東京の副知事になってみたら (小学館101新書 88)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098250882

感想・レビュー・書評

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  • BOOKOFF店舗でかなり前に買って積読していた本を今回読了。

    都知事だった2013年に議会でカバンに現金の束に見立てた発泡スチロールを入れようとして汗をかいている姿がチラチラするけれど、副知事だったのは石原慎太郎が都知事だった時だ。

    猪瀬直樹の著作を読むのは「ミカドの肖像」を学生時代に読んで以来だ。「ミカド〜」を読んで以来、いい印象があったのでこの本も手に取ったのだと思う。

    政策を場当たり的ではなく、データと数字、これまでの経緯と先を見通して立案する力のある人だと感じた。そういう有能な人が、権力闘争なのか足の引っ張り合いなのかそういったものに巻き込まれて失脚するのは残念だと思ったが、あとでWikipediaを調べたら今は参議院議員らしい。

  • ふと、都知事選を前にして、なんとなく手にとってみました。
    で、なんでしょうこの、「地に足の着いた信頼感」は。

     「東京というこの大都市をどう成長させるか、これは東京都の仕事である。」

    といったことを、さすが道路公団民営化を成し遂げただけあって、
    非常に説得力を持った論旨で、様々に展開されています。

     「弱者対策、とくに雇用対策を解決しなければいけない。
      バラマキ減税ではなく実際に必要な資金を提供したり
      職業訓練をしたり、積極的な施策が必要なのだ。」

    至極納得出来る話で、「釣り方を教えるので、魚は自分で釣ってくれ」と言う、
    以前に麻生さんも仰っていた「自立自助、天は自ら扶くる者を扶くの精神」ともつながります。

    「結果」ではなく、その結果を出すための「手段」を援助するというのは、
    文字通りの教え育んでいく「教育」の根幹の一つと思います。

    またこうした「一緒に汗を流して頑張りましょう」というのは、
    日本人の心情にも結構沿っている援助のやり方と感じますが、さて。

    となると、ただ「結果」を与える以上の「能力」が求められていくわけですが、、
    それだけに昨今の「教育」の質の低下には、危機感を抱かれているようで。

     「本を読む習慣がすたれると、思考力が衰える。」
     「生徒は論理的に思考し、論理的に表現することが求められる。」

    戦後、日本人の「自分の言葉で考える力」の弱まりは、酷いそうで。。
    特に「ゆとり教育」が施行されてからそれに拍車がかかったとのこと。

    私自身も戦後教育を受けた身ですから、今から振り返ると確かに、とも思います。

     「日本企業は、国内市場の飽和や少子高齢化の影響によって、
      ビジネスモデルの転換を迫られてる。」

    「ゆとり教育」もその理念自体は、国際的には評価されていたとのことですが、
    それを骨抜きにして実態を伴わないものにしたのは、やはり日教組なのでしょうか。

    選挙では、日教組が毎度ながらに授業放棄してどこを応援しているのか、気になります。
    そのあたりも含めて、見ておきたいところですね、、閑話休題。

    また、先の東日本大震災の時の気仙沼への救援ヘリ出動指示などを見ても、
    リーダーに必要とされる判断力、実行力、支持力等を兼ね備えている方と、思います。

    で、公務員(官僚)の使い方も上手いんだろうなぁ、、とも。

     「"首都公務員"である東京都の職員に求められるのは、
      100点満点ではなく120点満点の目標だ。」

    こちらは『決断する力』で詳細に取り上げられているとのことですので、、読みたいですね。

    石原都政への評価でもあるとの言い方もされていましたが、
    こういった点を見ると、猪瀬さんご自身への評価を踏まえねばと、思います。

     「日本には、安全保障の考え方もまったくない。」
     「戦争とは、資源をめぐる争いである。」

    少なくとも、「理念」「教育」「危機管理」「外交」を見る限りは、選択肢は必要ないなと。
    まぁ、北朝鮮シンパが党首をつとめる党の公認を受けている候補者は無いですけどね、間違いなく。

    本書は2年前に描かれていますが、今から振り返ってみても、興味深く読めました。
    選挙前に読んでおいてよかった1冊、その1です。

    ちなみに、この方の小説家としての著作は読んだことはありません、、(汗
    どうせならしばらく読まずに行ってみようかなとも思いながらも、悩ましい。。

    • アセロラさん
      今年もよろしくお願いします^^

      ohsuiさんの政治本のラインナップに感動しつつ(^^ゞレビューを拝見させていただいております。

      猪瀬さ...
      今年もよろしくお願いします^^

      ohsuiさんの政治本のラインナップに感動しつつ(^^ゞレビューを拝見させていただいております。

      猪瀬さん…、都民では無い自分が言うのもなんですが、少なくとも都知事としてのお仕事はされていたと思うんですけどね…。今になってこのレビューを拝見し、改めて惜しいなと思います。
      2014/01/08
    • ohsuiさん
      アセロラさん
      ご返事遅れまして、失礼しました。
      こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。

      猪瀬さん、本当に残念なんですよね、仕...
      アセロラさん
      ご返事遅れまして、失礼しました。
      こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。

      猪瀬さん、本当に残念なんですよね、仕事はかなりきっちりやられていたと思います。それだけに、既得権益者に足をすくわれたのかな、、とも。

      立候補者に、佐川からの1億円貸与で辞めた細川さんが有力とか言われている時点で、なんだかなぁ、、と思います。

      安倍さんのように、どこかでリトライしていただきたいですね~
      2014/01/13
  • 東京都の政策に興味があったので読んでみた。
    今都知事の猪瀬さんが副知事時代に取り組んだことを中心に書かれています。
    実際起こったエピソードの話が中心だし、文体もとても読みやすい。さすが作家さん。

    内容
    ・都が取り組む「水ビジネス」の重要性、参議院議員宿舎の件、高速道路民営化の件など色々。
    ・東京が今オリンピック招致に取り組んでいる理由が、「成熟した先進国のオリンピックをすることにより、東京から世界に向かって未来のビジョンを発信する」という目的を持ったものであるということ(これ知らない人意外と多いと思う)。
    ・あとは、石原元都知事に指名されて副知事になったいきさつというか裏話が書かれてて面白かった。

    猪瀬さんは都民の目線から都の問題を見つめている。行動力もすごい。
    理想論や思いつきではなく、ちゃんとデータに基づいて政策に取り組んでいるので信頼できる。
    猪瀬都知事になって、これからの東京がどうなっていくのか期待したくなる1冊。

  • 東京都副知事(当時)の猪瀬直樹の本
    とにかく着眼点がよい。行政マンでもなく、政治家でもなく、作家なはずなのに、経営者的目線で物事を捉えられている。しかも組織に入ってしまうと見えなくなってしまうことが、客観的に判断・検討して解決していく姿は爽快に感じた。

    以下、読書メモから
    【なるほどな点】
    ・論拠を示していない意見に対していう言葉は、「おかしい。間違っている。」ではなく、「その論拠を示してくれ」である。
    ・「公約の進化」は問題ない。
    ・誤解された「格差社会」
    ・したほうがいいことでも進まないのは理由がある。
    ・均衡ある国土の発展は単なる悪平等。
    ・国同士が連携できなくても都市同士で連携する。
    ・電気の余剰買い取り式は節約インセンティブが働く。

  • 都政の現状と問題点をわかりやすく現していて、ためになる読み物です。

  • 都知事選を前に、副知事としてどういう方なのか知りたく読み始めた。参議院議員宿舎の建設中止、周産期医療の整備、ケア付き賃貸住宅という発想、夕張市へ職員を派遣…これらのエピソードから、何て愛に満ち溢れた方なんだろうと実感した。また、徹底的なデータに基づき、作家という持ち前の発想力で、スピード感を持って次々に問題を解決してこられた行政手腕から、次の都知事はこの方を措いて他にいないと確信した。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「この方を置いて他にいない」
      と思われる方が多かったようで、圧勝されましたね。都民じゃないので静観していましたが、前知事のような物議を醸すコ...
      「この方を置いて他にいない」
      と思われる方が多かったようで、圧勝されましたね。都民じゃないので静観していましたが、前知事のような物議を醸すコトなく。良い都政をされるでしょうね。
      猪瀬直樹の本はスリリングで面白いですよ!
      あっコノ本は未読ですが、、、
      2012/12/28
  • 通勤読書の33冊目を読み終わりました。

    ためになりました。選挙もちかいですよね。
    新聞やTVだけじゃなく、いろんなところからいろんな情報を仕入れて考えないといけないなーと。これ読むと知らないことが多すぎでした。

    自分は都民だけど、行政の人たちって、取り組みに対しての発信力が足りないんじゃないかしら。

  • 夏休み、伊豆の温泉に行くのに東名高速を使って向かった。本書を読んで改めてわかったのですが、サービスエリアがいわゆるショッピングモールというか、イベントエリアというか、すっかりきれいな商業施設になっていること。サービスエリアにファミマなどのコンビにやB級グルメのいろんなお店など、以前はあり得なかった。猪瀬さんの副知事になる前の功績がこれ。

    その功績や同じ文筆仲間、何事もストレートに物事をいうところなどから、石原知事に引っ張られ副知事になった猪瀬さんですが、東京都の仕事や副知事としての猪瀬さんの仕事をまとめた一冊。(というよりは、ほとんど自慢話のような記もしないわけでもありませんが)

    主な話は
    ・水ビジネスをワールドワイドに
    ・参議院宿舎新築反対の功績
    ・ジャパンパッシング(羽田空港一元化、東京地下鉄民営化)など。

    政治の少し裏の世界や都が実施していることなど、理解できたような。

  • 猪瀬さんの放言だが、極めて的を射ている

  • 【要約】


    【ノート】
    ・「昭和16年夏の敗戦」を「ラーメンと愛国」で知り、猪瀬さんて、あの猪瀬さん?と思ってamazonで調べたらそうだった。その著作の中で興味を持った。

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著者プロフィール

猪瀬直樹
一九四六年長野県生まれ。作家。八七年『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。九六年『日本国の研究』で文藝春秋読者賞受賞。東京大学客員教授、東京工業大学特任教授を歴任。二〇〇二年、小泉首相より道路公団民営化委員に任命される。〇七年、東京都副知事に任命される。一二年、東京都知事に就任。一三年、辞任。一五年、大阪府・市特別顧問就任。主な著書に『天皇の影法師』『昭和16年夏の敗戦』『黒船の世紀』『ペルソナ 三島由紀夫伝』『ピカレスク 太宰治伝』のほか、『日本の近代 猪瀬直樹著作集』(全一二巻、電子版全一六巻)がある。近著に『日本国・不安の研究』『昭和23年冬の暗号』など。二〇二二年から参議院議員。

「2023年 『太陽の男 石原慎太郎伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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