高機能自閉症児を育てる (小学館101新書)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098250790

作品紹介・あらすじ

3歳8か月で話し始めた息子が京大生になるまで

T君は、環境考古学の研究者高橋さん夫妻の長男として1986年に生まれました。自閉症という問題を抱えていたために、母の和子さんはT君と全力で向き合いながら、特殊教育の専門家になり、その成長と療育の様子を3歳からビデオ記録として残します。これは世界初の貴重な学術的療育記録になりました。

和子さんは専門家としての立場からT君の成長に合わせて「家庭でできるソーシャル・スキル援助表」「学校での説明用の文例」「中学校での教科別支援マニュアル」を作り、実際に使用して論文にまとめて発表ということを続けてきました。
「このままでは3歳になっても話せるようにならない」と言われたT君は、現在京都大学大学院前期過程在学中です。

100人に1人と言われる発達障害を持つ人のほとんどが高機能と考えられる現在、情報と支援を必要としている潜在的な人数は大変多いと考えられます。

高橋さん親子の記録は、多くの困難を抱えた人たちに必ず希望を与えるに違いありません。


【編集担当からのおすすめ情報】
高橋さんが実際にT君に行ってきたさまざまな実践を豊富に収録しました。
3歳直前の「やりとり遊び」、8歳のころの「自然な会話への支援」、12歳のころの「子どもの集団で相談するときのコミュニケーションへの支援」をはじめ、家庭でできる1歳からのソーシャル・スキル援助の実際など、問題を抱えたお子さんを育てているご家庭ですぐに応用できる資料ばかりです。
また、子ども本来の力をいかに上手に育てていけるか、という視点で見ると、ふつうの子育てにも大変参考になります♪

金沢大学子どものこころの発達研究センターHPでも紹介されています。
http://kodomokokoro.w3.kanazawa-u.ac.jp/

感想・レビュー・書評

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  • かなりお勧めの一冊。保護者だけでなく、教師や支援者、そして当事者にもかなり参考になるのではないだろうか。具体的かつすっきりと、難しい用語などは使わずに大切なポイントが書かれている。資料や図表なども応用したくなる。著者は、もともと研究者を目指していた方だけあって、わが子を落ち着いて観察し、記録しているのはさすが。

  • 378

  • アスペルガーの子供を育て上げた作者の感動の実録。
    多くの天才を生んでいるアスペルガーですが、障害というより、天才の卵ではないでしょうか?
    同じ悩みを抱える方には、是非読んで頂きたい。

  •  知的な障害がないけれど、コミュニケーションなどの障害はある「高機能自閉症」という障害を持った息子を育てた母親の話。障害児の教育が大変なのは知っている。このお母さんの頑張りは尊敬に値する。ただ闇雲に頑張るのではなく、きちんと戦略を立てている点が賢い。でも、世の中の多くの障害児の親は、こんな風になれないと思う。もっとサポート体制を充実させることが重要だ。そこには予算の壁が立ちはだかるワケだけど…。

  • 教育に関わるものとしては、絶対に読んでおくべき書物である。

    高機能自閉症児Tを20年という長きに渡って育て、さらに、自閉症の特徴を斯くも分かりやすく書くというのはある種偉業である。

    自閉症の子を持つ親は、本当に子育てだけで精一杯なのであるが、この著者は、もともと研究者を志していた方だけに、自らの子も、研究者的な視点(第三者的視点)でとらえられており、苦手なことでも根気良くチャレンジさせ、できないことを減らしていき、得意なこと(T君は数学や化学であった)を延ばすという理想的な育て方をされた、稀な方である。

    さらに感銘を受けたのは、T君が通う学校の先生に、学校生活でT君が混乱するであろうことを想定したマニュアルを作り、配布したことである。個別対応が必要な自閉症児は、多くの場合、関わる教師側が配慮をしていかなければならないことが多いが、マニュアルが配られることによって、教師の負担が大幅に軽減されるのである。T君が嫌がることなど、事前に分かっているのと分かっていないのとでは、当たり前であるが大違いである。

    自閉症児の子育ては親と教員(もしくはまわりの大人)の共同作業であることは当然である。でも、ここまで真摯に子育てに向き合った著者には、ただただ敬服するばかりである。

  • 家族の体験記はとても学ぶことが多かったです。子どもの心に耳を傾けて,一緒に考えていく姿勢に感銘を受けました。

  • 良書。必勝法の本ではなく、奮闘記であり、工夫の記録。インリアルの実践は初めて理解出来たかも。自分たちのやっている事とそれ程の違いは無さそうだが、著者の勤勉は並外れている気がする。励まされた。

  • 仕事で自閉症の方と接することがあり、必要に迫られ読んだ本。

    子どもとの接し方、学校や幼稚園さがし、まわりとのやり取りなど筆者が必死で走り回り考えてきた軌跡がうかがえる。母親の手記+専門家としての記述がうまくあわさっている。自閉症の子どもが個人個人にとって適切な支援を受けることの大切さがよくわかった。

    また筆者の子どもに対する姿勢、学校との交渉の様子は障害を持っていない子の親にもとても参考になるものだと思う。

    新書の紙幅に要領よくまとめられていて読みやすいが、新書では収まらない内容にも思う。とくに、義務教育以後のことや、困難な状況にあったときの筆者の気持ちや、夫はじめ周りとのやりとりなどについてももっと詳しく知りたいと思った。

  • 高機能自閉症のお子さんが成長していく中で,
    母親として育てた20年の記録です。
    自閉症ではない子どもへの成長へも参考になる必読の1冊です。

  • スクールカウンセラーさんから薦められた本。チビ太は高機能自閉症ではないけれど参考になるかな、と。

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著者プロフィール

関西学院大学理工学部情報科学科教授

「2022年 『人工知能と法律』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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