植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」〔小学館文庫〕 (小学館文庫 と 6-1)
- 小学館 (2010年3月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094084894
作品紹介・あらすじ
「ちっちゃな仕事でもキチッとやる…これからもね、年に一度でもいいから仕事してね、そういう気持ちを忘れずに生きていきたいと思うわけ」クレージーキャッツの一員として『スーダラ節』などのヒットを連発し、一世を風靡した"キング・オブ・エンターティナー"植木等。80年に及ぶその人生は、まさに波瀾万丈。しかし、本書に収録された生前最後のロングインタビューで浮かび上がってきたのは、「日本一の無責任男」の誠実すぎる素顔だった-。伝説のエピソードから人生観まで"ニッポンを元気にした男"が全てを語り尽くした最初で最後の本格的評伝。
感想・レビュー・書評
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本としては最後から2番目、インタビューの類があまり好きではなかったという植木氏の「肉声」を収録したものとしては最後、という作品に当たるようである。
戦中から戦後にかけての混乱した時代にあって、植木氏やクレイジーキャッツがどのようにして生まれたか、どのような遍歴をたどったかが浮き彫りにされている。
特に、お世話になった渡辺晋氏が亡くなった時にあげたお経は、その時に来ていた本職の僧侶より上手かったとか(実家は真宗の寺で、本人も僧侶の修業をした)、谷啓はジャズトロンボーンで日本の三指に入ったとか(上手いのは知っていたが)いうエピソードには、近来にはまず聞かない、芸人としての深みの違いが感じられてたいへん面白い。
でもその一方で、現在からこうして眺めてみると、時代の密度の濃さというか胸苦しさ・暑苦しさのようなものを感じるのも事実。やはりその時代にこそ求められ、生きた群像のひとつだったということなのだろう。
なお、クレイジーキャッツは「まだ解散していない」そうだ。 -
(欲しい!/文庫)
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2010.03.21 日本経済新聞で紹介されました。