- Amazon.co.jp ・本 (515ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094067026
作品紹介・あらすじ
経済界を震撼させた超問題作奇跡の文庫化
愛知県豊臣市に本社を構える世界的自動車企業、トヨトミ自動車。フィリピンに左遷されていた武田剛平はどん底から這い上がり、社長に昇りつめた。創業家とはなんの関係もないサラリーマン社長はその豪腕で世界に先駆けてハイブリッドカーの量産に挑戦する。
いっぽう、創業家出身の豊臣統一は入社以来、豊臣家の七光りと陰口を叩かれながらも、いつの日か武田剛平を越えてやろうと野心を抱いていた。
自動車王国アメリカでのロビイング、巨大市場中国の攻略、創業家との確執──世界と戦う企業の経済戦争を描いた衝撃フィクション!
◎解説「サラリーマンの自己利益と組織利益の葛藤」――夏野剛(慶應義塾大学特別招聘教授)。
感想・レビュー・書評
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経済記者の覆面作家、梶山三郎さんの著書。
トヨタ自動車をモデルとした企業小説。
所々フィクションなのかノンフィクションなのか定かではないが全体を通して面白く、自動車産業の事情に暗い自分でも分かりやすく勉強になる作品だった。
ストーリーとしては豪腕武田剛平の偉大さが目立つ。経営力、決断力、情報力、人脈力が素晴らしく企業のトップとはこういう人なんだろうと痛感させられた。
トヨトミだけではないだろうが一族系の大企業では武田のような使用人のトップ人事の過程はいずれ本家の出番が来るまでの通過点なのだろうと感じる。武田がもう何年も導いたらもっと違ったトヨトミ自動車の未来があったのではと思わされる。
血の濃い本家筋の人間と社の功労者、実力者達の鬩ぎ合い。派閥争いとも一味違う大企業独特の倫理観だと感じる。
良いも悪いも一族経営の闇を深く見た気がする。もちろん創業家なので尊重されるのは当然なのだが、巨大に膨れ上がった企業を束ねるには適した人材が求められるのも事実であり、そうでなければならない。この作品を読んで血の濃い会社の弱点と傲慢っぷりを強く感じる事ができた。
続編もあるので読んでいこうと思う。
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実名でないだけのトヨタの話。
おそらくほとんど全てのエピソードが実話。
武田剛平=奥田碩
豊臣新太郎=豊田章一郎
豊臣統一=豊田章男
御子柴宏=張富士夫
小説としては面白いが、世界的な上場企業であるトヨタという企業をわずか2%の株主でありながら、「創業家のもの」として支配している意識は昭和以前の時代遅れの極致だ。元々トヨタの車は好きではないが、これを読んで一層他メーカーの車にしようと決めた。
先日、豊田章男から佐藤恒治という「使用人」に社長がバトンタッチされたが、本家の章男氏の長男である豊田大輔が社長になるまで、何人の「使用人」が繋ぎで社長を務めるのやら。 -
トヨタ自動車をモデルにした企業小説です。
フィクションであるとはなっていますが、登場人物のモデルとなった人物の経歴や出来事が限りなくリアルに書かれており、ノンフィクションなのでは?と感じます。(車名などもあの車がモデルかな?と分かります)
武田剛平のように先見の明があり、決断力や行動力をもったカリスマ性のある人材がトップとなると企業は大きく変化し時代に合った路線で発展していきます。企業や経済の発展を考えるのならこの方が理想的だと思いました。ただ、拡大路線が続くとそれに伴う人材管理や予測されうる問題への対処が複雑化していくように思えます。
一方で同族経営の場合では、組織を長期運営する際の労力が抑えられる事や結束力は得やすいと思います。しかし能力が伴わない場合や外部の視野が得られず、停滞あるいは衰退を引き起こすリスクが伴います。
今作ではカリスマ性のある武田剛平が社長に就任し企業を発展させていく所から、豊臣統一に社長が変わり問題と対峙するまでがストーリーとなっていますが…豊臣統一がどう変化していくのか、続きが気になります。
続編もあるようなので、読んでみようと思います。 -
面白かった
トヨタ自動車の社史を語っているような感じ(笑)
フィクション・ノンフィクションかかわらず、楽しめる物語です。
ストーリとしては
愛知県豊臣市に本社を構えるトヨトミ自動車の物語。
社長武田剛平は豊臣家とは何のかかわりもないサラリーマン社長。しかし彼の辣腕により、トヨトミ自動車を世界規模の自動車会社に引き上げます。
中国の攻略。
アメリカでのロビー活動とアメリカ進出。
ハイブリッド車への挑戦。
などなど
一方、創業家出身の豊臣統一は陰口をたたかれながらも、剛平を超えるべく野心を抱いています。
そんな中、創業家の逆鱗にふれ、外された剛平。
そして、ついには社長に昇りつめた統一。
そこで発生したアメリカで事故、そして公聴会での対応。その後の激励会での涙のシーン。
当時、TVで見ましたが、やはり熱いものがこみ上げます。
さて、本書の中で際立ったのは登場人物たち。
特に、武田剛平のリーダシップ。
ビジョン、哲学、信念、人の使い方、度胸。理想のリーダ像として描かれていると思います。
そして、彼の周りで動いた様々な人物たちも面白い。
さらに、ボンボンと言われた統一。
モデルとされている実在の人物との比較はネット上で探すことができます。
トヨトミ(トヨタ)の挑戦は今でも続きます。
続編、楽しみ!!
とってもお勧め -
正直なところ自動車産業は余り関心がなかったのですが、読み始めたら止まらず一気に読み進め、トヨトミの逆襲もポチリました。
登場人物を実在の人物を想像して読め、ノンフィクションなのかと思いつつ、自動車産業のスケールの大きさにも圧倒されました。
武田社長のビジネスで結果を出していくその様に凄まじく圧倒されます。徹底的な合理化と効率化を進める一方、国内外での政治、経済界、官公庁への人脈づくりや、世界一を目指す企業がどのように戦っているのか小説を通じてその一端を知ることができ、日本のものづくりに関心が持てました。
働く者として、とても心に響いたのは、変化についていけない人は、終わりという下りです。常に時代の変化を感じ先の世界を考えて行動する大切さを改めて実感しました。
そして稀代の経営者といえど武田が鶴の一声で解任されてしまうわけですが、雇われの身はいつ何が起こるかわからない。人生で何を自分はしていきたいのか明確な目標を持ち進むことの大切さ、自分なりの信念、哲学を持ち働く事の大切さを改めて考えさせられます。 -
リーダーシップとは何か。
考えさせられる小説だった。
トヨタを題材として、登場人物も実在の人物たちがモデル。
一大企業の経営戦略
個人と個人の繋がり
様々な思惑が繰り広げられていく
一気読み間違いなしの1冊 -
いやー、面白かった!
名古屋発の日本を代表する自動車メーカー「トヨトミ自動車」の内情をドラマとして描いている。
どう見てもトヨタ自動車がモデルなんだけど、どこまでがフィクションなんだ?と思うくらいドラマチックで面白い!
豊臣系ではない武田社長の豪胆な人物像、社内政治の泥臭さ、ロビイストの重要さを感じさせる堤の存在、創業者直系社長となる豊臣統一の苦悩。全てが面白い。
日本一の企業ですら色んな苦労があるのか、アメリカは相手にするのは大変だ、時代の流れに変化しないと生き残れないな、などなど感じるところが多々。
作者は経済記者をやってる覆面作家らしいけど、文章も上手で、物語の展開のさせ方や場面転換の巧みさは見事。最後まで飽きずに一気に読んでしまった。
続編の「トヨトミの逆襲」も期待したい。良書。 -
企業小説でフィクションのはなずなのにどこかノンフィクション感。こんな会社で働いてみたい。こんな社会人になってみたい。と思わせてくれる。働く意欲が増しました。
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話題作なので読んだ
サラリーマン社長武田の成り上がりがカッコ良すぎた。
武田はビジネスチャンスを逃さないよう、日々多大な人脈を駆使して情報をかき集めている。平の自分はせめて新聞くらいは読んでおこうと思った -
武田社長みたいな破天荒な感じ、読んでて爽快感がありますね。続きのトヨトミの逆襲も絶対読みたくなるラスト。