二平方メートルの世界で

著者 :
  • 小学館
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感想 : 65
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  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784097251040

作品紹介・あらすじ

小学生と人気絵本作家の感動作

札幌に暮らす小学3年生の主人公は、生まれたときから脳神経の病気で入退院を繰り返している。入院するとしばらくベッドの上での生活となる。お母さんは一緒にいてくれるが、放射線を使った治療のときは、ガラスを隔てて別々になる。家ではお兄ちゃんが鍵っ子になる。申し訳ない気持ちだ。どうして自分だけが病気なんだろう・・・。そんなある日、海音ちゃんは、病室で大発見をする。わたしはひとりぼっちじゃなかった! 実在の小学3年生が書いた 「子どもノンフィクション文学賞」(北九州市主催)の大賞受賞作品に、当代一の人気絵本作家はたこうしろうが絵をつけた奇跡のコラボレーション。誰も予想できない30ー31ページ目の見開きと、ハートウオーミングなラスト。涙なしには読めない感動作。

【編集担当からのおすすめ情報】
子どもノンフィクション文学賞を、満場一致で受賞した小学3年生の女の子の作文を読んだ人気絵本作家はたこうしろうさんが、その作者・前田海音ちゃんを訪ねて札幌へ。海音ちゃんが見ている札幌の街の風景や、小学校、そして病院を描いた。なにより、海音ちゃんの心を描いた絵本です。

感想・レビュー・書評

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  • 先天性の脳疾患のため、入退院を繰り返す前田海音ちゃん、小学3年生が主人公の絵本…。入院すると、たて約2メートル、はばは約1メートルのベッドの上が海音ちゃんの生活のすべてになる…。家族に負担をかけているのもわかっているけれど、どうして自分だけが病気で孤独に耐えなければならないのか…。でもそれを口にしても仕方がないから…ただひたすら我慢…そんな中、ふとしたことがきっかけで海音ちゃんの気持ちに変化が生じる…。

    病気に苦しんでいるのは自分一人きりではない…今の自分だから、自分以外の病気で苦しんでいる子供達も、生きていることの素晴らしさには気づきにくいことを知っている…だから病気のことを自分の胸の内に収めておくより、誰かに伝えよう…そう奮起してこの絵本が生まれました。海音ちゃんのこの作品から勇気や元気をもらった子供達も多いと思います。また、病気に縁のない子供達にも二平方メートルの世界を知ってほしいとも感じました。

    この絵本を読むにあたってネットで検索したら、海音ちゃんの夢は院内学級の先生になることなんですって!海音ちゃん、頑張って!!海音ちゃんの夢が叶いますように…。

  • 脳神経の病気治療のため、3歳のころから入退院を繰り返している著者が、小学三年生のときに書いた作文がもとになった絵本。『大変』と簡単に言えない闘病を続けている著者に、一日でも早く、最後のページのように元気になってほしい、と思った。

  • 複数の読み友さんの感想を読んで登録中。昨日、図書館の絵本のフロアーでこの本を探索。そして本を発見。周りはお母さんwith小さな子どもたち。恥ずかしながら探し当てる。主人公は病気で学校に通えない。毎日自分のベッド(2平方メートル)で過ごす。学校で勉強したい、修学旅行に行きたい、友人とお話ししたい。でもそれが叶わない。なんで自分だけ。。。ふと2平方メートルの中に、苦しんでいるのは「自分だけでない」という奇跡の証しを発見。医学に関わる自分として何ができるだろう?自分の役割は小さいけど絶対に前に進めていく!⑤↑↑

  • 「第11回子どもノンフィクション文学賞」(福岡県北九州市主催)の大賞受賞をした札幌の小学3年生作文を元にした絵本。

    病室のベット周辺が自分の世界。
    家族への負担を気にしたり、小学3年生だけど、色々なことが理解できている。
    病気であることへの不安など、病室の孤独、小学生ながら色々と我慢して、周りの人に言わないようにしている。
    そんな未音ちゃんがベットで発見したものは。

    こんな状況や気持ちを整理して書かれていて、元となった作文も、本当によくかけた作文なんだろうなと。
    だからこそ、幼ないながらも、必死に生きる作者の切ない気持ちが伝わる。

  • 「こんな心臓いらない」 叫んだ少年の心境変えた、一冊の絵本:朝日新聞デジタル(有料会員記事)
    https://www.asahi.com/articles/ASQ1Y52L9Q1NUTIL010.html

    二平方メートルの世界で
    https://dps.shogakukan.co.jp/2sm

    二平方メートルの世界で | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09725104

  • 辛い検査を受けてももっと辛い検査をしている子のことを思って泣けないという著者。それを、読んでる側の大人が泣いちゃいかんと思いつつやはり涙が出てしまいます。

    著者が小学三年生であることにまず単純に驚きます。どれほど辛くて悲しくていろんなものを諦めてきていても、自分のために様々なことを我慢したり一生懸命してくれたりする家族を思い、時に口から出そうになる恨みや願いを飲み込んでいるというその精神がとんでもなく成熟していることに。
    それまでになるほど海音さんは孤独の中で何度も何度も自分の有り様について考えてきたのだろうとお察しします。ほんの九歳の子がこれ程のことを考える苦しみを思うと、…もう言葉もなくなります。
    お母さんお父さんはこの文章を読んだときどう思われたのだろう…その心情を思っても涙が出てしまいます。

    伝えなければ、と強く思ったきっかけとなったテーブルの裏のメッセージの力に読み手も震えます。
    たったニ平方メートルの世界の中の、その中にあるものの大きさや重さを思います。
    よくぞ書いた、よくぞ絵本にして世の中に出してくれましたね。

  • 心にグッとくる絵本だ。
    幼少の頃から入退院を繰り返している女の子。
    その女の子が小3の時に書いた作文をもとに、はたこうしろうさんが描いたものだ。
    「二平方メートルの世界で」の題名に凝縮されている女の子の気持ち、そしてその家族の気持ちを考えるといたたまれない。
    落書き、消されませんように。
    そして、治療を受けているすべての子どもたちの未来がピカッピカに輝きますように。

  • 今年の小学校一年生に読んでやりたい絵本50冊
     その14

    これは以前に紹介しましたが、この50冊にはぜひとも入れたい本なので、再収録です。
    書いたのは小学校三年生……。
    お母さんが悲しむから私は泣かない、と決めていた、ほとんど病院暮らしの女の子、がはずみで食事盤の裏を見る……そうしたらそこには今までこのベッドを使った子どもたちのメッセージがたくさん残されていたのです。
    “あした手術!いやんなっちゃう”
    “がんばれ!”
    etc
    みんな、お互い会ったこともない子どもたちです。
    それを見て彼女は初めて泣きます。
    自分はひとりじゃなかった。わかってくれる人たちがこんなにいるんだ、と。

    二平方メートル、はベッドの周りのサイズです。
    そのベッドにすっくと立って飛んでいる表紙、素晴らしくカッコいい!

    いまの一年生は彼女に共感し、がんばれ!
    と言ってくれると思います。

    2022/06/10  更新

    ※こちらは以前も紹介済みですーーーーーーー

    これは、いまは五年生の、病気で何度も入院治療している前田海音(みおん)さんが、小学校三年生のときに書いた作文(ノンフィクション賞をもらいました)を絵本にしたものです。
    彼女は賢く、勇敢で、どうにもならないことはどうにもならないということはよくわかっているし、自分よりもっとつらい子どももたくさんいるのだから、自分が弱音を吐くわけにはいかない、とも思っている気丈な人です。

    でも、だからといって、いま、つらいことがつらくなくなるわけではないのです。

    なかに
    “その苦しみに耐えられるから選ばれたんだよ”
    といわれた、という文章がありますが、誰が言ったのかわかりませんが、よくもまあ、子どもにそんなことをいえたもんだ、と思います。
    そんなのに誰が選ばれたいものか!?

    彼女はあるとき、テーブルの裏側に、いままでこのベッドを使った子どもたちのメッセージを見つけます。

    “みんな がんばろう”
    “ママにめいわくかけちゃってる ごめんね”
    “再手術サイテー”
    “ファイト!”

    そうして病気のことでは泣かない、と決めていた彼女も、初めて泣くのです。

    人に寄り添ってもらえたときに、人は力をもらえる……。
    そうして彼女は自分も人に力を分けよう、と思うのです。


    絵本作家のはたこうしろう氏が、とても感じのいい絵をつけてくれました。

    この一冊を、大人もみんな読むべきです。

    言うべきときに言わなくてはならない言葉を言えるようになるために、そうして、言ってはならない言葉を言わないでいられるようになるために……。

    2021/06/09 更新

  • 私は前田海音。北海道生まれの小学3年生で、脳神経の病気で入退院を繰り返している。入院中の病院のベッドの大きさは、縦約2メートル、幅約1メートル。そのまわりを囲うカーテンの中で、寝る、食べる、遊ぶ、勉強するなど、だいたいのことをすます。ある日、私はベッドの上でいつもと違う向きに寝ると、オーバーテーブルの下に書かれた寄せ書きを見つける。言いたいけど言えなかったり、胸にしまっていたりする言葉。一人じゃないよと。病気と生きていく人生で知ったことを、知らない誰かに、文字で伝えたいと思う。
    ※小学三年生とは思えないしっかりした考え方に驚く。「病気は苦しい。できればならないほうがいい。『その苦しみに耐えられるから選ばれたんだよ。』と言われたが、選ばないで下さいと思った。」病気じゃない人が病気の人に言う言葉じゃないよなあ。この言葉だけじゃなく、心に刺さる言葉がいっぱいで、読んでよかった。

    • ポプラ並木さん
      ちーママさん、ナイスレビュー!<言いたいけど言えなかったり、胸にしまっていたりする言葉。一人じゃないよと。>この文章だけでもウルウルしますよ...
      ちーママさん、ナイスレビュー!<言いたいけど言えなかったり、胸にしまっていたりする言葉。一人じゃないよと。>この文章だけでもウルウルしますよ。自分も既読です。このお話しは子どもの苦悩とカタルシスが伝わりました。これからも治療が続くので頑張って学校に行けるといいですね。
      2022/04/30
    • ちーママさん
      コメントありがとうございます。
      私も治らない目の病気になって初めて病気に悩むということを経験しました。
      この本を読んで本当に一人じゃないよと...
      コメントありがとうございます。
      私も治らない目の病気になって初めて病気に悩むということを経験しました。
      この本を読んで本当に一人じゃないよと思います。
      病気を抱えながら、でも前を向いて生きていくこの少女が素敵です。
      子どもなのにすごいです。子どもだからすごいのかもしれません。

      おだんごころころにしていただいたコメントにまた返信したので読んでいただいたでしょうか。
      よかったらチェックしてみてください。
      2022/04/30
  • 文章は、書いた当時小学校3年生(現在はもうすぐ6年生かな)の、持病で3歳の頃から入退院や通院を繰り返す北海道の女の子。
    いろいろな気持ちが綴られている。
    いろいろなことを我慢して、家族の負担やもっと重い病気の子を思えば我慢してることを言うことすら我慢して。
    病院のベッドのテーブルの下をふと覗いたところ。
    涙が堪えきれなかった。
    「二平方メートルの世界でまた、わたしらしく生きていく。オーバーテーブルにではなく、心に言葉をきざみこむ。それがだれかに届くかもしれないから。」
    届いたよ、ありがとう。
    あきらめなければならないことがあっても、不自由なことがあっても、自分らしく生きていくことはできるよね。大事なことを教えてくれてありがとう。
    読み終わってから表紙をみると、読む前に見たときよりも勇気づけられた。

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