっきりした。日本仏教の各宗派、キリスト教との違いについてもやっと理解出来た。
藤原新也氏のガンジス川で犬が人の死体を食べる写真を思い出す。
人は死ねばただの物質でしかないという思想が、まだ市井の人たちの間にあるから、ああいう光景だったのだと、この本が説明してくれたかのようだ。
かつて物理や科学などの学問がなかった時代、仏教は釈迦の教えを伝えるだけでなく、それらの役割も担っていたと考えると、なおのこと悟りを開くのは容易ではないと感じる。
般若心経のマントラの起源が、実はシュメール語であったというのも興味深い。 -
苫米地さんは、あとがきに「仏教は戦争を引き起こさない数少ない宗教。仏教徒にならずとも世界中の人々が仏教的な思想を理解することで、戦争をなくすことができるはずです。」と書いています。
私も、遅ればせながら仏教を学ぶ過程で、同じような思いを持ちました。
この本は、お釈迦さまが、悟りを開いたと言われている2500年前から現代まで、仏教がどのように伝わり変化してきたのかという道筋について、全体を高い視点から広い視野で客観的に見渡す機会を与えてくれる内容です。絶対的な価値がひとつしかないという考えは、もうやめましょう。
「絶対的な価値がひとつしかない」という考え方は、他者を洗脳して利用してまで、既得権益を守り、更に大きな利益を獲得しようとする人にとって、都合の良いものなのではないかと思います。信じる人の情動を刺激し、騙されやすい状態にするからです。
科学によって、様々なことが解明される中、科学が発展する前に創られた宗教も、転換期を迎えているような気がします。しかし、2500年前にゴータマ・シッダールタによって説かれたと言われる仏教は、こと人の心理という意味では、極めて科学的な考え方で、色あせない思想だと思います。
この本の、唯一の欠点は、著者の胡散臭さだと仰る方もいらっしゃいますが、多くの方が良書だと書いている理由は、この本に書かれていることが、批判を恐れず、仏教全体を客観的かつ公平に観て評価しているからだと思います。私も、世界を平和に導ける宗教だと思います。 -
脳科学はどこに行ったのかな。でも釈迦の伝えたかった本来の仏教のことがひととおりわかる。
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客観的で論理的。
著者の冷静さから短いながらも仏陀の教えを理解できる。後は実践のみ。 -
Reserved
Library -
同じ著者の「一生幸福になる超訳般若心経」の方を先に読んでしまったのだが、こちらも存外よろしい。
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釈迦の教えや「悟り」の中身を脳科学的見地から解説した本だと思って手に取ったのだが(このタイトルを見たら誰だってそう思う)、脳科学の話がほとんど出てこない。中身は要するに“苫米地流仏教入門”である。
書いてあることの6割くらいは納得できたし、大枠として間違ったことは言っていないと思うのだが、残り4割程度にはかなり乱暴な独自の見解が混入しているので、鵜呑みにしないほうがよい。
乱暴な独自の見解の例を挙げる。
苫米地は本書で、“釈迦はその教え自体がカースト制度を根底から否定するものだったため、暗殺された”とする説を述べている。釈迦は在家信徒の一人が供養したキノコにあたって食中毒で亡くなったのだが、これを毒殺と見るのだ。
うーん、「お話」としては面白いけど、当時としてはすごい高齢の80歳で、すでにかなり弱っていたはずの釈迦を、わざわざ暗殺しようなんて思うかね?
……と、そのような独自の見解が本書には多々あって、しかもそれらがあたかも仏教学の最先端の常識であるかのような書きっぷりなのである。プロの仏教学者たちは本書をどう読むか、聞いてみたい気がする。
とはいえ、卓見も随所にちりばめられているし、「お話」と割り切って読むなら面白さはかなりのものである。 -
苫米地さんの本を読んでて彼の思想が正しいのか胡散臭いのかどっちか分かったのだけが収穫。