フェルメールの光とラ・トゥールの焔: 「闇」の西洋絵画史 (小学館101ビジュアル新書 14 Art 2)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098230143

作品紹介・あらすじ

ルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチが確立した革新的な「闇」の表現が、バロック絵画の先駆者カラヴァッジョによる光と闇のドラマを経て、いかにして静謐で精神的な絵画へと成熟していったのか、西洋名画を育んだ「闇」の歴史を、西洋美術史界屈指の「語り部」である著者が、美麗な図版とともにわかりやすく解説。

感想・レビュー・書評

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  • 何気に見つけ題名に惹かれフェルメールとラ・トゥールであれば読むしかないと思い即購入、一気読み。光と闇にスポットをあて時代々の光と闇の意味が二人の画家の作品を通して書かれている。当時は電気もなく社会そのものが日が落ちると漆黒の闇に包まれていた。そのよう状況では闇=忌まわしきもの、悪魔、反対に光=神という通念があり、画家はキリスト教をモチーフに描く場合光と闇の効果をいかに巧みに描くかということを追求したという作者の説は非常に興味深かった。想像するに明暗のコントラストが現代以上に鮮やかに映っていたのだろう。ルネサンス以降の印象派の作品はそういった経緯を踏まえると想像以上に革新性を持ち当時の権威から徹底的に否定されたことが理解できたし、何故日本人に好まれるのかいう理由が明るさにあるという説は納得感があった。

  • 『201209 美術強化月間』

    光と闇をテーマに西洋美術史を辿る。
    タイトルの割にフェルメールもラ・トゥールも一通過点というだけで他の画家と同程度の扱いだった。特に両者を比較検討しているわけでもない。むしろ著者としてはカラヴァッジョを贔屓にしており、この本で最も重要な位置を占めているのはどう考えてもカラヴァッジョだ。副題の方が本来のタイトルに相応しいとは思うが、おそらく、集客の観点からこのタイトルにされたのだろう。

  • 広く浅く、入門的に書かれている。図版がきれい。

    P187「闇は芸術を生み出す母体」

    この本のテーマは、同著者の『闇の美術史』に引き継がれている。

  • カラヴァッジオなどの作品の暗さ、闇に焦点を当てた絵画の解説

  • 13世紀から20世紀までの絵画史の光と闇に焦点を当てて解き明かしをしてくれる。700年を感じさせない丁寧な説明。画家名や、専門用語には都度参照頁が記されて、簡単に戻って確認する事が出来る。

    光と闇に興味のある方への入門書として、自信を持ってお勧めできる。

  • 新書文庫

  • フェルメールの名前で釣ってる感があるなぁ。
    カラバッジョ・ベラスケスとか言っても当方含めて多くの日本人は踊らんだろうから。
    それにしても絵そのものが日本とあまりに違うことに改めて気付かされる。どっちが良いとかいうことではないとは思うが、やはり今でもヨーロッパというのは遠くの世界だな、日本にとっては。

  • フェルメールに惹かれて読んだが、大半がカラヴァッジョ派の内容。時代をおっての説明は分かり易かったが、初めて知る名前もあり難しかった。

  • タイトルと表紙にフェルメールとラ・トゥールの名前・作品が使われているが、この二人に特に焦点が当ててあるわけではない。「光」と「闇」を通じて西洋の絵画史をたどる一冊。それぞれの画家の特徴が簡潔にまとめられていて読みやすい。
    暗くて見どころが分からない、という印象を持ちがち(なイメージがある)西洋絵画の魅力を知る良いきっかけになりそう。

  • 夜景画というフォーマットに特化した絵画史。
    フェルメールにラトゥールという、個人的に興味のある画家を前面に押し出したタイトルと表紙に惹かれ購入。
    ただ内容は決してその二人に特化したものではなく、作品における光と闇の表現について、数多くの画家の名を挙げながらその変遷を概説するものだった。
    薄暗い教会で飾られる事を前提とした中世、闇を絵画の中に取り込むようになったルネサンス以降、そしてインスタレーションとして環境の闇を作品の一部に取り込んだ現代と、ダイナミックに輪廻するかのような美術の流れが解りやすく解説されている。

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著者プロフィール

宮下 規久朗(みやした・きくろう):美術史家、神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年名古屋市生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学院修了。『カラヴァッジョーー聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞など受賞。他の著書に、『バロック美術の成立』(山川出版社)、『食べる西洋美術史』、『ウォーホルの芸術』、『美術の力』(以上、光文社新書)、『カラヴァッジョへの旅』(角川選書)、『モチーフで読む美術史』『しぐさで読む美術史』(以上、ちくま文庫)、『ヴェネツィア』(岩波新書)、『闇の美術史』、『聖と俗 分断と架橋の美術史』(以上、岩波書店)、『そのとき、西洋では』(小学館)、『一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』(ちくまプリマー新書)、『聖母の美術全史』(ちくま新書)、『バロック美術――西欧文化の爛熟』(中公新書)など多数。

「2024年 『日本の裸体芸術 刺青からヌードへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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