怨霊になった天皇 (小学館文庫 た 15-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094086690

作品紹介・あらすじ

日本の皇室は百二十五代に亘る世界最古の王室だが、これまで暗殺、呪殺、憤死などで「怨霊になった天皇」が四人、皇族が七人いた。中でも崇徳天皇は「最恐の怨霊」と恐れられてきた。孝明天皇は幕末の大混乱を崇徳天皇の祟りと信じ、命がけで鎮魂し、国を救おうとした。あなたはご存知だろうか?昭和天皇が香川県・白峯御陵で行われた崇徳天皇の八百年式年祭に御霊鎮めの勅使を派遣されていたことを。旧皇族である竹田家に生まれ、明治天皇の玄孫でもある著者が、天皇と怨霊の「裏の歴史」をひもとく。これは本当にあった恐ろしい話なのだ。

感想・レビュー・書評

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  • 職場の上司と日本三大怨霊の話をしてからこの手の本にアンテナが立ってます。。
    本書は明治天皇の玄孫にあたる竹田氏の著書で、三大怨霊の話ではなく、怨霊と化した天皇家の方々のその原因や経緯、呪いの全容と同時に、海外との比較や呪いの先にある許しの力について語られた本でした。
    怨霊から日本の歴史を追う作業はとても面白く、非科学的な解釈も含めそれが当時の世相であったと思うと、一つ歴史を深く知ったような気分になりました。

    例えば、崇徳天皇の祟りによって平氏政権が成立し、朝廷から政治権力が離れたというのは当時の一般常識であったこと、そしてその後も平氏から源氏、北条、足利、信長、秀吉、徳川家と移り、700年経ってなお、政権が朝廷に戻ってきていないのは祟りが続いたせいだと孝明天皇は考えていて、「崇徳天皇の神霊を京都に奉還してこれを慰め奉るべし」との議があり京都に白峯社を創建した、とかね。

    もっと非科学的な事例で言うと、南朝北朝の動乱は、南北朝合一を以って南朝は歴史の表舞台から姿を消しますが、それは完全に消滅したわけではなく、水面下で皇統を呪詛する存在となっているそうです。具体的な現在の取り組み(?)は皇室に女子が生まれるよう呪詛し続けているそうで、実際昭和天皇も5人目にしてやっと男子を授かり、その後平成18年に悠仁様が生まれるまで41年間は9人の皇族が生まれましたがその全員が女性だったんですよね。9名連続で女子が生まれる確率は2/1000だそうです。もちろんこれが呪詛の結果とは言い切れませんが、そういう南朝の存在があると知ったうえで事実を考えると・・・何とも言えない気持ちになりました。。

    また、怨霊が神となるのには、日本人独特の許しの文化があると述べられていました。
    それに異論はありませんが、本書ではなく別の本では(天皇家ではありませんが、三大怨霊の)道真などがたどった怨霊が神となる経緯などは仏教と密接にかかわっていて、それに深く納得感を得たのですが、本書では宗教と怨霊の関わりについてはほとんど触れられていなくて、著者の見解を聴きたいところでした。

  • 「怨霊は生者がつくるもの」
    竹田さんの本は初めて読んだけど、テレビのイメージと違って(笑)落ち着いた本だった。私に歴史の知識が浅くて、当たり前に語られる歴史の話がわからなかったりして、Wikipedia片手に読まざるを得なかった。この本を入り口に、歴史について勉強したいと思う。

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  • 源平にハマっているので、そのつながりで崇徳天皇関連の書籍…ということで手にしました。私の崇徳天皇のイメージは、小説ですが吉川英治「新・平家物語」に描かれているようなキャラクターだったので、実際の人物像がどんなものだったのかはわかるはずないのですが、本を読んでいて衝撃が大きかったです。それとは別に、崇徳天皇以外の「怨霊」になった例、人は何をしてきたのか、そのあたりのお話はとても興味深く…言葉にならないものでした。人の思いは力を持つ、そう思う私ですが、不思議で、科学では証明できない何かの存在を考えました…ううん、難しい。優しい言葉で書いてあるので読みやすかったのですが、要所要所にある「敬語」の使い方等には慣れず、若干苦労しました。

  • 竹田さんの本は初めて読んだ。非常に面白かった。高田崇さんのミステリーでたびたび取り上げられている『怨霊』。歴代天皇を軸に通史として整理されている。
    竹田さんはメディアへの露出のイメージが先行していて、これまでは読まず嫌いだった。今後は他の本も読んでみようと思った。

  • 竹田さんて、テレビのバラエティとかにもよく出てるし、スキャンダル的なものもあったし、何となく先入観で「たいしたことないヤツ」って思っていたのだけど、すみませんでした。私が間違ってました。

    大変おもしろく、興味深く読ませていただきました。
    あらためて、研究者なんだなぁと思いました。

    日本史史上、「怨霊」となった人は数多くいる。
    私はオカルト的な現象はあまり信じないタチなので、何かの偶然が重なったときに後ろめたい思いを抱えているヤツが怨霊を作り出すのだろうとは思っていたけれど、この本はそういった怨霊のメカニズムに加え、鎮魂の手法、いろんな天皇のエピソードまで入っており、全く飽きることなく最後まで読める。

    しかし、竹田さんのパソコンや周辺のパソコンが立て続けに壊れたのはコワい…。

  • 日本の裏歴史と言っても過言ではないでしょう。

  • 崇徳天皇を中心に、天皇が「怨霊」となるいきさつがぎっしりと描かれる。
    私は日本史が得意でなく、「この漢字の読みはなんだっけ」とルビを見返すこと多数、系図に混乱する事も少なくなかったが、終始丁寧な解説で読み終える事ができた。
    「こんな凶事があった。これは怨霊の仕業か」との語りにはオカルトの匂いを感じつつも、「怖いもの」「怖がること」がいかに日本人の礎を築いているか知ると、豊かな思索への入口に思えてくるから不思議だ。
    また、本書に何度も登場する「怨霊は生者がつくりだす」の言葉通り、怨霊になりたくないと願ったのに、されてしまった後鳥羽院の話が特に興味深かった。
    終盤の「日本の許す文化」「和の国」については、改めて気付かされると共に、いつまでも心に留めておきたい金言。
    私にとって読み応えのある一冊でした!

    ブログ:
    http://haiiro-canvas.blogspot.jp/2014/12/blog-post_26.html

  • いやぁ、斬新。天皇にとって怨霊は怨霊だが、怨霊にとって天皇は怨霊。大自然を神とする日本人の原点。勉強にもとってもなりました

  • 旧皇族の末裔さんが書いた本なんだけど、なんだか学研雑誌ムーの論文みたいだった(笑)
    去年の大河ドラマ『平清盛』でも描かれた悲劇の帝、崇徳さんを中心に解説した論文なんだけどね。

    図解もあってわかりやすいっちゃわかりやすいけど…。
    なんだか頭は良いけど、すっごく視野が狭い大学生の卒業論文みたいで、あまり良い印象は受けない本でした。

    でも、戦に敗れて畿外で亡くなって怨霊となった天皇さんには「徳」の字が贈られるってのは、ほぇ~って感じだったな~。
    ムーと同じで、お勉強にはなりました(笑)

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著者プロフィール

昭和50年(1975)、旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇の玄孫に当たる。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。専門は憲法学・史学。作家。平成18年(2006)に著書『語られなかった皇族たちの真実』(小学館)で第15回山本七平賞を受賞。令和3年(2021)には第21回正論新風賞を受賞。著書はほかに『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』『日本人はなぜ日本のことをよく知らないのか』『日本人はいつ日本が好きになったのか』『日本人が一生使える勉強法』『アメリカの戦争責任』『天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか』『日本の民主主義はなぜ世界一長く続いているのか』(以上、PHP新書)、『現代語古事記』(学研プラス)、『決定版 日本書紀入門』《久野潤氏との共著》』、『なぜ女系天皇で日本が滅ぶのか《門田隆将氏との共著》』(以上、ビジネス社)など多数。

「2023年 『日本のどこが好きですか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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