写真をアートにした男: 石原悦郎とツァイト・フォト・サロン

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096822241

作品紹介・あらすじ

写真をアートにした石原悦郎の生涯。

本書は、1978年に日本で最初に誕生した写真のコマーシャル・ギャラリーであるツァイト・フォトの創始者、石原悦郎の生涯を追うことで、日本写真史を立体的に描く試みである。石原が写真画廊を始めた頃は写真が未だ雑誌の為の印刷原稿の域にとどまり、オリジナル・プリントに対して、芸術的な価値はまったく認められていなかった。彼はいかにして、今日のように写真家がアーティストとして活動し、写真が芸術作品として社会に認められるような状況を作り出したのであろうか。そのことは表舞台にいる写真家だけを見ていては知り得ないことである。石原がフランスで世界的巨匠であるアンリ・カルティエ=ブレッソンやブラッサイらと交流し、その経験を国内作家にも伝えながら、独自に「アートとしての写真」を広めようとした活動は、結果的に植田正治を世界に発信し、荒木経惟、森山大道といった世界的写真家の輩出という大きな果実をもたらす。写真がアートになるために必要なことを総合的にプロデュースした、いわば日本写真史の影の立役者が石原悦郎という人物なのである。石原の眼を追体験できる本書は、日本写真史への理解を深める一冊となる。



【編集担当からのおすすめ情報】
友人作家が集う - 石原悦郎追悼展 “Le bal”
第1部 maestoso 9月3日(土) - 10月5日(水)
第2部 scherzo 10月11日(火) - 11月12日(土)
第3部 adagio cantabile 11月18日(金) - 12月22日(木)
ツァイト・フォト・サロンにて開催

感想・レビュー・書評

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  • 本書で語られている70年代における写真雑誌の凋落は以後も続き、かつての三大カメラ雑誌のひとつ「アサヒカメラ」が先日休刊。時代の流れをしみじみと感じる。

  • オリジナルプリント

  • 日本で初めて写真専門のギャラリーを開いた人の伝記。写真の見られ方について、この本を読んで初めて知ったことが沢山で、意義深かった。本人の言葉が本人の口調で語られているところが、とってもじんわりと心に染み入る感じで、癒され本でもあります。

  • 日本で最初の写真画廊ツァイト・フォトを創った石原悦郎氏のお話。日本における写真史が良くわかるし、そのころ(1970年代)と今も状況はあまり変わりがないのかなという気もした。

     石原氏が写真画廊を始めた当時、「写真が未だ雑誌の為の印刷原稿」でしかなかったとのことだが、果たして今も写真の役割の大部分がそこにあるのではなかろうか。

    オリジナルプリントに対する芸術的価値をいかに高めるか?! 写真家がアーティストとして認められ、作品が芸術として社会に認められるようにしたのが氏の功績とのことだが、おそらく理想とするありかたは、こんなもん(現状)じゃなかったんじゃないのかなぁ。

    ともかく、当時、石原氏がフランスでブレッソンやブラッサイら実際に会ったり、その交流を通して日本にも写真文化を根付かせようとした、あの時代の熱い胎動のようなものは感じ取れた。

     成果としては、植田正治、荒木経惟、森山大道を世界に知らしめたということだが、その後が続いていないのではないだろうか。
     日本写真史の理解と共に現状の問題点も垣間見る気がした なかなか為になる、深い一冊だった。

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著者プロフィール

1980年生まれ。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。RIVORA Incを創設しブランドのマネジメントを務める。本シンポジウム企画など、写真に関連したイベント立案や、カルチャー誌などのコラム執筆などを手がけている。共著に『Creatives in Japan』(BNN新社)。

「2014年 『1985/写真がアートになったとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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