平成史 (小学館文庫 さ 11-2)

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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094066340

作品紹介・あらすじ

混迷の30年をぶった斬り!

何が起きたか、なぜ起きたか。同時代に生きる二人が政治、経済、事件、文化を縦横無尽に語り尽くす。文庫版新章として「平成が終わった日」収録。ブック&シネマリスト50も充実!

◎福島原発事故(2011年)の予兆は、JCO臨界事故(1999年)にあり。
◎日本の「右傾化」は、PKO協力法(1992年)から始まった。
◎ピケティが予言していたゴーン逮捕(2018年)。
時代を通覧することで初めて見える平成の因果――バブル崩壊、オウム真理教、小泉劇場ほか、あらゆる事件は、すべてが裏でつながっていた。

感想・レビュー・書評

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  • 説明不要なこの二人の対談本、ということで同時代史として一読の価値は十分すぎるほどある。

    ただ、片山杜秀氏の他の著作の圧倒的な面白さに惹かれて手に取った私にとっては、片山氏の佐藤氏への遠慮(忖度)がかなりの残念感(それが象徴的に出ていたのが、片山氏の「シン・ゴジラ」への評価。他の文章ではあれだけ絶賛していたじゃないですか、片山先生!!)。

    佐藤氏は、間違いなく頭の明晰な整理されたトークのうまい人であるが、それだけにその瞬間の分析が速報性が高い、というか、都度都度上書き更新されていく印象が強い(雑誌の連載などでそれが顕著)。それは官僚として必要な資質だとも思うので批判しているわけではない。

    そこにより巨視的、アカデミックなアプローチの片山氏がぶつかることでのケミストリーを期待していたのに、佐藤氏の長広舌のうなずき役になってしまっていたように思えるのだ(一年近く前だが、このお二人のトークショーを新宿で聴いたときも同じような印象を持った)。

    こういうアドリブ企画物みたいな読み物もいいが、お二人の(とくに片山氏の)腰を据えた本を改めて味読したい。

  • 平成を多方面から振り返った対談本。500ページ強あり、少し時間がかかったが、平成とはどんな時代だったのだろうか?と自問しながら、楽しく読めた。各章の終わりに、その年ごとの出来事、流行語、流行歌、映画、本などがまとめてあり、懐かしくなった。

  • 平成史は対談でも論述でも、出版当時はこの本以外に良いものがなかった。時間ができたら、2021年に出版された与那覇さんの平成史も読んでみたい。

  • 片山さんとの対談形式で平成の時代を俯瞰、分析、統括することで現代の社会経済政治状況を読み解くためのヒントを得る良書。政治に偏らずエンターテインメントや芸術作品にも時代を反映するものが多く挙げられている。

  • 佐藤優、片山杜秀の対談で、その年に何があったかの簡易な年表とコメント、流行語や流行った歌、本などが挙げられ、それぞれ取り上げつつ、進められていく。平成史、何冊か読んだけれど、こういうのが読みたかったという思い。「共和制だけでなく、あらゆるイデオロギーや主義や主張が議論されなくなった」、「政治の世界ではトートロジーは使ってはいけないはずだった」、(沸き起こる自己責任論に)「一般市民を見捨てた国家を国民が容認したとも言える」、「平成を時系列の積み重ねで成り立っていない雑炊のような時代、または脈絡を失って様々な問題が唐突に噴出するポストモダンの時代、パッチワークの時代とも語ってきましたが」、「平成とは様々な団体や組織が持っていた掟やローカルルールが適用されずに、文化が消失していく時代だったと総括できますね」といったあたりの論点が印章に残った。/「コンビニ人間」、石川達三「金環蝕」、映画「二十歳の恋」(1962年)あたりは手に取りたいと思った。

  • 何が起きたか、なぜ起きたか。同時代に生きる二人が政治、経済、事件、皇室、文化を縦横無尽に語り尽くす。時代を通覧することで平成の因果が見えてくる。バブル崩壊、オウムテロ、二度の大震災、安倍一強ほか、すべては、裏で繋がっていた。
    お二人の知識や教養の広さに慄きながら、自分の無知具合を恥じました。これだけ物事を深く捉えられたら世界が面白くて仕方ないんじゃないかなあ。少なくとも表面上にだまされる私は不安になる。選挙のたびに大勝と大敗を繰り返すのはどうしてなんだろうとずっと考えてきましたが、ようやく納得のいく答えが書いてあってすっきりした。小泉内閣のやったことの意味も分かった。平成生まれの私はこれから何を後世に残せるのか、またいかに負の遺産をなくせるのか、考えさせられる。

  • もう文庫本になっている。早く手に入れたい。

  • 大変参考になった。
    これを読むだけで大分勉強になると思う。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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