パーフェクト・クオーツ 北の水晶 (小学館文庫 ご 26-4)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 109
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094067903

作品紹介・あらすじ

北の後継者暗殺の裏側を描いた衝撃作!

読書メーターなど、ネット・レビューでも「名作」と賞される大藪春彦賞受賞作『スリー・アゲーツ』に続く、待望のシリーズ最新作!

日本と北朝鮮、二つの国に二人の子を遺して男は死んだ。
米国国防総省(ペンタゴン)直轄の情報機関に所属する葉山隆(はやまたかし)の元に、男から52本もの古いカセット・テープが届く。
録音されていたのは男の告白。北の情報機関〈三号庁舎〉の一員として知るかぎりのすべてを語った内容だった。
その中で、北の完璧なるスパイ“石英(ソギョン)”の存在が明かされる。そして大がかりな情報網を統べるというもう一人の大物スパイ“カタツムリ”。

北が作った精巧な偽ドル紙幣“スーパーK”の流通を阻止しようと米韓合同で行われたソウルでの摘発作戦は、米韓に多数の死者を出すというさんざんな結果に終わったが(前作)、その原因は、米韓の情報網に開いた巨大な穴からの情報漏洩だったという。
葉山はその巨大な穴に、石英とカタツムリが関与していると見て、調査を始める。

一方、米日の経済制裁に反発して、北朝鮮は突然、国境近くの経済特別区・開城(ケソン)工業団地を封鎖した。
巨額の投資をしていた京星(キョンソン)グループの代表・重貞高平(しげさだたかひら)は、一千億ウォンに及ぶ損失を取り返すべく、米日にある取引を持ちかける。
その内容とは、北の後継者の一人だった“ヨハン”亡命の手引きだった。
ヨハンは、北朝鮮が国を挙げてアメリカを標的とする大量殺戮兵器を開発しているという確実な証拠を握っていた――。

「他の血を残しておけば、それは必ずや新たな災いを呼び起こす。誰かがその血を利用しようとするからだ」
日本人の想像を絶する北朝鮮という国の実態。
米韓の隙を突いてマレーシアの空港で起こる“ヨハン”暗殺事件。そして切り札をなくした取引の行方は?

感想・レビュー・書評

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  • 強烈な騙し合い。
    本当ならば怖い。

  • 2020年最も幸福だったことは、この本が出版されて、それを読めたこと。

  • 名作 スリー・アゲーツに続編があったとは。
    北朝鮮の有名な暗殺事件をモチーフにして、各国の情報機関が暗躍する姿を描いている。
    日本の作家による国際スパイ小説としては唯一無二の圧倒的存在感です。
    あとがきによるとこれらのシリーズは全く売れず、かなり前から原稿が眠っていたらしいのですが、発売してくれた小学館に感謝したい。

  • 素晴らしい国産の諜報小説。

    出版社が変わったり、改題されたり、復刊されたり、分割されたり、番外編がたくさんあったりと複雑な出版過程を経ているこのシリーズ、自分はどれを読んだのかわからなくなってしまっているのだが、『プラチナ・ビーズ』から順番にもう一度ちゃんと読みたい。

    素晴らしいスパイもの。中の人が書くとやっぱり迫力ある。

  • とにかく圧倒的に面白かったです! 

    複雑に絡まる〝ヨハン〟を巡る各国の思惑や利害関係、それに加えて個人の想念が最終的にあっという終局を呼び寄せるのですが、そこに至る過程がまさに手に汗握る展開で、徐々に核心に近づいていく緊張感がたまりません。〝石英〟や〝カタツムリ〟を巡る謎解きもスリリングで、その正体には驚かずにはいられませんでした。

    前作の『スリー・アゲーツ』は父親が家族を想う姿に何度再読しても涙なしでは読めないのですが、今作は一転して父親と息子の複雑な関係性が描かれており、特に終盤はひたすら圧倒されました。父親にとっての息子とは何なのか、息子にとっての父親とはどういう存在なのか、改めて考えさせられる作品です。

    本作に登場する重貞親子の父子関係は、鉱物シリーズの主人公・葉山隆とその父親であるミスター・オリエンタルの父子関係に対比されているようで、終盤の葉山の痛切な叫びは、シリーズを愛読している人には深く心に刺さると思います。葉山の父親を巡る謎解きも少しずつ前進し、ますます続きが気になって仕方がありません。

    あとがきにあるように、この作品と対をなす『蒼き鮫は野に放たれ』、そして続編の『ソウル・キャッツアイ』、さらに先の大陸編……と物語はまだまだ続いていて、葉山がこの先どうなるのか、最後まで見届けたいとどうしても願ってしまいます。

    2018年に発行されたオンデマンド版も購入しているのですが、今回文庫になって改めてじっくりと読み返し、やはりこのシリーズは面白いなあとしみじみ噛み締めました。そして、単行本『スリー・アゲーツ 三つの瑪瑙』から20年経って、ずっと待っていた続編を書店で手に取ることが出来て、本当に嬉しかったです。

  • Amazonオンデマンド出版の文庫化でした。が、日本のメジャーな出版社から文庫化されたのが嬉しいです。続巻刊行してくれるかもな期待が持てるので。

    改めて文庫版を読みましたが、有名な汚職事件、有名な暗殺事件、有名な財閥企業を取り混ぜたストーリーで本当に面白かったです。
    あと、冒頭に出てきた開城。連絡事務所爆破で有名になってしまいましたね。。

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著者プロフィール

大学時代は安全保障問題を専攻。大学卒業後、防衛庁に就職し、調査専門職として勤務。退職後、フリーライターを経て1999年に北朝鮮問題を題材とした『プラチナ・ビーズ』で作家デビュー。2001年『スリー・アゲーツ』で第3回大藪春彦賞を受賞。

「2018年 『焦土の鷲 イエロー・イーグル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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