青森ドロップキッカーズ (小学館文庫 も 19-3)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094088953

作品紹介・あらすじ

凸凹四人組が繰り広げる青春カーリング小説

青森三部作『津軽百年食堂』『ライアの祈り』の根幹をなす、感動エンターテインメント小説。
いじめられっ子の中学生・宏海、中途半端な不良で同級生の雄大、そして再起をはかるアスリート姉妹の柚果と陽香…。何をやってもうまくいかない彼等を結びつけたのはカーリングだった。青森を舞台に、見た目もキャラもバラバラな凸凹四人組が巻き起こす、爽快度120%+しみじみ泣ける青春カーリング小説。

感想・レビュー・書評

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  • 森沢明夫さんの青森三部作の第二弾。
    カーリングがこんなに面白いなんて!!
    熱くて、繊細で、駆け引きがあって、醍醐味が詰まっています。新しい世界に出会えて良かった。
    そしてとにかく読後感が青森の空のように爽やか!
    なんですけど、物語は中学生の宏海がいじめられる場面から展開していきます。あーもうあんな奴らやっつけちゃえと何度切歯扼腕したことか。投げろ!絞めろ!関節とれ!柔道じゃないから無理ですね。あ~あ(´ω`)
    そんな宏海は大きな一歩を踏み出します。カーリングに出会い大きく自分を変えていきます。
    思春期の子どもの一年は大きい。時には一生を形づくる土台を造り上げてしまうことだって珍しいことではないでしょう。
    「一番大切なのは最初の一歩を踏み出してみること」と本書の言の大きさを実感してしまうのです。
    その一歩を踏み出したことで、たくさんの人と出会い繋がり、かけがえのない体験をしていく。
    そんな宏海や「ドロップキッカーズ」の面々を眩しく感じながら読み進めました。
    やらないで後悔するんだったら、チャレンジして後悔した方よほど納得が行く。私もよくそう思います。いくつになってもチャレンジは続けたいですね。そんな気持ちにさせてくれた作品です。

    余談ですが、カーリングなどのスポーツって元々は遊びから発展したものだと思います。だから「真剣にだけど楽しく」が両立できるのだと思います。一方武道は楽しくやるとほぼ間違いなく怪我をします。柔道もよかったけど、スポーツっていいなと思いました。

  • ’青森三部作’の二作目。
    舞台は青森市で、私は以前に住んでいたことがあるので、よく散歩に行った、合浦公園や、ご飯を食べに行ったアスパムなど、懐かしい名前がたくさん出てきました。

    第1作の『津軽百年食堂』は弘前市で、本作は青森市、次に読む予定の『ライアの祈り』は八戸市で、三部作で青森の観光名所案内や特産品をちりばめた’ご当地小説’だそうです。

    いじめられっ子の中学生の苗場宏海とその幼なじみの工藤雄大がカーリング選手の沢井柚香とその妹の陽香に出会い、青森ドロップキッカーズというカーリングのチームを組むスポーツ小説です。青森ドロップキッカーズは優勝を目指していますが、さて…。

    「カーラーは、不当に勝つなら、むしろ負けを選ぶ。カーラーは、ルール違反をしたとき、自ら申告する。カーラーは、思いやりを持ち、常に高潔である」というカーリング精神があるそうです。

    最後は一体どうなるのやらと思いましたが、こんな結末ありなの!と思える爽快なラストでした。
    森沢明夫さんにしてやられたと思いました。

    『津軽百年食堂』と登場人物がリンクしている場面もあり楽しめました。

  •  つい先日、カーリングの「ロコ・ソラーレ」が、カナダで行われた「グランドスラム」で、アジア史上初の優勝! というビッグニュースが飛び込んできました!
     という訳で(どういう訳?)本書を手にしました。そうです、カーリング小説です! 加えて森沢明夫さんです! 勝手に期待しちゃいますよね。 そして舞台は、先日読了した『いとみち』と同じ青森! むむむ、これは運命に導かれているのかも‥。
    そだねー。(って、ロコは北海道の常呂だろ!)
     本書は、そもそも森沢明夫さんの「青森3部作」の一つなのでした‥。

     いじめられっ子の中学生・宏海とちょいワル友人・雄大、カーリングで上を目指す社会人・柚香と妹・陽香の4人の、カーリングを通じて巻き起こす、爽快で温かく泣ける物語です。
     物語は、柚香と宏海の視点で交互に描かれ、とても読みやすく、カーリングのルールを知らなくても楽しめます。競技の描写もとても臨場感があり、見かけほど柔な競技ではないことも伝わってきます。

     宏海の祖母の言葉「目に見えるモノは分ければ減るけど、ご縁や幸運のように、目に見えないモノは分けると増える」と、カーリングの精神が支えとなり、宏海たちも柚香姉妹も大切なことに気付き、支え合って成長していきます。
     人として、カーラー(カーリング選手)として成長していく4人の姿には共感を覚え、一歩を踏み出す勇気をもらえます。
     人を思いやること、仲間を信じることの大切さが、ジーンと強く感じられ、中高生の皆さんはもちろん、万人におすすめできる作品です。

  • 津軽百年食堂に続く青森三部作の二作目。桃子さん繋がりでした。1章ごとに入れ替わる登場人物全てが主人公。このパターン、かなり好きかな。愛すべき登場人物が多過ぎる、いや愛すべき人しか登場しないのではないか。読み終えた爽快感はピカイチな作品。

  • ☆4

    「青森三部作」の2作目。
    カーリングがテーマの青春小説ということで、とても楽しめました❁⃘*.゚
    スポーツがテーマの小説は、試合の場面では結果が気になってハラハラドキドキしてしまい、続きが気になり過ぎてページを捲る手が止まらず一気読みしてしまうという…。

    人との繋がりや、仲間の大切さを改めて実感出来た作品でした(*´˘`*)

    • やんばるさん
      のんさん、こんばんは。
      私も青森三部作、大好きなんです。
      ケンカシーンは少し苦手でしたが、カーリングはかなり勉強できました~殆どルールも知ら...
      のんさん、こんばんは。
      私も青森三部作、大好きなんです。
      ケンカシーンは少し苦手でしたが、カーリングはかなり勉強できました~殆どルールも知らなかったんですけど、これ以降興味をもって見てます。
      私の推しは、断然桃子姉さんです。
      三部作通して、一番好きかなあ。
      のんさんも、最後の作品も読まれるとおもいますので、お楽しみに!
      2022/12/11
    • のんさん
      やんばるさん、こんばんは。
      既に青森三部作を読了されているのですね!
      私も同じくカーリングについて殆ど知らなかったのですが、読み終わる頃には...
      やんばるさん、こんばんは。
      既に青森三部作を読了されているのですね!
      私も同じくカーリングについて殆ど知らなかったのですが、読み終わる頃にはとっても興味が湧いてきました。
      桃子姉さん、良いですよね!
      ありがとうございます。三部作、最後まで楽しみたいと思います❁⃘*.゚
      2022/12/11
  • 私の中のカーリングといえば、もうロコ・ソラーレ
    オリンピック、ずっと応援していました

    一度でいいからやってみたいな、と思えるスポーツです

    カーリングを通して成長していく宏海がどんどんたくましくなっていくのがとても良かったです

    青森行きたいなぁ

  • 森沢さんって青森県民だったっけ?と思う位ローカルな情報が溢れていて、青森にゆかりのある人間としてはそっちの方面でも興味深く読めました。
    カーリングは興味ありませんでしたが、この本読んで少し興味が出たかもしれません。
    いじめを受けている少年がカーリングと出会って変わっていく姿はめちゃくちゃベタですね。でもそのベタな表現が森沢さんには良く似合う。特にこれと言って新味も有りませんが癒され要素は満載なのではないかと。

  • 青森三部作?!
    そんなこと急に言われても近くの図書館に置いてあるところないよ〜
    (なんと生活圏内にそこそこ大きい図書館が4つもあるのです)
    ということで急遽買ってきましたw

    だいぶ趣きがかわって青春ものでしたね
    カーリングの楽しさが伝わってくる内容でした
    カーリング精神もね

  • カーリングに出会った初心者でいじめられている中学生と、働きながらカーリングの大会の上位入賞目指して頑張っている子が主人公。
    ベテランにはベテランなりの悩みがあり、初心者の方は、出会ったばかりのワクワク感があり。
    最後の方で泣きそうになってしまいました。

  • “青森三部作”の2冊目。
    青森でカーリングをやっている姉妹に、いじめられっ子の日常から逃れるためにカーリングを始めた中学生、その幼馴染みでいじめる側にいた同級生のお話。
    1冊目の「津軽百年食堂」とは、主人公の姉・桃子が脇を固めて登場する程度の繋がり。

    カーリングと言えば、つい先日、北京オリンピック最終予選への出場を懸けたロコ・ソラーレvs北海道銀行の試合が、2連敗の後の3連勝という絵に描いたような大逆転劇だったこともあり、なかなか面白かった。
    最終戦の最後のショットまでミスが許されない展開だったが、先を見据えながらも一投毎に変わる戦況に即応する大局観や戦略性、狙った通りにストーンを滑らせ止めることが出来るショットとスウィーピングの技量は、素人が見てても結構面白いよね。
    この本でアイスや靴やハックのことも詳しく知れて、この次に見る時にはまた見る幅が広がりそう。

    物語はと言えば、それぞれが持つ悩みや屈託をカーリングに打ち込みチームでの役割を果たすことで乗り越えていく、真っ直ぐなお話で、多分にうまく行き過ぎのようにも思うけど、作中紹介されるカーリングの精神『思いやりを持ち、常に高潔である』がずっと話の芯を貫いているようで好感。
    『不当に勝つなら、むしろ負けを選ぶ』『ルール違反をしたとき、自ら申告する』も、話のクライマックスでうまく使われていてちょっと泣かされた。

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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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